1章-7 戦闘訓練後に罰がある
戦闘がかなり難しいなぁ これで大丈夫か心配です。
急ぎ妻のいる方に走りながら先程のオーガ共の情報を吟味しながら向かう。
あいつらはまず間違いなく精霊や人間達の敵として見ていいし更にこの辺を探しているのでこのままここに居れば俺達と確実に戦闘になる。
見た感じやプレッシャーを実際に感じた所はこの辺のモンスター達と比べられ無い位だから恐らくは結構強いのだろうと判断するが、俺には問題無い様に思う。
これはこの世界の俺達の実戦にはいいと思い特に妻がどこまでやれるのかのいい練習相手が来たと逆にいい意味として相手になってもらうつもりだ。
妻の精霊の攻撃の確認も今の段階でどこまで出来るかの判断材料にもなるし良い事づくしだw
あいつらには悪いがありがたく犠牲になってもらう。
3体いたから俺に2体で妻1体で能力確認と実験に付き合ってもらうかね。
これは楽しくなって来たな、俺の人外化も試せるしいろいろと技の実験材料だな。
すると何所からともなく急に風に乗って妻の声が聞こえて来た。
「あなた聞こえますか? 朝御飯の準備が出来ましたからこちらに来て下さいね。」
おぉ びっくりするなこれは、これが精霊の力なのか妻の声がはっきりと聞こえるな。
便利だけどこれは俺の声も届くのかな? 実験がてら声を掛けようとしたら。
「あぁ 大丈夫ですよ。繋げてますからやり取りは出来ますから。」
「考えている事が分かるのかよw まぁいい 聞こえるのか?」
「はい。聞こえますよ。これは凄い便利ですね。風の精霊の力です。」
「これは凄いな。距離制限とかはあるのか?まぁいい帰ったら聞くから精霊に確認してもらえないか。」
「わかりました。いろいろ精霊には聞いてみますね。」
「おぅ 頼むわ。 後少しで着くから飯の準備をしていてくれ。」
「準備してお待ちしてますわ。では1度切りますわね。」
声が途切れて辺りは静かになった。
びっくりしたなこれは、でもかなり便利そうだしいろいろ使えそうだ。
精霊はいろいろ出来るみたいだな、これは俺も精霊が使えたら楽になりそうだけど無理そうだな。
来た当初に視線とか一切感じられ無かったから妻へのこの世界の恩恵かねぇ これは。
妻の気配を追い暫らく走ると昨日世話になった洞窟に着き朝飯の準備している妻を見つける。
此方に気づき嬉しそうに手を振る妻の近くに行き声を掛ける。
「ただいま。今戻った。」
「おかえりなさいませ。 こちらは準備出来ましたわ。」
地面に腰を下ろし座り込むと妻が甲斐甲斐しく俺の隣に座り朝御飯を差し出してくる。
昨日取って来た山菜や果物を取りながら食べて行く。
「どうでした? 散策は順調でしたか?」
「途中まではな。最後にトラブルがあったよ。」
「トラブルですか? 精霊に聞いたモンスターでしょうか?」
「知っていたのかよ。」
「はい。精霊が騒いでいたので聞いてみました。」
「そうか。まぁ そうだな。オーガを3体見つけたし何か探し物をしてたぞ。」
「探し物ですか?なんでしょうかね。」
「話を聞いた限りは精霊と勇者を探していたみたいだな。」
「話ですか?もしかしてオーガは言葉を話すのですか?」
「あぁモンスターにも知性や言葉を使う奴がいるみたいだ。」
「そうですか。そうなると強くなって行く程に知性も有り得そうですわね。」
「そうだな。で問題はそいつらが精霊や勇者を探して殺すって言ってな。」
「物騒ですわね。でも精霊や勇者ですか? と言う事は私はまずいのですか?」
「かもなぁ。んで話はその3体のオーガを訓練がてら討伐しようかなと思ってる。」
「あなたはどう思っているんですか? 問題はありますか。」
「俺は実際見た感じは問題無いな。妻の精霊を使った訓練相手に調度いい相手にするつもりだ。」
「わかりました。私も守られているばかりではいけませんものね。精霊に力を貸してもらいますわ。」
妻を見た感じ気負った感じは見え無いし最悪は俺が全部片付ければいいし妻が危ないと感じたらすぐに終わらせばいいかと考えて作戦を考えて行く。
「精霊は攻撃はどんなもんだ? 使えるのか?」
「はい。いろいろ試してみたいですし私に3体全部を攻撃させてもらっていいですか?」
「ほぅ 自信の程はあるのか? 精霊の攻撃は。」
「おそらくはかなりのレベルかと思います。その確認と検証をしてみたいですから。」
「分かった。無理と思ったら直ぐに俺がやるぞ。」
「はい。あなたがいれば安全は完璧ですから私は攻撃に専念しますわ。」
「わかった。 安全は任せとけ。俺に見せて見ろお前の力を。」
「ありがとうございます。私を見てて下さいね。」
「おぅ じゃあ 少し休んだら行こうか。作戦も聞いておきたいしな。」
「分かりましたわ。頑張りますね。出来たらご褒美下さいね。」
「それだけ言えれば大丈夫そうだな。頑張れよ。俺が見ているから。」
「その言葉で勇気が出てきますわ。」
「じゃあ 妻の方は話は? 精霊の方は聞いたか?」
「はい。 精霊の方は聞いてますわ。説明しますね。」
「分かった。頼むわ。」
「では。私が契約した精霊は4つで火、水、土、風ですけどそれぞれいろいろ出来ますけど簡単に言いますと火は攻撃。水は回復。土は防御に。風は移動や補助に優れていますわ。これはまだ私が使えこなせてないですから要修行ですわ。後は精霊同士の複合による術ですね。これは精霊に相性が有りますから練習も兼ねますわね。」
「ほう。使いこなせれたらもっといろいろ出来るし精霊が増えれば更に出来る事が増えるか。」
「今回は各属性の攻撃を試したいですわ。後は組み合わせて使える複合術ですわね。」
「なんか聞いていると凶悪みたいな感じだけど大丈夫なのか? 主にここら辺の地形は?」
「精霊で周りには余り被害が出ない様にするつもりですけど最初ですから検証するつもりですわ。」
「成程な。分かった。今回は好きにやってくれたらいいな。俺も見て判断するから。」
「はい。精霊と相談して頑張りますわ。」
「そうそう俺も精霊って使えるのか? 少し気になる。」
「ごめんなさい。あなたには強すぎる力が有るらしく干渉出来ないみたいです。」
「まぁ あまり期待はしてなかったわ。でも強すぎる力ってなんだ?」
「強力な加護が付いているらしくて精霊では無理みたいです。」
「そうか。加護? なんか付いている訳か大丈夫なんかそれは?」
「はい。問題は無いみたいです。悪い感じはしなくて神性な感じみたいですわ。フフ 神様でも付いているんでは無いんですか? あなたに加護が有りますようにってw」
「なんだそれはw まぁいい じゃあ 少ししたら体を動かしてからオーガを討伐しに行くぞ。」
「わかりましたわ。準備しますわ。」
朝御飯が終わり少しゆっくりしてからオーガに向かう事にして俺達は休憩に入りそれぞれ考える。
妻は精霊との話し合いに入ったのか座り込み目を閉じて集中を始めている。
俺も自分の力を把握する為に気やオーラを体に発動させて準備運動を始める。
こちらに来てからは初の戦いの為か体が少し硬く感じる為に入念に体を解して行く。いざという時に動けないのは駄目なので戦闘用の体に持って行く。
心を無にして行き全身に気とオーラを流して体に通して行く。
この状態に持って行きイメージトレーニングをして脳内で全力の動きをトレースして行き、向こうでの全開の俺自身を影として仮想敵として殺し合いのトレーニングをして行く。
向こうの俺の全開は戦場や殺し合いの時に敵や味方にも呼ばれた戦場の死神としての最高の技術と動きで襲い掛かってくる。
俺はまずはこの世界での通常状態での全力で迎え撃つ。
いくら脳内トレーニングでもここまで高まった集中力では攻撃を受けたりすると脳が実際攻撃を受けたと判断して体に傷が付く為にかなりハードなシャドーになるし訓練には最適だ。
さぁ戦闘開始だ。
影が音も無く接近し俺に気とオーラを乗せた全開の攻撃を俺を殺そうと開始する。
右手がぶれた瞬間に影が首を刈ろうとしている事に反応した瞬間に俺も迎撃に入り影の右手を取りそのまま投げ飛ばすが影は空中で回転しキレイに着地し腰に装備していた銃を撃ってくる。
銃が撃たれる瞬間には俺は動き間合いを詰め銃弾を見切りかわして接近戦に持ち込む。
影に接近し銃を蹴り飛ばそうとするが影は自ら銃を捨てバックステップで距離を取る。
再び睨み合いお互いのスキを探るが俺から動き攻撃を仕掛ける。
まずは牽制の為にジャブを打つが影は避けもせずになんと額で受けそのままこちらに振り降ろし気味の強烈なローキックで攻撃して来た。
カットが出来ずにまともに右足に喰らい手痛いダメージをもらう。
まさか牽制を額で受けるとは考えつかなかった。
これは向こうは牽制を見切りこちらに痛打を与えると判断しての行動か。
俺は1度距離を取ろうとするが足のダメージか動きが鈍いのを影が見逃す筈は無く追撃して来る。
影はこのまま押し切ろうと攻めて来るが今度はこちらが倍返しに成功する。
右足を捨てる気でガードを開けスキをわざと作って狙わせて攻撃を誘ってカウンターをいれる。
影の右足へのローを踏ん張って受けてそのまま全力の右のアッパーを顎に叩き込む。
右足からグシャッと聞こえて折れたと判断をしても自分のダメージは無視して意識は影に向けて相手のダメージを見る。
右のアッパーの感触では手応えは有ったと判断して相手を観察する。
暫らくして影がフラフラと立ち上がりまた構えて此方を向いて構える。
流石にお互いダメージが深いが俺は右足だけで影の方はかなり深刻になってるはずと思い攻撃に入る。
左足だけでジャンプして接近して影に飛び掛ると直ぐに地面に倒れての攻防をする。
影はまだダメージが深く動きが鈍いのもあって直ぐに上を取り影に打ち下ろしのパンチを叩き入れる。
チャンスと見て連続でパンチを影が動かなくなるまで叩き入れてやると思い続けていると。
影が振り上げの一瞬のスキを突き俺の折れた右足を殴りつけ痛みで動きが止まった瞬間に俺に頭突きをして俺を弾き飛ばしてまんまと脱出に成功した。
影が吹っ飛んだ俺に掴みかかり今度は逆に上からパンチを叩きこまれる。
今度は立場が逆になり上からのパンチを防御しながらもそのまま叩き込まれてゆく。
このままではまずいと思いガードを解き下からパンチで応戦してダメージの差で押し切れると思い反撃する。
そのまま殴り合いをしていると顎に決まったパンチで影が動きが止まりそのまま押し倒して今度は上になった。
また上になって今度は殴るのでは無く締め技に入りそのまま後ろを取り全力で締め上げる。
影は暴れるが次は無いと締め上げて止めとばかりに捻りを入れて首に力を込めて叩き折った。
しばらくそのままでいて影が動かなくなって決着が付いた。
影を投げ捨てて自分の状況を確認して見るとかなり酷い状態だ。
右足は折れていて顔もかなり殴られてボコボコで頭突きを喰らった時に鼻も折れてるな。
これは戻ったら妻の悲鳴が聞けるなと苦笑いしながらトレーニングを止めて現実に戻る。
「あなた あなた 返事をして下さい。お願いします。起きて下さい。」
妻の焦って心配するなどいろいろな感情が感じる声で意識を覚醒させる。
どうやら妻が抱きついて泣いているみたいだしこれはまずいかな。
「なんで。こんないきなり何が起こっているんですの? あなた返事をして下さい。」
「うぅ。お願いします。あなた。私を置いて行かないで下さい。一人にしないでぇ。」
「置いて行きはしないぞ。妻よこれは俺の特殊な鍛錬の効果だよ。」
「あなた。大丈夫ですか?。 起きたんですね。よかったですわ。動かないですしいきなり体から血が出たり何があったんですの? 心配したんですよ。怖かったんですよ。きちんと説明して下さいね。」
「あぁ 分かった。悪いな。心配かけてごめんな。これは簡単に言うと高度なイメージトレーニングとして考えて欲しい。ダメージが実際に出るけどかなりの効果が持てる鍛錬だ。」
「鍛錬ですの? それなら私にキチンと説明してからやって下さい。私本当に心配したんですからね。今度からは特別な何かをする時は説明してから行って下さい。それとも私は頼り無いですか?私は信頼されてないんですか?私は要らないんですか?私には言ってくれないんですか?」
「悪いな。集中してたし後で大丈夫かと思って言わなかった。本当に悪い。今度からはキチンと説明してから特別な鍛錬はすると約束をするよ。ごめんな。」
「はい。本当にお願いしますね。もうこんな事は嫌ですからね。絶対ですよ。」
「あぁ 必ず説明はするし。心配を掛けてごめんな。」
「お願いしますね。絶対ですからね。約束ですよ。守って下さいね。」
「分かりました。絶対にだ。約束するよ。」
「今日は戦闘や用事以外はこのままです。今日は抱きついたままで行きます。心配を掛けた罰です。」
「はは わかった。甘んじて受けるよ。その罰は受け入れるわ。 あれ そう言えば体が負傷が無いな? 体も痛く無いな? おかしいな? 何時もはかなり酷いんだが?」
「私です。精霊の力で全力で回復してました。いきなり血が出るし足は折れるしどんどん顔に痣が出来てくるし本当に心配したんですからね。」
「あぁ ありがとう。しかし精霊の回復は凄いな。これは想像以上だな。」
「もぅ それで訓練はどうでしたの?」
「あぁ 相手は俺自身だ。最高の時の状態とやって来た。こちらは全開の状態1でな。かなり苦戦したが辛勝って所だな。まだまだ俺も甘い事が分かったから収穫はかなりのもんだったな。」
「自分自身ですか? それは私にも出来るんですか?」
「おすすめはしないな。妻も見ていたんだろう。俺が負傷して行く所を。実際に傷ができる瞬間を。」
「はい。何もしてないのに傷を負うんですので本当にびっくりしましたわ。私には無理そうですわね。」
「俺の鍛錬はこれで良いとして妻の方はどうだったんだ?」
「はい。私の方は精霊とのシンクロの上昇の訓練をしていましたわ。精霊を理解して更に上の力を引き出す訓練ですわ。4つの精霊とは今はかなりシンクロ出来ましたので足を引っ張る事は無いと思いますし。複合術も覚えましたし。後は実戦で試すだけですわ。」
「そうか。じゃぁ オーガで実戦デビューの準備は大丈夫みたいだな。覚悟はあるか?相手の命を奪う覚悟は大丈夫か?」
「あなたと共に生きるって決めてからは覚悟は決めています。ただ最初はキツイかも知れませんが、その時はあなたに頼って良いですか?」
「それは勿論だ。支えて行くから一緒に乗り越えて行こうな。」
「ありがとうございます。それだけで行けそうですわ。」
「よし。少し休憩したらオーガを探しに行くか、そっちは体や精神力は大丈夫か?」
「はい。少し休めば充分ですので行けますわ。」
「じゃあ 少し休憩しようかね。」
「心配させた罰なので私はずっとこのままですよ。移動は抱いたまま運んで下さいね。いいですね。」
「了解。わかりましたよ。お姫様。運ばせてもらいます。」
「当然ですわ。あなたは心配掛けすぎですから今日は運ばせてあげますわ。」
オーガの所まで行く前に休憩を取り他愛も無い話で和みながら2人して笑顔で話し込んでいる。
妻はこれから生物の1つしか無い命を奪う為に戦いに行く。
覚悟を決めたと言ったが命を奪う行為は必ず心を蝕んでいく。
俺はその妻の心を必ず守り2人で乗り越える為に。
悠樹を戦場で何度も見て来た心の壊れた人にしない為に心のケアをして絶対に日常に戻す決意を決める。
この先も2人で笑顔で生きれる様に悠樹の心は守って見せる。
結構力入れて書いたつもりですけどぐだぐだかもです。