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婚約破棄された令嬢が犬に癒やされていたら、俺に婚約破棄されたのに悲しくないのか?とカラまれた話

作者: 山田 勝
掲載日:2026/05/30

「イルザ!婚約破棄だ!真実の愛に目覚めた。ミシュルが運命の相手だ」

「フフフ、イルザ様、ごめんなさい。デビット様は私でなければダメですって」



「そんな・・・」


 長年、愛を育んでいたと思ったデビット様から学園で婚約破棄をされた。



 辛い。いや、元々デビット様とは上手く行かないかもと思っていたけども。

 これは拒絶だ。せめて話合いにして尊重してくれたら・・・いいと思ったのに・・



「グスン、グスン・・・」

「お嬢様」

「ケリー、今日は寄り道して帰るわ・・・お花屋さんに行くわ」

「はい、お嬢様」



 私は悲しいときがあると下町に行く。平民に紛れると少し安らぐわ。



「ワオオオ~~~~~~ン」(僕はここにいるよ)



「あら、新しいお店だわ。動物ちゃんが沢山いるわ・・・ここは『ペットギルド』?」

「お嬢様、狼犬ですかね」



 店の中に沢山の犬がいた。どちらかと言うと狼に近いりりしい子たちだ。皆で私を見ている。

 すると奥から主人が出てきた。


「ハラショ!これはハスキーたちだ。もらってくれないか?」

「えっ、と貴方は?」

「ごほん。あだ名は灰色の枢軸卿だ。まあ、名はイワンとしてくれ。転移してきたらしい。全くジャポニアのアニメは嘘ではなかったのだな」


「今なら、犬ソリと車をつけよう」

「犬ソリ?それは大丈夫なのですか?」

「うむ。君がこの子の主人になれば大丈夫だ」


「わ、分かりました。頂きます」

「お嬢様!旦那様に相談しなければ」



 何故、この狼犬を引き取ったのか分からない。5体引き取ったわ。

 灰色、青、茶色が基調な子、皆、友好的だわ。


「ワン!」

「ワン!ワン!」

「「「ワン!ワン!ワン!」」」(新しいご主人だ!)




 それから私の生活は一変した。学園へは犬車で登校したわ。


「「「ワン!ワン!ワン!」」」

「お嬢様、お迎えにあがりましたわ」

「ケリー、有難う」



「い、犬?犬車だと!」

「犬に引かせているわ」

「しかし、あれは狼か?」


 犬車に乗って登下校する。皆の視線を集める。悪い気はしない。


「ワン!」

「ワン!」


 皆、個性があるわね。好きな物が違うのが分かると楽しくなった。


 帰ったらお庭でボールを投げて遊ぶ。



「エイ!」

「ワン!」


 しかし、こんなに運動させて大丈夫かしら?


「やあ、イルザさん」

「イワンさん」


 時々、イワンさんが見に来てくれる。やせた中年のおじ様で神経質だけど優しい。


「大丈夫だ。それぐらいの運動量が必要だ。元々は雪原のソリを引く仕事をしていた犬たちだ」


「そうですの?」

「だから、少々、賢くない。賢かったら何でこんな物を引かされるのだと憤慨するだろう」

「まあ、そんな・・・」

「現実は全て知らせる必要はない。必要と思うのだけ知らせれば良いのだ」



【キャイン!キャイン!】



「キャ、ゴローニンが生け垣に引っかかりましたわ!」


「キャイン!キャイン!」(ママ、助けてくれ!)


 えっ、今、犬が私をママと呼んでくれたような・・・


「キャイン!」(ありがとう)

「ワン!ワン!」(さすがリーダー)



 犬から信頼される。

 犬は良い。決して主人を裏切らない。

 犬とはそのような存在だ。



 楽しく暮らしいたら・・・




 ☆☆☆学園



「おい、イルザ!何故、婚約破棄されたのにそんなに楽しそうなのだ!」

「デビット様、もう関係ございませんわ・・・そのはずですが・・・」


 デビット様が構ってきた。



「私に婚約破棄されたのに悲しくないのか?」

「え、悲しいですよ」

「本当かよ」


 正直、ワンちゃん達のお世話の事で頭がいっぱいだ。その時、生徒会長から話しかけられた。




「やあ、イルザ嬢」

「まあ、殿下、ご挨拶を申し上げますわ」

「うむ。実はイルザ嬢の犬たち。父と軍部が感心を持っている。軍用犬として使えないかと」


「まあ、あまり賢い子たちではございませんわ。でも、僻地での物資輸送なら」

「繁殖を考えている。ペットギルドを教えてくれないか?」

「はい、地図を」

「案内してくれたら助かる。犬車に乗りたい」

「殿下・・・」




 殿下と一緒にペットギルドに行く約束をした。


 しかし、当日、下校の時になったら。


 ミシュル様が口を出してきた。



「狼犬も主人を選ぶべきですわ!私とイルザ様、どちらが主人に相応しいか狼犬に選んでもらうべきですわ!」



 また、無理難題を・・・デビット様も乗り気だ。


「まさか、犬にも選ばれる自信がないのか?」



 正直、うっとうしいが、良いだろう。ワンちゃんたちとの絆を感じている。



「お嬢様・・きました」

「ケリー、ワンちゃん達ご苦労様ですわ」

「「「ハア、ハア、ハア」」」


 犬車が来たので犬五体を並べて、私、デビット様とミシュル様のどちらの方に行くか実験をすることにした。




「はい、ワンちゃんたち。ご主人のもとに行って下さい」

「「「「ワン!ワン!ワン!」」」


 え、ワンちゃんたちはデビットとミシュルの方に行ったわ・・・デビットは大きな骨付き肉を持っている。



「嘘・・」


 食べ物に釣られた。


「ア~ハハハ!」

「犬にもフラれたわね!」



 ワンちゃん達はミシュルとデビットを乗せてそのままどこかに行ったわ。



「なんて恩知らずのワンちゃん達ですね!」

「・・・グスン」

「お嬢様・・・」




 しかし、デビット様とミッシュル様は行方不明になりましたわ。






 ☆☆☆三日後



「え、デビット様とミシュル様・・・北の山で見つかった・・・ですの?」

「ええ、そうです。あの後、ワンちゃんたちは雪が残っている北の山まで行ったそうです・・・辛うじて生きています。いえ、ワンちゃん達は元気です」



 意味が分からない。イワンさんに聞いてみた。



「ハラショ!ワンコたちは、時々シベリアぐらいの環境にいきたがったのではないか?」




 その後。


 ワンちゃん達は何気ない顔をして戻って来た。


「「「ワン!ワン!ワン!」」」


 計算してそうしたのかお馬鹿なのか分からない。


「次からは黙っていなくなってはいけませんわ。悲しいですから」

「「「「ワン!」」」



 でも、この子の面倒を犬生見ようと誓ったわ。

 だって、私はこの子たちのママでもあるのですから。





最後までお読み頂き有難うございました。

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