表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

此花神社

作者: たぶれっと
掲載日:2026/05/22



──続きまして、NEWSです。

昨晩、此花神社にさい銭泥棒があったようです。

賽銭箱が壊されていました。

犯人は捕まっていません。

続きまして──



「へえ。そこのすぐ近くの神社じゃない。せこい話だね」



「嫌だね。罰当たりな」



きつねうどんを母と二人で食べながらTVでお昼のニュースを見ていると、近所のお稲荷さんでさい銭泥棒があったらしい。

さい銭泥棒とはいえ、近所でよくお参りする神社なのでいい気はしない。

しかし、こんなピンポイントで小さなニュースをTVで流すだろうか?

地方局だけど。



夕方からの勤務なので支度を終えて靴を履く。

夜勤だから余裕と見せかけて、忙しいんだろうな──



「行ってきます」



母に一声かけて家を出る。

今日は、一日雨の予報だから傘を用意した。

しかし、ぱらつきもせず無駄になった。

(まぁ、夜に降るだろうし……)

空一面の白い曇り空。

商店街のアーケードにいつもの烏が止まっている。

それはそれは大きな…………とても不釣り合いな、アーケード壊れるだろ…………という大きな烏が一羽止まっている。

私はいつものようにその烏に手を振る。



(行ってきます)



1人の老人が前から来てすれ違った。

灰色のパーカーに灰色のスウェット。

不審でも無かったけども、違和感を感じた。

とはいえ通勤なので気にもとめずに地下鉄の駅へ急ぐ。

その日の晩は大層繁盛した。

仕事を片付けて帰路に着く。

予報は90%の雨の予報だったが、またしても降られなかった。

傘を用意するも…………偶には降られたい。

夜空は白く光り紫色の雲に包まれて、恐らく当分繁盛するだろう。




翌日。

休日に遅く起きて、母にぶつくさ言われる。

昼飯の前に、さい銭泥棒に遭った此花神社にお参りに行く。

信心深いかというと、どうだろう。

いまいち自分が信用出来ない。

それでもお賽銭を入れて手を合わせる。

賽銭箱は新しいのが設置されていた。

…………仕事が早い。



鳥居を潜り、なんとなく後ろを向いた。

すると青い顔色の悪い蛭子様が居た。

稲荷神社だし…………商売繁盛繋がりか……………。

ヨシ!

明日も繁盛する気がした。



晩ご飯をおさんどんをして、夜のNEWSを母と視る。

さい銭泥棒が捕まっていた。

犯人の映像が映る。



──灰色のパーカーに灰色のスウェット。

やっぱりあの時の老人だった。

そんな気はした。



(馬鹿だねぇ………彼処の稲荷は効くのに)



恐らく祟りがいくだろう。

犯人の老人に少し同情した。



ニュースを見終わり、寝室の2階に上がろうと電気を消した。



ポゥ



音はしないけど、暗闇に長方形の白い枠が浮かんだ。

電気をつける。

何もなく壁が見える。

電気を消す。

ただの暗闇が訪れた。



烏といい、白い枠といい、異界からの誘いが来る。



(ドラフト1位かな…………)



心でつまらない事を呟いて、2階に上がった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ