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至高の魔女  作者: みやび
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第47話

「ふふふ・・・城内では大変な捜索がされていますな。」


若い男の声である。


「本人に手が出せんとなると、使い魔を攫ってくるとは頭のいい奴よ。

して、それがアルバートの娘の使い魔に間違いないのか?」


しがれた男の声だ。こちらはどうやら年配らしい。


「はい。間違いなく・・・・

それにしてもまさか神殿の中とは思いもしないでしょうな。」


「いまいましい至高の魔女など、現れる訳もないが万一という事もある。」


「まさかあの娘がそうであるとは限りませんが、森を消すほどの力があればあなどれません。」


若い男の顔がランプの光に照らされる。

あの時のフリークである。だがそれはあくまで偽名であった。


「ですが、もう心配はありません。もう二度とあの様な力は使えないでしょう。」


「それはそうだな。使い魔がおらんのではな・・・・ふふふふ」


醜く太った年配の男は満足げに笑った。


「あとは双子星が重なるのを待つばかりですな。待ち遠しい事でございます。」


「そうだ。そうなれば闇の魔力の使い手はすべて死に絶える。

あの神官長のタジンもろともな。我ら光の魔力の使い手の世界だ。」


「次の神官長はライアン様ですから、政も思うままでございましょう。」


「私は政など興味はない。欲しいのは名誉だ。

最高神官長と副神官長では雲泥の差だ。

皆に傅かれてあのタジンのおいぼれは、質素倹約を掲げおって窮屈でならんわ」


ライアンと呼ばれたその男はいまいましそうに顔を歪めた。


「誠に以てそのとおりでございます。」


「神官が贅を尽くして何が悪い?それだけの力と役目を果たしておるではないか。」


「タジン様はおいぼれのくせに魔力は強いですので長生きをなさりましょう。」


「タジンがくたばれば、いずれ私が長になるだろう。

だがそれでは私が最高神官長として威厳を振舞える時があまりに短いではないか。」


「今回の事は誠に願ったり適ったりですな・・・・」


フリークを名乗った若い男はにやりと笑った。


「それにしても、油断はできんぞ。早くそいつを処理してしまうのじゃ。」


ライアンはそう言い残すと踵を返して去っていった。


「御意。」


若い男は跪いてそれを見送るのであった。。


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ミーアが気づいた時、そこは檻の中であった。


白いカバーが掛けられてあるので薄暗い。

布を通して光がさす程度である。


日の光ではない。ランプの光だろう。

うす暗い中で一箇所だけが赤くぼんやりとした光が浮き上がっていた。


ケイトをテレパシーで呼んでみたが返事はない。

昨夜何があったのかミーアは思い出した。


タオを見送って、しばらくテラスで風を感じていた。

毛づくろいでもするかとゴロンと転んで足を伸ばしたその時だった。


首のあたりにチクリと針の刺す様な痛みを感じたのである。

ピクリとあわてて立ち上がり、振り返るとそこには一人の男の足が見えた。


男が手にしていたのは吹き矢のような物だった。

ゆっくりとこちらへ近づいてくる。


身の危険を感じて逃げなければ・・・・

そう思ったのに体が痺れて動けなかった。


そのうち頭がくらくらして立つ事すら出来なくなった。

ヨロヨロと二三歩後ずさったがそのまま意識を失ったのだ。


ここはいったいどこなのかしら?

周りの様子を窺がおうとしても布で遮られ知るすべがない。


その時ランプの光ごしに影が揺れた。

誰かいる様だ。ミーアはピクピクと耳を立てた。


「旦那。これですか?」


「こいつを運び出せばいいんでやすね。」


奥からドヤドヤと男が二人入ってきた。


「そうだ。それをどこかひと気のない山奥にでも捨ててくればよいだけだ。」


若い男は袋から金貨を取り出すとチャリンチャリーンと男共の足元に投げ捨てた。


「おお!」


男達はあわててそれを拾い上げる。


「俺たちに任せておくんなさい。誰も来るはずのない山にちゃーんと捨てますんで。」


男は胸を叩いた。


「この事は内密にな・・・・・」


若い男は念を押すとスタスタと去っていく。


「へい。」


男達はペコペコと頭をさげ、両手を擦り合わせた。

そうして男達はきっちりと布製のカバーが掛けられたその荷物を運び出して馬車の荷台に積み込んだのであった。


この馬車は神殿内で出たゴミや廃材などを処理場まで運び出す為のものである。

けっしてめだつ事はない。


神殿の裏口からひっそりと出入りするのが常であった。

その日も人の目にふれる事もなく神殿を出て城下町のほうに向かって出て行ったのであった。



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