Disc2
洞窟を出た先の水辺にテントを張ってシートを広げる。本日はこちらでお昼のようなので、勝手に並べてこちらもテントを張らせてもらう。
積石、火起こし、急須に湯飲み。手際がいい。
人生何周目なんだ、こいつ。
「旅には慣れたようだな。」
こちらはまだ焚き火に不慣れだが、みっともないところは見せられない。
「うん。」
会話くらいは出来る距離感。
「龍を倒しに行くなんて、冗談キツイよな。」
「倒すんじゃなくて、鎮めるんじゃなかった?」
「大した違いじゃないだろう?」
陽射しが明るいポカポカ陽気。お昼ごはん、おむすびのようだ。カブった。
さっきの町で同じ店に寄ってしまったようだ。
「あのおむすび屋、看板デカかったもんな…。」
食後の甘味は焼き餅。一つ寄越してくれるので、こちらのどら焼きと交換する。包みについていた赤い紐を輪にして腕にかけてくれる。
「これに、願かけていいよ。」
すぐ切れそう。
「お礼にいいコト教えてやるよ。龍は刀では倒せない。堅い鱗に守られているからな。龍は真言で倒すんだ。」
「…!」
「そう、俺達には仲間が必要なのさ。」
「物知りなんだね。」
急に褒めてくる。
「んもご…。ま、まぁ…、それなりに…。」
大きめの一口で食らいついていてよかった。お茶だったら吹き出していた。
「なんか、お前、緊張感ないな…。一応ライバルなんだから、馴れ馴れしくするなよ!」
「そっちがテント横に張ったのに?」
何が悲しくて道の向こう側から話しかけなきゃならんのだ。テントくらいは横でいいだろ。普通。
「こ、細かいことは気にするな。それより、次の町はこの先の遺跡越えて向こうだから迷うなよ。」
「あ、そこ飛ばそうと思ってる。心惹かれるところから回ろうかなって…。」
はい! それダメ!
先回り出来ないやつ!
「なんでだよ! 近いところから行かないと効率悪いぞ! 地図貸せよ番号つけておいてやるから!」
ライバルに転生したからって、主人公がどこにいても画面の端から駆けつけられると思うなよ。
過信するな!俺を!
「ウシミツドキシティに先に行きたかったのに…。」
「なんでそんな怖いとこ行くんだよ!? 俺は行かないからな!
その町に行くのも禁止! 道なき道を行くのも禁止! 技術を駆使して、時にシステム上のバグも利用しながら、無理やり崖を登ったり海を渡ったりして、本来まだ行けない町にストーリー進行無視して行くのも禁止!
それやると、時空歪むから!」
まくしたてるように禁止事項を言い挙げていくと、心から不満気な顔がこちらを睨み返してくる。
「…それが旅の醍醐味なのに…。」
こいつ、旅と冒険を履き違えている。
オープンワールドなんて、クソだ。




