第12話
クックゥー・・・・
聞きなれた鳴き声にフリークは振り向いた。
白鳩はスイーッと旋回するとパタパタとフリークの肩に止まった。
フリークはテントから距離をとった森の木陰に立っていた。
「それで帝都での動きは?」
『まだ何も気づいてもいない様子・・・』
「そうか。しかし油断はするな。」
『ぐずぐずしているのは危険だ。』
「ふふふっ・・そうだな。昼間は少し甘く見すぎたようだ。
しかし、ここは逃げ場もない。もうケリがついたようなものだ。」
『結果を確認しなくてもいいのか?』
「わかり切った事など必要ないね。」
そのままフリークは使い魔と共に移動魔法を使って消えた。
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月も消えた白夜の夜。
雲ひとつない晴れ渡った空だというのに突然、天空より雷が落ちた。
枯れた老木の上に落ちた雷はめらめらと燃える炎へと変わった。
乾いた空気と風に乗って炎は周りの落ち葉へと伝っていく。
みるみるその勢いは増して、周辺の木々に燃え移っていった。
炎が大きく育つほど、その上昇気流で風は更に強まった。
炎は大きな化け物となり、更に巨大になろうとするかのように次々と周りの木々を飲み込んでいく。
この森は木々が密集している為に、炎の化け物には都合がいい。
灼熱と強風の勢いは治まるところを知らない。
ただあるものすべてを焼き尽くすのみだ。
ヒヒヒーン・・・・
うとうとしていた俺は馬の鳴き声に驚いて起きた。
馬車の方向だ。馬が暴れている。
理由はすぐに判った。
もうもうと黒煙が上がり真っ赤な炎がすぐそこまで迫っていた。
森が大きな炎の塊と成り果てていた。
俺はすぐルーチェとケイトの眠るテントに戻った。
『起きろ!!火事だ!』
俺の声にミーアがすぐに反応した。
『火事ですって? これはいったい・・・』
しかしケイトとルーチェは起きない。
疲れすぎていたのだろう。ぐっすりと眠っている。
テントの中からも外が真っ赤である事がわかるほど炎は近づいていた。
俺とミーアはあせった。
2匹ともそれぞれの主の上に飛び乗るとジャンプを繰り返した。
『起きてー!!』
「きゃーっ!」
飛び起きたケイトが悲鳴をあげた。
目をこすりながらルーチェもやっと起きてくれた。
2人はあわててテントから飛び出した。
だがしかし、周りは炎に囲まれていた。
「お嬢様ー、はやく!」
なんとか馬を押さえつつ、炎の向こうから御者の声が聞こえた。
だが炎の壁がじゃまをする。
その時、馬車のたずなが切れ、馬が暴走した。
御者は落ちそうになりながら不安定な姿勢のまま馬車に引きずられて消えていった。
馬車道から逸れて、少し小道を奥に入ったところにテントを張ったのが災いしたようだ。
俺たちは逃げ場を失った。




