輪廻思想ははじめてかい?(1)
高田は目を覚ました。
「ん?ここは…?」高田は見渡すと、煉瓦の隧道が一直線に広がっていた。高田は思い立って、そのままこの道を真っ直ぐ進むことにした。高田はこの世界に期待していた。しかし、高田はふと気づいた。もしこれが転生ならば、自分が死んだことに。とはいえ、高田は憶えていない。自分がなぜ死んだのか分からないまま、一歩一歩足を踏み出していった。
---
高田はトンネルに一筋の光が差しているのを見つけた。思わず走り出していくと、そこにはのどかな街並があったのだ。
「え…まじ…………」高田は愕然とした。意外にも、日本的な街並であった。
そのまま街を進んで暫く。高田は倒れた。熱中症を患った彼は、小道の中で一人また死が待ち受けていた。
---
「ん?目覚めたらしいな…大丈夫かい?」高田は目覚めた。そこには、35歳ほどの小さい男が立っていた。
「あなたは…」高田が訊いた。
「名乗るほどではないが…私はヱライ・ズデワスク。よろしく」高田はヱライに無理矢理握手させられた。
「まったく…私が医者やってなかったら貴方死んでたんだから…私はエリア。よろしく」
「は、はい」高田は頷いた。
「ところで、なんでカシオペア持ってないんだ?」
「カシオペア?星ノコトデスヨネ」
「そんな星があったらかっこいいよな」ヱライは笑った。
「万能薬のことだよほらあの…カ~シオ~ペアカシオペア~カ~シオ~ペ~~ア~~ってやつ…」ヱライは高田とエリアに白い目で見られていた。
「にしても…ポーション?アニメでしか見たこと無いけど…」
「近頃そういうアニメは流行っているが…実物を見たことない?ここの民はそんなことあり得ないと思うのだが…」ヱライが頭を悩ませていたそのとき、テレビの映像が流れた
「"本日のルサースクの天気は晴れのち曇、行楽日和です。本日、桃源郷からは昨日正午から先程までに四人、転生者が観測されました。…"」
「もしかしてあんた、転生者なんじゃない?」エリアが訊いた。
「その…アセペラータ?って煉瓦の隧道だったり…」高田が訊きかえした。
「ま、人によって見え方は違うそうだし…あ、そうそう」ヱライが高田の腕の甲を無理矢理見た。そこには蜻蛉のような紋章があった。
「ほえー トンボみたい」夫妻は息をそろえていった。
「私達何回か見たことはあるわ。私のお姉ちゃんにもいた気がする」エリアが言った。
「まぁ何がともあれ転生者なんだからラッキーじゃないか」
ヱライが言った。
「でも、それって死んだってことじゃないんですか?」高田は憶えていないので、自分が死んだことに驚きを隠せていなかった。
「否、最近分かってきたんだよ。転生者は死んでないってことをね」エリアが話し出した。