第51話
俺達が城を出る頃、城門の前には大勢の兵士が集まっていた。
どうやらローラー作戦が始まるらしい。
『タオ 気をつけてね。』
ルーチェがテレパシーでそう言ってきた。
『ところで俺達はどこから探せばいいんだ?』
俺は地図を覚えられなかった。ここから先はカラスが頼りだ。
『東と南の二箇所からいくつかのグループに分かれてローラー作戦がスタートするらしいぜ。』
パルスがそう返事した。
「そのようだなー!俺たちはその反対側からだー!」
カラスがそう指示を出す。
『お前達その情報はどうやって知ったんだ?』
「殿下の地図に印が付いてたじゃないかー!タオはバカだー!」
そういえば、あの地図にはいろんな色の印が付いてたな・・・・
ルドルフはあの部屋からテレパシーでいろんな指示を出していたのか。
『ルドルフは使い魔以外でも人にもテレパシーを使えるのか?』
「殿下だけは別だー!人でも動物でもテレパシーで話しができるんだぞー!」
『!!』
どうりでサリーが出て行ってからも俺の言葉をちゃんと理解してる様だったもんな。
ルドルフには聞こえないと思ってよけいな事を言わなくてよかったと俺は胸を撫で下ろした。
まあそれでなくてもサリーとキースは生真面目でなんでもかんでも通訳しちまうからなぁ
大事な事だけでいいんじゃないのか?
俺は自分の手抜きを棚にあげてそう思ったのだった。
カラスは西に向かって羽ばたいた。
俺とパルスは先頭を飛んで行くカラスの後を追った。
城はかなり遠くなってその高い塔の上部がわずかに見えている。
街は賑わって、人の往来も盛んだ。
ようやくカラスが舞い降りて来て、民家の屋根に止まった。
『おい。もうかなり走ったけど、そろそろ西の端か?』
「西の端なんか行かねー!ローラー作戦は殿下に任せろー!
俺らはここだー!ここで探すんだー!」
カラスが屋根の上から叫んだ。
『ここはちょうど西の中央あたりかな?ゴミ処理場のある辺りだ。
なるほど、馬車には残飯が積んであったもんな。
必ずゴミ処理場に向かってるはずだ。』
後から追いついたパルスが辺りを見回して言う。
『そう言う事か!カラスなかなか頭いいじゃないか!』
「当たり前だー!俺の頭脳は優秀なんだぞー!」
『でもゴミ処理場は東西南北と4箇所もあるから、こことは限らないけどな。』
パルスが悲観的な事を言う。
そうか4箇所もあるんじゃここじゃないのかもしれない。
俺は落ち込んだ。
でもとりあえず探すしかないだろう。
『俺はちょっとここら辺の仲間達に聞き込んでくるよ。』
パルスはそう言うと路地裏に消えて行った。
カラスはまた上空に飛び立ち大きく周回している。
俺は・・・どうすればいいんだろう。
とりあえず辺りを散策してみるか・・・・
ここら一帯はどうやら高級住宅街らしい。
大きな館が立ち並んでいる。
道端にはゴミ1つ落ちていないところを見ると清掃も行き届いている様だ。
どこもかしこもすっきりして清潔感溢れる町並みだ。
どの館も高い塀で囲まれ中の様子を窺がうのは難しい。
俺は塀の上によじ登ってみたが、庭の木々にじゃまされ館の中までは覗けない。
防犯対策の行き届いたこのあたりはどこも同じ作りだ。
これじゃ、らちがあかないなぁ・・・・
俺は塀の上から数件の館の回りをウロウロしただけで、まったく役立たずだ。
『おーい・・・』
パルスが戻ってきた。
『ここのゴミ処理場には城からの馬車は来ないらしいぜ。
ここらは鼠が少なくて探すのに手間どっちゃったよ。遅くなってごめんよ。』
確かにこう清潔だと鼠は暮らしにくいだろう。
俺はちょっとホッとした。
こんな場所の館のどこかにミーアが監禁されているとしたらローラー作戦でも見つけるのはちょっと難しいだろう。
納戸や納屋だけではなく、地下室や隠し部屋等もありそうだ。
「それじゃー次いくぞー!今度は北だー!」
カラスはそう言うと北に向かって飛んでいく。
俺はカラスを見失うまいと必死で走った。
パルスはちゃっかりと俺の背に摑まっている。
猫としては、鼠を背に乗せて走るのはちょっとどうかとは思ったが、こいつの存在は重要だ。
今は見た目を気にしている場合ではないだろう。
俺はカラスをバカにしていたが、世間知らずなだけでかなり頭は良いようだ。
アルバートと同じで自分の得意分野のみしか興味はないのだろう。
今一番役立たずなのは俺なのだと思い知ったのだった。




