表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
至高の魔女  作者: みやび
4/77

第3話

丹念な毛づくろいもようやく終わりかけた頃、音もなく近づいて来た奴がいた。


黒猫のミーアだ。

首には高級そうな赤いリボンを付けている。


なにかと血統書付きなのを自慢するお高く止まった嫌なメス猫だ。


俺はこいつが苦手だ。


いつもなんだかんだといちゃもんをつけてくる。

おれより1年ほど早く生まれたらしいが子猫の頃はよくいじめられた。


理由は「嫌いだから」らしい。


今じゃ俺のほうがでかいので、そうそういじめられる事はない。

雄と雌との体格差というやつさ。


それでも猫パンチやひっかいたり、追いかけられたりという直接的ないじめははなくなったものの嫌味や皮肉といった類の言葉の暴力はあいかわらずだ。


俺の近くまできてブルブルっとその身を震わせる。


せっかく綺麗に毛づくろいしたばかりの俺の体にまたカボチャのくずが飛び散った。

こういう無神経なところがムカつくんだ。


「もっと離れたことろでやれよ」


「わざとよ。決まってるでしょ。そもそも誰のおかげでこんなことになったと思ってるの。

昨日お風呂でシャンプーしてもらったばかりだというのにとんだとばっちりよ。」


またお得意の嫌味がはじまった。


「ほんとにルーチェはできそこないよ。

もっとも、どこの馬の骨ともわからないタオなんかを選んだ時点で先がしれてるとは思ったけれどね。」


ミーアは俺の隣で入念に毛づくろいを始めながら更に続ける。


「そのきたない毛色をよく選んだもんだわ。

ルーチェは魔女としての自覚が足りないって証拠でもあるわね。


それに比べて私のこの漆黒の美しい毛並みを見て。

これこそが選ばれるべき資格なのよ。」


ツンと横を向き自慢げにポーズをとるが・・・・

頭に特大のカボチャの欠片が付いていることは教えてやらない。


自慢の漆黒の毛並みも台無しだな。

赤いリボンと額のカボチャの欠片がお似合いだぜ。


俺はさっさと場所を移動する。


こいつの嫌味と自慢は延々と続くのだ。

とてもつきあっちゃいられねぇ。


ポカポカ陽気と風が気持ちいい。

どこか昼寝の場所でも探すとするか。


-----------------------------------------------------------------------------------


『タオ 戻っておいで』


ルーチェがテレパシーで俺を呼んだ。


ピクリと耳が反応して、俺が目をさますともう日はだいぶ傾いていた。

風も強くなってきている。


2時間ほど寝ていたのだろうか。

俺はあくびをしながら起き上がると、大きく屈伸した。


勢い良く走って加速をつけて大きくジャンプするとくるりと回転して地面へ着地した。

そしてルーチェの元にまっしぐらだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ