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至高の魔女  作者: みやび
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第58話

「ケイト足の具合はどうなの?」


今朝は松葉杖を使わずに食堂に現れたケイトを見てルーチェが聞いた。

朝と言ってもかなりゆっくりでブランチである。


皆かなり疲労が貯まっていたのだろう。

ケイトとルーチェは何をしたと言う訳ではないが、やはり心労は大きなものだった。


「ここへ戻ってきて今日で三日目よ。もうそろそろ大丈夫じゃないかと思ってね。」


見た目はきれいなケイトの足だが、その内部はどうなっているかはわからない。

しかし、痛みもなければつっぱった感じもない。


「お医者様は念のため二~三日は使わない方がいいっておっしゃったのよね?

じゃあ、もうそろそろお出かけも出来るのかしら?」


じっとしているのが苦手はルーチェはさっそく気の早い事を言い出す。


「ダメですよ。せめて今日一日は安静にしておかなきゃ。念には念を・・・と言うでしょう。

こじらせたらよけい長引いてしまいますからね。」


セーラさんはあくまで慎重派であるらしい。

すぐにも飛び出してしまいそうな二人を嗜める。


「それにまだ危険が去った訳ではないからね。もうしばらく出かけるのは我慢してもらう事になるだろうね」


アルバートさんも追い討ちをかける。


「でも、どうして私達が狙われているの?」


ケイトの言葉にルーチェも首をかしげる。


「理由はよくわからないんだが、最近立て続けに闇の魔力の使い手が襲われているんだよ。

おそらく君達もこれだけ災難が続いているのは、その犯人に狙われていると考えて間違いない。


まあこの件は殿下にお任せするしかないが、こうやって厳重な警備も付けて貰っている事だし・・・

君達もくれぐれも軽々しい行動は慎まなければいけないよ。」


アルバートさんは心配そうに二人に念を押した。

ルーチェとケイトは顔を見合わせて溜息をついた。


それにしてもやっかいな話だ。

理由もわからず闇の魔法使いが狙われて、今は自分達がその対象となっているとはまったく以て迷惑な事だ。


これじゃあ、いつまで経っても自由な行動ができないわ。

どんどん不満を積もらせるルーチェであった。


一方使い魔軍団のほうはすっかり仲良くなった様だ。

そして危機感がなくなった今はとんでもなく呑気なものだった。


パルスはもうエプロンのポケットに縮こまることはなかった。

セーラさんの足元をチョロチョロ走り回っている。


「パルスー!そんなに走りまわっちゃ踏まれちゃうぞー!」


『大丈夫だよ。おれは踏まれる様なドジじゃないよ。このところずっとポケットの中で運動不足なんだ。

それより、こいつをどうにかしてくれないか?』


ミーアはパルスをひどく気に入ったらしい。

その動きは俺たち猫族を引きつけるのに十分な魅力があるのだ。


走り回るパルスをミーアは狙いを定めて、ヒョイと飛びついては押さえつける。


『こらー。放せってば!』


叫ぶパルスをそっと放すとまた追いかけるを繰り返す。

もっともミーアもずっと檻の中だったのだから運動不足は同じなのだろう。


本当にお前らは最高だ。

いつも口うるさいミーアは完全にパルスに夢中だ。


俺の事など気にかけている暇はなさそうだった。

ミーアから解放されて俺はご機嫌だ。


食事も終わり居間でくつろいでいたルーチェとケイトの目の前にいきなり、ルドルフとアルクが現れた。


「わっ・・わわ」


あまりに至近距離に現れたのでルーチェはずっこけそうになっていた。


「い・・いきなり、びっくりするじゃないの。ちゃんと入り口から入ってきなさいよ!」


ミーアの捜索の一件から二人は直接居間の方へと瞬間移動するようになっていた。


あの時もミーアの捜査のかたわら、どうしても殿下の決裁が必要な案件があるとかで何度も執務室とこの部屋とを行き来していたのであった。

すっかりそれが当たり前となってしまったようだ。


「ちゃんと公式に訪問したとしても、非常識なお前の事だ。

まともな応対など、出来る訳もあるまい。」


ルドルフはしれっとそんな事を言う。


「はあ?」


ルーチェは部屋の片隅に積まれた山のようなバララッタとかぼちゃを見回した。


「非常識なんて言葉はあなたにだけは言われたくないわ!」


プンプン怒るルーチェの腕を掴んだルドルフはそんな言い分など完全に無視した。


「さあ行くぞ。とんだ出来事ですっかり中断してしまったからな。」


そういうと瞬間移動で連れ去った。

ケイトは呆気にとられたまま見送った。


「ケイトさんは今日もたいくつでしょうから、私がお相手致しますがよろしいでしょうか?」


アルクが絶妙のタイミングでにっこりと微笑む。


「も・・もちろんですとも」


ケイトは嬉しそうに頬を染めて答えた。


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