第27話 到着、そして謎の言葉
『長らくのご乗車、まことにお疲れさまでございました。
まもなく終点、ニブルヘルム駅に到着いたします』
列車内にアナウンスが流れた瞬間、どっと気が抜けるような安堵感が車両中を包んだ。
……色々あったけど、やっと着いた。
僕たちも、さっそく荷物の準備を始めた。
とくにリアさんは両手に皮袋をパンパンに抱えて、鼻歌まじり。
中身はもちろん、途中で買い漁った魔導石に、討伐で手に入れたクリスタルローブの残骸。
……あれ全部、明日登山に持っていく気だろうか。
そんなとき。
(主あるじ、客人のようです)
グランの穏やかな声に振り向くと、そこに立っていたのは――
さっき戦闘で共闘した「クロード」と「エイミー」の二人だった。
「たしか……オゼリア=プルートと言ったな」
クロードの低い声がズシリと胸に響く。
なんか……この人、ちょっと怖い。
「わたしたち、あなたの“魔法剣”の正体を確認しにきたの」
隣のエイミーが明るくフォローを入れてくれるが、なおさら緊張が走る。
魔法剣って……ああ、さっきのアレか。
そういえばブリューやグランを手に入れてから、魔法剣ってわりと適当に使ってたけど――
よく考えたら、あれって魔法剣士の上級スキルだったような……?
(ヒャッハー! 紹介しよう! さっきの魔法剣の正体はオ・レ・サ・マ・だあっ!)
「キャッ!? け、剣がしゃべった!?」
いきなり飛び出したブリューのドヤボイスに、エイミーが後ずさる。
一方、クロードはピクリとも表情を変えずに(ていうか、最初から無表情だけど)
「なるほど……古代の遺産が正体だったか」
と、ぼそり。
「ごめんね、私たち今“ある事件”の容疑者を追っていてね。
すべての魔法剣士は、疑ってかかることにしてるの」
……すごく物騒なことをサラッと言うなこの人。
「でもあなた、きっと色んな運命に巻き込まれると思うよ。
楽しみにしててね」
――え、なにそれコワイ。
慌てて「僕の正体を知ってるのか」って聞いたけど、エイミーは意味深な笑みを浮かべて
「今にわかるよ。それじゃ、またね♪」
と言い残し、クロードとともに列車を降りていってしまった。
え、ちょ、何このフラグ臭……。
「オゼリアくん、早くしないと置いていきますよ~?」
後ろから聞こえてきたリアさんの声に振り向くと、既に顔が引きつってる。
……昨日のこと、まだ根に持ってる?
なんとかその怒りのオーラをスルーして荷物を持ち上げ、僕もホームへと降りた。
と、そこへ。
「間に合ってよかった~~~!」
さっき別れたはずのエイミーが、息を切らしてホームに戻ってきた。
えっ、今なんで戻ってきた?
「オゼリア=プルートくん、君に伝えなきゃいけない大事なこと、忘れてたの!」
唐突すぎて対応できない僕に、彼女は真っ直ぐな眼差しでこう言った。
「もし将来、“精霊”と“星”の力が必要になったら……
私たちのこと、思い出してね。
その時まで、またねぇ~~~!」
また走って行ってしまった。
……いろいろと気になるワードを残して。
(主よ、またひとつ面倒が増えましたね)
(ヒャッハー! オモチャが増えたってことじゃねぇの?)
とりあえず、今考えても仕方ない。
目の前には、ノルズ山脈――雲を突き抜けるような巨峰たちがそびえている。
あそこに、僕の“正体”があるのだ。
読者の皆さん申し訳ありません。作中に矛盾点を見つけ訂正いたしました。読み直していただけたら幸いです。m(__)m




