輪廻思想ははじめてかい?(2)
「輪廻って知ってるわよね?」エリアは高田に訊いた。
「パスタァ?」高田は阿呆だった。
「それはペンネだよ」ヱライは苦笑した。
ふと、ヱライが時計を見ると12時であった。高田の腹がなった。
「ペンネ食いながら話すか?」高田はこくりと頷いた。
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高田はフォークの手が止まらなかった。腹を空かせたのもあるだろうが、どうやらヱライの料理は絶品らしい。
「1時間は経ったわね…まぁいいわ。話を続けましょ」
「はい」
「輪廻はね、佛教のうまれかわること。転生と同じような物なんだけど…ここからは医者のトップシークレットなの、悪いけど誰にも言わないでね」ヱライと高田は大きく頷いた。そして、エリアは二人の耳にボソボソと言った。
「実は、転生する人たちは、1度死にそうになって死ななかった人がするみたい。」
「えぇ…転生で特徴が変わったりは…?」高田は少し嘆いていた。また少し困惑していた。
「固有の身体能力自体は変わらないそうだけど…容姿は変わるとか…ま、実例が少ないから分からないんだけどね」エリアは答えた後、続けた。
「鏡があっちにあるから、見てきたら?」
「…はい!」高田は、自分の容姿に怯えて少し躊躇ったが、逆の可能性もあると考えて快く頷いた。
高田は鏡を見た。顔は変わっていた。また、体はたくましくなっていた。とはいえ、そこまで美貌でもない。極めて普通の体だった。髪は少しベージュがかり、センター分けがかかって、三十路を過ぎたようには見えない体だった。
高田はかなり喜んでいた。急いでダイニングに向かった。
「…かなり変わってますよ!これは神々に恵まれたとしか…」
「ヨカタネー」夫妻は冷たく返した。
「でも、研究にはなるからありがたいよ」エリアは言った。
「君はさ、前世の記憶はあるんだよね?」エリアが訊いた。
「はい…少し曖昧なところがありますけど…」
「それならなおさらだね。転生は記憶が失われることはない。輪廻だと意外にも記憶が薄れたり完全にないこともあるのよ。特に、死の数年前」
「へー、そうなんですね」
「それじゃあそういうのは法的な手続きが必要だから、役所行くよ」
「ゑ」高田は困惑した。
「それやらないと私達が捕まるんだから…輪廻・転生特別法とかいうね…最近問題になってるのよ…」エリアは呟いた。
「あ!そうそう…転生したての例の君!」ヱライは何かを思い出したように高田を呼んだ。
「…なんですか?」
「名前、なんて言うんだい?」
「高田、高田慈郎と申します!」
「そんな元気に言わなくても良いんだけど…」ヱライは苦笑した。
「名前、変えてみないかい?」ヱライは訊いた。
「高田ジョンみたいな感じですか?」
「間違って無くもないが…まあ端的にいうと我がズワデスク家に入って貰いたいってことだな…あ、結婚相手は極力探すから」
「良いですよ」
「ゑー…」高田はスンナリ受け入れた。
「いや寧ろ…有り難くないですか!前世で三拍子揃ったブスだったんですよ!童貞で…」
「いやー、ありがとうね」高田はヱライにまた無理矢理握手させられた。
「でこの感じだとジロー・ズワデスクになるけど…変える?」またヱライは訊いた。
「それはいやですけど…特に良い名前なんて思いつきませんからね…ヱライさん決めてチョ」
「えー…たらい回しになりそうだけど外国語詳しめな友達に聞いてみるか」ヱライはたらい回しした。
「"( ゜∇^)] モシモシ…"」高田は悩んでいた。そんなとき、あるテレビCMが流れ出した。
「"Assol.polès je Leorå Lehy"」
「レオラ=レイ?」高田は何かに運命を感じた。
「ヱライさん、名前決めました」高田はヱライへ言った。
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「レイっていい名前だな」ヱライはレイに言った。
「人生面白いですね」レイは返して、茉莉花茶を飲み干した。