第10話 観察日記始めてみました
使役獣になった「ぷもーん」と「きゅにゃ〜」の観察を始めてみた。
理由は簡単。
こいつら何ができるのか、まったく分からないからである。
突然生まれて、勝手に浮いたりうねったりして、気づけばぼくの影に入ってたこの二匹。
見た目はかわいい。挙動もまあ……無害。
でも、ほんとうにそれだけ? もしかして実はすごい能力があるのでは?
ということで、まずはぷもーんから観察スタート。
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【観察対象①:ぷもーん】
分類:浮いてるやつ
鳴き声:「ぷもーん」
外見:わたあめ型。白くてふわふわ。たまに薄く発光する。
性格:ぼんやり。たまに回転する。基本、ゆるい。
朝、呼んでみた。
「ぷもーん?」
「ぷも〜ん」
返事はする。だけど特に動かない。こっちをじっと見てるだけ。
試しに「飛べ!」と命じてみたら、すでに飛んでいた。常に浮遊中。
「燃やせ!」と叫んでみたら、なんかちょっとだけ体が温かくなった。
でもパンを焼くほどではない。せいぜい“ほんのり布団乾燥機”レベル。
しばらく見ていたら、部屋の隅で自分の体を丸めて、ふわふわと漂っていた。
そのまま、壁にぶつかって「ぷも〜」と鳴いてた。
癒やし枠かな、これは。
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【観察対象②:きゅにゃ〜】
分類:水蛇っぽいなにか
鳴き声:「きゅにゃ〜」
外見:水でできた蛇。透き通っててちょっと綺麗。
性格:やや神経質? よくオケの水を舐めている。
きゅにゃ〜はちょっと違った。
呼ぶとにゅるっと出てきて、床をうねうねと這い回る。
水っぽいのに、床が濡れない。なにそれ地味に便利。
試しに洗い物の横に置いてみたら、
食器の汚れが少しずつ減っていった。
もしかして、自動洗浄スライム……いや、スネーク?
でもティーカップを吸い込みそうになったので慌てて止めた。
あと、たまに「ぷもーん」と戯れている。
なんというか、子犬と風船を同時に飼っている気分。
賑やかだけど、基本、役には立ってない。
それでも。
こいつらが部屋にいると、ちょっとだけ落ち着く。
静かすぎない、でもうるさくない。
曇り空に小さなランプをぶらさげてるみたいな、そんな存在感。
……うん、なんか気に入ってきたぞ。
というわけで、今日の観察日記はここまで。
明日は、もう少し指示語を覚えさせてみようかな。
たとえば「隠れろ」とか「待て」とか、「ごろん」とか。
いやそれは犬か。
ちなみに今日は、リアさんが来なかった。
嵐のあとの仕事でバタバタしてるらしい。
この町、屋根が吹き飛んだ家、意外と多いらしいです。うち含む。
さて、明日は何が起きるのやら。
……何も起きないといいけど。




