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第3夜 ーbefore or afterー





あれから学校が終わり雅人はいつも通り帰ろうとする…。

いつもなら何も問題無く帰れたのだが…


今日は確実に何か違った…。


第一にクラスの注目する目線が違う…。第二にその視線は俺に向けられている。


おかしい…何かあったのか?

だが雅人はその異変にすぐに気付く。


「じゃあ…帰ろっか?雅人君…。」


「あ、あぁ…(かなりぎこちなく)」


雅人の側に突然立ったのは謎の転校生…


[エリツィン ウルスフィード 杏樹]


どうやらカノジョはハーフのようで日本人の女の子とは異様に違う雰囲気を放っている。

銀色に輝く瞳…。

淡く濡れたように光る栗色の肩ぐらいまで伸びた髪…。


はっきり言おう…。



(かっ…かわいい…。)


………っと!!!!!危ない。危ない。あまりの桃源郷に雅人は自慢の顔を歪めまくっていた…。


(落ち着け…!!落ち着くんだ!

山本 雅人!!17歳!! なんでこんなかわいい転校生がいきなり!!!よりによって!!俺のとこなんかに!!?考えろ…考えろ!

……そうか!!金か!?金なのか!?金と名誉目当てなら残念だったな!!!

俺の財布は朝からうちの身内の鬼によって一銭すら残ってないぞ!?挙げ句の果てに10円ガムの当たり券まで取られたぜ!!!

ははっ!!はははは…はは…)


虚しくなったので何故このような事になったのか…

突然の展開に混乱している読者のためにも雅人は思い出す事にした…。






クラスのどよめきがやがて悲鳴へと変わった…特に男子の。


「あの…!!よかったら今日一緒に帰りませんか!?」


そうカノジョが言ってきたのは覚えてる…。

クラス中がざわめきで満ち溢れる。男子は…


「まっ…雅人さんのとこ行っちゃったぜ!?どうする?」


「どうするも何も無理だって!!」


「おっ、俺は行くぜ!!杏樹ちゃんのとこに!!」


「止めとけ!!みすみす死ぬ気か!?親から貰った命は大事にしろっ!!」


「そうだ!!雅人さんがなんて呼ばれてるか忘れたのか!?」


「くそ!!覚えてるよ!!!狂人! 核兵器! 地上最強の…なんだっけ!?」


「噂によれば族のチームの頭を一撃で倒して…やばいな」


「噂によれば前科持ちですでにその拳は人を殺めてるらしい…」


「噂によれば姉貴はもっとヤバくて常に日本刀を振り回してるらしいぞ!?」


「くそ…杏樹ちゃん、萌えるぜ…」


などと噂が先走った状態である。まぁ…確かに姉貴に関しては真実だが…。

そして最後に聞こえたセリフは無かった事にしておこう…。



一方…女子は…


「なんでいきなり雅人さんのとこなんかに!?あの転校生許せない!!」


「しめちゃう!?あの転校生しめちゃう!?」


「あの…雅人さんの顔…き〜!!転校生!!殺っ!!いつか必ず!!」


「雅人さん…カッコいい…」


「雅人君…それに…杏樹ちゃん…いい…」


といった感じである…。

お前ら全部聞こえてるっての…。例の通り最後の女子のセリフとしてヤバいと思ったセリフは聞かなかった事にしておこう…。



やっと静かになったと思われたら…

今度は何か様子が違うようだった…。

クラス中の皆の視線が雅人へと集まっている事に気付く…。


まぁクラスのやつがどうなろうと知った事ではない…。


「え〜と…杏樹さんだっけ?えと…悪い…ちょっと俺には…。」


理性を振り絞って言った雅人の一言はクラス中へと感動をもたらした。


『マンセー(万歳)!!!!』


たった今クラスの気持ちは一つとなった…。



(これで…これでよかったんだよな?どうせ俺には無理な事だから、だから………う゛っ!!!!!)


恐る恐る目の前に立つカノジョの瞳を見てみる…。そこには…一筋の涙が…今にも落ちそうでいる…。


「…一緒に帰ろうか!!!!」


「本当!!?雅人君?ありがとう!!!」


ああ…そうさ。所詮俺はこんな男さ…。 だってしょうがないさ…。

涙は女の武器だもの…。

クラス中が今悲しみに満ちようとどうでもいいさ…。


と言うわけで今に至るわけでございます…。







通学路に指定されている河川敷を歩く2人…。


どうやら2人は家に帰る方向が同じらしい。

これぞまさに運命の出会いなりっ!!!

…ってそんな事はどうでもいい!!


雅人は勇気を振り絞って聞いてみる…。


「あの…エリツィン…。」


「あっ、杏樹でいいですよ!!出来れば杏樹って呼んで下さい!!」


思ったより積極的なカノジョ…杏樹に多少圧倒されながら、雅人は一番気になっている事を聞いてみる…。


「じゃあさ…杏樹…さん。こんな事いきなり聞くのは失礼だと思うけど…なんでいきなり俺なんかと一緒に帰ろうかと思ったの?」


すると杏樹は一瞬悲しそうな目をしてこうつぶやいた…。


「やっぱり…覚えてないですよね…。」杏樹の瞳が悲しみに落ちるのが分かる…。

ふと…杏樹の右腕におかしなものが付いていることに気付いた。

よく目を凝らしてようやくわかったソレは…



小さな絆創膏だった…。


何かが頭に引っかかる…。とても…とても大事な事に答えられない…。


頭が…痛くなる…。


その全ての疑問に答えるかのように…杏樹が答える…。


「あのね…雅人君…。私ね…。」


[プルルルルル!!、プルルルルル!!]


突然鳴り響くその音は雅人が姉貴の魔の手を逃れて最近ようやく買うことの出来た携帯電話の着信音だった。


「ごっ、ごめん!!!ちょっと電話出るね!!」


杏樹は言葉に出さずに軽くうなずくだけだった…。


[あ〜雅人!!今すぐ家に戻って来いよ〜!!]


鬼の姉貴からだった…。また金の請求か…。


「もしもーし…もしもーし。」


[プー、プー、プー、]


そうでしたね…幸様…あなたはいつもそう…

マイペースのかぎりを尽くしていつも私の邪魔をなさるのですね…


「ごめんっ!!!ちょっと用事が出来て急いで家に戻らなきゃいけなくなって!悪い!!じゃあまた明日!!」


急ぎの用だったから仕方ない…。そう言って雅人は自分自身を納得させる。


「あっ…」


そんな雅人の姿を杏樹はただ見つめるだけだった…。







「今日、屋根修理の業者呼んだらさこのアパート自体直さなきゃいけないんだって!!だからリフォーム代はお前持ちね!!」


そう幸様は言われました…。


どう考えても道理が合いません…。

鬼ですか!?アナタは…。

本当に実の姉ですか…!?


私はただそれだけのためにここに急いで来たのでしょうか…?


私はもう…泣き寝入りするしか無かったのです…。


ただ姉の部屋の押し入れで泣くしか…。






いつも通り気だるく学校に行く…。


途中で孝太郎に会って杏樹の事を問いつめられたが、答える気力もなかったから無視した…。


教室に入るとなぜか杏樹の姿がなかった…。


クラスの皆も男子を中心にかなり動揺している。

当然男子達は昨日一緒に帰った雅人に疑いの目を向けている…。

当然何も知らない雅人はそんな男子達に苛立ちを覚えた。


(なんで昨日から姉貴といい…こんなにイライラさせるんだよっ!!!何も知らないっての!!!)


雅人の鋭い眼光が男子達を襲う。

捕食されると思った男子達は即座に視線をずらした。


今日の1日は無気力のまま終わった…。






何となく昨日の事を考え直してみたくて今日は歩いて帰る事にした…。


辺りはすでに日が落ち暗くなっていた…。


しかし…昨日杏樹はあんなに元気だったのに、まさか俺が途中で帰ってしまったからって怒ってしまったのか!?


もしくは…あれから何かあったとしか…。


「まぁ大丈夫だろっ!!俺が考えても仕方ない事だし!!!」


そう安易に考えてるうちにアパートに着いていた。

まだなんとなく実感のわかないその大きな穴はどう考えても、現実離れしている…。


さっさと例の押し入れに入って寝よう…そう思った矢先、雅人は大事な事を思い出した。


「っと…授業道具は俺の部屋だったな…。」


なにかとA型はこんな時でも几帳面すぎて困る…そう雅人は思った。


限界の前に着き鍵を開けようとする。


「そういやあの犬って…どうやって抜け出したんだろ?

しかもあの怪我で…

まさか…天井の穴…って事はないよな!?もしかしたらまだ部屋にいたり!?」


そんな有り得ない想像をした後さっさと部屋へと入る…。



そこには……。


あの犬がいた…。


「…ありえね〜…」


近くに寄ってみるとまさにあの犬だった…。

右腕に絆創膏…。

しかもあろうことかまた全身に傷を負っている…。


「おいおい…全く何してんだよ…?」


半ば呆れながらも雅人は再び傷薬を用意しようとする…。


その時だった…。


「キャン!!…キャワン!!!!」


犬がもの凄い苦しみ始めてるように見えた…。


ヤバい…雅人はそう思い犬を放っておけず迷わず電話帳から地元の動物病院の番号を調べ始めた。


「頑張れ!!待ってろよ!?犬っころ!!」


その思いと裏腹に犬はかなり苦しみだしている…。


「くそっ!!これじゃない…これでも…!!落ち着け!!!」


そして…


犬の動きが止まった…。


「おい…犬…くそっ…くそっ…」



犬はもう動くことはなかった…


「くそ…」


自分の全くの無力さにどうしようもない悔しさがこみ上げる…。



その時だった…


突然犬がビクンッと跳ね上がる…。


「え…。」


それだけじゃなかった…

確実に目の前で有り得ない事が起きている…。


犬の体がドンドン長くなっていき…その体毛は徐々に薄くなっていき…



犬は月夜の光に照らされながらその姿を示し始めた…。


それは人間の体のように…いや…それはまさに人間だった…。


そして…それは…雅人には見覚えがあった…。




「…杏樹…。」


栗色に輝く髪…。


そして右腕に張られた絆創膏…。

犬…いや、杏樹は目を覚ます…。


「………」


ふと…目が合った…。


「……こんばんはっ!!!すみません!!!!」


第一声がそれだった…。




満月は何も語らない…。



だけど…物語は確実に時を刻む…。




結構力を入れたのがこの話です!!

おかげで結構疲れましたね!!

多分結構誤字などがあると思うので…


ど〜かこの愚か者に指摘をお願いしましょ〜(Θ_Θ)

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