【番外編】新生活(1/6)
結婚式の準備×2、皇太子妃教育、さらに子育て。
ヴァルドはヴァルドで、5つの公爵家との関係改善を進めつつ、外交で手腕を発揮していた。
私との婚約と結婚式の日程も発表されている。前世なら各国が、ひとまず電話やオンライン会議でお祝いを伝えるだろう。
ところがこの世界、そんなことができない。そうなると書簡や特別な使者を送り、お祝いの言葉を伝えることになるが……。
ヴァルドのおかげで帝国は、開かれた国になりつつある。その流れを諸外国は感じていた。お祝いに乗じ、帝国の内情を探ろうと、書簡ではなく、使者を次々と送り込んでくる。
そうなるとお祝いを伝え、それで終わりにはならない。当然、ヴァルドとの会談を求めるし、そこでは踏み込んだ話も行われる。
私もヴァルドの婚約者として、晩餐会や舞踏会に同席するが、そこまでだった。ヴァルドは分刻みで動き、各国の使者との話し合いの場に臨んでいる。
つまり私もヴァルドもとんでもなく忙しい日々を送っていた。
とはいえ、共に皇宮で暮らしている。
それならばヴァルドとゆっくり話す時間、もてるかと思ったら……。
既に息子がいる身ではあるし、私は皇太子妃と呼ばれている。が、結婚式をまだ挙げていないのだ。よって部屋は別々。
朝食は皇帝陛下夫妻と共に食べ、昼食は全員バラバラ。公務もあれば、ランチミーティングになることもある。それぞれが予定にあわせ、摂ることに。
夜はそれこそ、晩餐会や会食となり、もうそこは社交の場。
親子水入らずで食事をする……ことにはならない。
では晩餐会なり、会食が終わった後。
ヴァルドが私の寝室に来てくれる……こともないのだ(涙)。
そもそも晩餐会や会食の場には、諸外国の使者も参席している。5つの公爵家の当主陣もいるのだ。食事を終え、終了とはならない。
その一方で皇帝陛下夫妻は、まだまだ若いと思うが「ではヴァルド、後は任せた」と早々に退出してしまう。
そうなるとヴァルドは隣室へ移り、そこで行われる非公式の会談を次々とこなすことになる。つまり食事の後もヴァルドは、外交と社交に励むことになるのだ。
その点、女性は楽だ。
使者が夫人や婚約者を同伴していれば、その相手をするが、紅茶とクッキー、そして談笑で済む。しかも入浴の準備が整ったと思われるタイミングで、それぞれ退出。男性陣のように夜遅くまで社交することは求められていない。
そのおかげでフロストとの時間は、夜眠る前にもたっぷり持つことができている。
「フロスト。パパは今晩も外交と社交で大忙しなの。でもね、頑張ってくれているのよ。きっとフロストが将来、この帝国を治める時は、いろいろな国と仲良くなっていると思うわ。それはパパのおかげよ」
フロストはベビーベッドで既にすやすや眠っているので、聞いていないと思う。それでも小声でそんな風に語り掛け、その寝顔をしばし眺め、癒しの時間だ。
そこではこんなことも考えてしまう。
せっかくならフロストに、弟や妹がいたらいいのに。
でもヴァルドがこの忙しさなら、それも難しいかしら……?
そう考え、でも待って、と思う。
結婚式がまだなのだから、二人目の子供を……なんて言っていたら怒られてしまうかもしれない。王族や皇族の結婚は、伝統にのっとり、手順を踏むものなのだから……。
まだ結婚式も挙げていないのにフロストがいること自体、実にイレギュラー。これ以上の非常識はできない!
それでも約二年ぶりでヴァルドと肌を重ね、その素晴らしさを再認識してしまったのだ。
しかも二年前と違い、ヴァルド主導で抱かれると……。
全然違う!
あんなことやこんなことをヴァルドがするなんて、もうビックリだった。
『夜の儀』には書かれていたが、それをされるのは初めてで、恥ずかしいけれど気持ちよく……。
ダメ、何を思い出しているの、私は!
そういうことはちゃんと婚儀を挙げてから。
しばらくお預けよ。
でも……。
「フロストとヴァルドと三人で、暖かくなったらピクニックにも行きたいわ。それにヴァルドと一日、のんびり二人きりで過ごしたいわよね……」
それは自然と思ってしまったこと。
親子三人の時間。
それはとてもかけがえのないものであり、大切なもの。
同じぐらい。
ヴァルドとの時間も大切にしたいと思ったのだ。
せっかく相思相愛になれて、一つ屋根の下に暮らしているのに。二人きりの時間を持てないから……。
「ミア皇太子妃、そろそろ入浴されますか?」
「そうね」
侍女のリカに声を掛けられ、フロストの部屋を後にした。
お待たせいたしました!
読み切り番外編の更新スタートです~
以下作品でも読み切り特別編が登場!
本編完全完結★『私の白い結婚』
https://ncode.syosetu.com/n9568jp/
「え、騎士団の団長!? いや、絶対! 体中傷だらけできっと獣みたいなんだわ! 私は第二王子みたいな優しい男性がいいわ! それに平民成り上がりの侯爵なんてまがい物のよ。絶対に嫌です」
王命で騎士団長に嫁ぐように命じられるが、妹は断固拒否。そこで私は妹の代わりに“野獣”と恐れられる騎士団長に嫁ぐことになり――。
併読されている読者様、ライル&アイリの読み切り特別編です。
あのライルが甘々モードでアイリに迫る!?
ぜひ胸キュンしながらお楽しみくださいませ~























































