第16話 しゃべる剣と、謎のセール品
今日は出発準備の仕上げとして、武器屋に行ってきた。
理由はシンプル。今の装備、銅の剣一本だけという地味に危うい状態だったからだ。
パンケーキが相手だからといって油断はできない。
むしろあれ、バターの滑りで攻撃避けそうな気もするし、何かしら対策はしておきたい。
ただ――所持金には限りがある。
手元の財布を確認すると、残りは【250GP】。
おっけー、焼きそばパンと装備、どっちを取るか悩むラインだね。
「こんにちはー」と店に入ると、店主のおじさんが顔を上げた。
「おぉ、いらっしゃい。今日は何をお探しで?」
「武器を……なんでもいいんですが、予算が250GPしかありません」
「250ねぇ……それじゃ銅の剣が関の山だなぁ」
うん、それじゃ意味ない。
「なんとかこう……コスパ良いの、ありませんか?」
店主はしばらく顎をさすりながら考えたあと、
「……で、あんたの職業は?」
「まだ不明です。でも、一応“総合武器”と“二刀剣術”のスキルはあります。だから、何でもいいんで二本欲しいんです」
「……そうか、ならアレ持ってきな」
と、指さしたのは――
『超特売! 投げ売り! もってけ泥棒! 一本300GP!』
と書かれた木箱。
中には、やたら派手だったり妙に地味だったり、いかにもいわくありそうな武器たちが無造作にゴチャッと詰まっていた。
「そこから2本で250でいいよ」
「え、ええ!? 一本300なのに、2本で250……逆算できないんですが!?」
「いいんだよ。どれもいわく付きでな、早く処分しちまいたいんだ」
(ヒャッハー! おいおい、親父、今日は太っ腹じゃねーか!)
「……あれ? 今、誰かしゃべった?」
(ここだよ、ここ! おまえの目は節穴かぁ?)
声のする方を見ると、木箱の中のボロっちい片手剣がガタガタ揺れていた。
「……まさか、しゃべってる……?」
(その通り! オレ様は伝説の剣、ブリューナク様だ!どうだい坊主、持っていかないか?)
「ほんとに伝説なの? ずいぶんくたびれてるけど……」
(ヒャッハー! 外見で判断すんじゃねえ! 中身はピッカピカだぜ?)
勢いとノリの良さだけで完全に会話が成立している。
なんとなく気に入った。
もう一本は、ブリューナクのオススメということで、槍にした。
見た目は普通。でも、地味な武器ほど強いって誰かが言ってた。
こうして、装備は以下の通りに決定:
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主武器①:しゃべる片手剣「ブリューナク」
性格:うるさい
性能:未知数
テンション:常時ヒャッハー
主武器②:無言の槍
性格:たぶん真面目
性能:地味に高性能
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これで装備は万端。
パンケーキ討伐の準備、ついに完了。
明日こそ、いよいよ出発――!
(フラグ感あるけど気にしない)




