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オゼリアプルートの冒険日記  作者: 鳳 翔平
25/59

第25話 置いてけぼりの錬金術師

魔導列車の旅も、いよいよ二日目に突入。


現在、ぼくらがいるのは――

プロガノの首都、『タートル・ハート』。


つまり、列車は「タートルヘッド(頭)」から「ハート(心臓)」へと移動し、

南へ海沿いを抜けた後、ここから再び北上していくルートをとっているというわけだ。


目指すは北の国境都市『ニブルヘルム』。

そこへ着くのは、たぶん明日の夜ぐらい。


 


今はちょうど停車中。列車の外では、スタッフたちがせっせと作業中。


魔導列車の燃料――つまり魔導石の積み込みだ。


最近じゃ天然の魔導石が枯渇気味らしく、

今では“使い終わった石”に新たな魔力を注ぎ込んでリサイクルするのが主流らしい。


その再充填を生業にしてる魔術師や錬金術師たちも多いとか。


 


「へえ、なるほどねー」とぼんやり外を眺めていたその時、


視界の隅を何かがシュバッと駆け抜けた。


 


「あれっ、リアさん……?」


 


見れば、目を輝かせて駅のホームの一角へ突撃していく彼女の姿。


 


(なんだなんだ……)


そちらへ視線を向けてみれば、そこには立て看板が。


 


『セール!! 半額以下 天然魔導石 大売出し』


 


……ああ、そりゃリアさんが飛びつくのも無理はない。


なんてったって、魔導石は彼女にとって“魔力の源”そのもの。

しかも“天然モノ”とくれば、錬金術師としては血が騒ぐらしい。


 


でも、半額で買った石の半分以上が産廃だったりするのが現実。

夢のある商材って、たいていそんなもの。


 


ぼくがそんなことを考えていた矢先――


 


「……あれ?」


 


列車、動き出したんですけど!?


 


 


「オゼリアさん、どうかしました?」


ちょうど通りかかったリューディアさんに、ぼくは窓の外を指さして目くばせ。


彼女もすぐに気づいて、ため息まじりに言った。


 


「……あの子、またやったのね」


 


「また!?」


 


「大丈夫よ。列車がいなくなったって気づいたら、全力で追いかけてくるでしょ」


完全に“想定内”の出来事らしい。


リューディアさんがあまりにも落ち着いていたので、

ぼくもそれ以上気にしないことにした。


 


……で、その日の夕方。


列車が四つ目の停車駅に到着したとき――


 


 


「なんで置いてっちゃったんですか~~~っ!」


 


泣きそうな顔のリアさんが、乗り込んできた。


 


「こっちから聞きたいぐらいなんだけど? 場内アナウンス、流れてたでしょ」


と、あきれ顔で問い詰めるリューディアさん。


 


「は……はいぃ。眼の色変えて列車から降りてったのは、わたしです~……」


 


うなだれながら、自分の寝台車へと引き下がるリアさん。


なんかちょっと哀愁が漂ってる……


 


でも、しばらくしてから、また戻ってきてこう言った。


 


「その……ですね~。みなさんの後を追いかけるのに、チャーターした高速飛翔機の運賃がですね……」


 


「はい、財布の中が無残なことに、ですね」


とリューディアさんが冷静にトドメを刺す。


 


 


「……うぅっ」


 


「じゃあ、その皮袋いっぱいに買った魔導石――ニブルヘルムに着いたら売るのね?」


「ええっ!? そ、そんなぁ……せっかく買ったのにぃ……」


 


肩を落としてうなだれるリアさんの後ろで、どこからか聞こえる幻聴。


 


(ヒャッハー、自業自得だネーちゃん)


……たぶんグランの声。いや、気のせいじゃない。確実に聞こえた。


 


 


ともあれ、全員無事に再合流完了。


次の目的地――いよいよ「ニブルヘルム」へ向けて、

魔導列車は夜の闇を走り出しました。


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