第26話 列車と死神とクリスタルローブ
魔導列車の旅もついに3日目。
予定では昼過ぎには北の国境の街「ニブルヘルム」に到着するはずだった。
――が。
『ご乗車のお客様の中に、国軍、騎士団、または冒険者の方がおりましたら…』
突如、車内に響いたアナウンス。
どうやら只事ではないらしい。
乗務員に話を聞いてみたところ…
「前方に魔物の群れが出まして。列車の武装が故障してるんです。で、皆さまのお力を…」
とのこと。
なるほど、つまりは「討伐よろしく」ってやつだ。
伝えると、僕の仲間たちは二つ返事で了承。
さらに一緒に行くのは――
・死神の異名を持つハンター「クロード」
・その相棒で謎めいた少女「エイミー」
・魔法王国の騎兵団長「風竜のロワーロ」
・列車の武装局員10名
…って、今日のパーティー、やたら豪華じゃないか!?
ライアンが解説してくれたところによると、クロードの鎌は「デスサイズ」って言うらしく、並みの魔物なら触れる前に両断されるそうだ。
「エイミーはエルフっぽいけど、武器はトンファーだってさ。変わってるなー」
と、リアさん。
うん、今日も君は自由だね。
(ヒャッハー、あの魔物たまにレアドロップあるからな! 拾い放題だぜ!)
ブリュー、こういうときは黙っててほしい。
列車を止めた魔物――それは、まるでマントのような姿の魔法生物「クリスタルローブ」。
100体は下らない数が、線路をふさいでいた。
(主、あれは強力な冷気を操る上級魔物です。お気をつけて)
グランが警告する。
「弱点は?」
(ガラスと同じよ。ただし、ガチガチに固いから魔力全開で叩け!)
了解、ブリュー!
雷を自らの身に落とし、それをブリューで受け止めて――
「魔法剣!!」
電撃を纏った一撃で、最前列の一体を叩き割る。
「よし、まず一匹!」
振り返ると――
クロードが6体を一閃で両断し、
ロワーロが炎の槍で3体を焼き払っている。
空中を飛び込んだエイミーがトンファーを叩き込むと、衝撃点に魔力文字が浮かび上がり…爆炎!
5体が木っ端みじん。
「トンファーで爆発…」
「さすが死神の相棒」
「僕も欲しい…」
それぞれのつぶやきが妙にリアルだ。
次にライアンが二刀を構え、斬り抜けた敵は粉々に砕け、
後ろから追いついたクロードとエイミーが残りを瞬殺。
僕もギギとともに突撃し、隣の群れを片付ける。
が、次の群れは動かない。
何かに引き寄せられるように一か所に集中していく。
「リューディアさんの空間操作魔法か!」
そして現れた巨大な魔法陣。
「みなさん、危ないですよ~」
って、もっと緊迫感ください。
『目標補足。収束魔力砲撃を行います』
閃光。
その瞬間、残りの魔物がごっそり消滅。
「いやー、すごい」
「美しい火力」
「エグいなあの魔法陣」
列車の武装局員たちが駆け寄ってきて、戦利品回収の合図。
…と、その時。
ライアン「よっしゃ、クリスタルブレードゲットぉぉぉ!」
リアさん「これ錬金素材に使えるから全部拾いますね~」
…うちの仲間、切り替え早いな。
(主、あそこの下に強い魔力を感じます)
グランの声に導かれて探ってみると…
「これは…魔力石?」
5センチほどのクリスタルブルーの石を、グランの穂先のくぼみにカチッと装着すると…
(氷属性が追加されました。試す機会があればぜひ)
やった!グラン、パワーアップ!
ギギの方を見ると――
背中に…クリスタルの羽?
頭には…ニードルの角!?
(…また進化してるよコイツ…)
そして――
「まもなく列車発車しまーす!」
「やばっ!」
あわてて列車に飛び乗ると、ゆっくりと走り出す。
遠くの地平線の先に、山のふもとに広がる街の影が見えた。
「あれが、ニブルヘルム…か」
この旅も、そろそろ佳境に入りそうだ。




