Disc5
主人公のライバルに転生してから、彼の旅路が遅れないように急ぎ本編を進め、初見殺し返り討ちを貫いてきた。
そのせいか、
「お前、ボロボロじゃん。」
ボロボロだ。
キャラストーリーやサブイベントを飛ばして来たので、旅の終わりにいっぱいになるはずの思い出ボードがスカスカになっている。
箱庭別荘でかけれるBGMが少ないと思ったら、これが原因か。
本編攻略の効率化の為にウェブイベントや公式の配布アイテムの回収に走りすぎたようだ。
「それで今から最初の町に戻って世界を隅々までまわり直そうかなって思ってるんだ。よかったら、一緒に行こうよ。」
世界を崩壊の危機から救い、共に並び立つ二人の高僧と呼ばれるようになった今。こういう後日談くらいあってもいいかと思っていた。
「むりむり、そんなことやってる暇ないだろ! 無人島で開かれる武闘大会が俺達を待ってるぞ!」
相変わらずこの世界の主人公は、キラキラ輝く瞳で、旅の準備に余念がない。
「島なんてマップにありました…か…?」
「だから、世界拡張だって言ってんじゃん! これからはR2でマップ切り替えれるようになるんだよ!
俺達はただ参加するだけじゃなくて、大会前のセレモニーにも招待されているから、遅れるなよ!」
クリア後の追加ストーリーなら、世界をまわり直しながら潰していけるが、本編後にマップ外に世界を増設されるなんて前代未聞だ。
「…そうそう、新しい衣装の採寸にもいかないと…。じゃぁ、先に行くからな! はい、これ船のチケット! 招待状も失くすなよ!」
言うだけ言って用事を済ませると、風のように走り去っていく。何か相当忙しいようだ。
バタバタと忙しない彼の手首で、赤い紐が楽し気に揺れている。
ストーリークリア後はどこかの町に落ち着いてくれていれば、こちらのタイミングでいつでも会いに行くのに。
理想的な主人公とライバルの関係に近づけようとするほど、空回りする。ぶつかり合って高め合う者同士、そういうものなのかもしれない。
追加DLCなんて、クソだ。




