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宿敵の純潔を奪いました  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中
第三部

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突然の

 フロストの部屋に着くと、ちゃんと乳母が付き添っていてくれた。


 確認すると、私達が夕食会をしている間に、フロストの入浴も終えてくれていた。フロストは入浴後しばらく起きていたが、今は再びぐっすり寝ており、何も問題ないとのこと。


 安心し、自室へ戻ることにした。


 部屋に戻り、ドレスを脱ぐ間に、入浴の準備が進められる。


 帝国に来て、驚いたことは。

 それは湯船にじっくり浸かる習慣があるということだった。


 帝都がある辺りは、冬の寒さが厳しい。だがその帝都の中心部で、なんと温泉が発見されたのだ。湯はこんこんと湧くことから、地下水路を作り、皇宮内に温泉を運ぶ仕組みを作り上げた。


 そしてバスタブにはカラン(蛇口)がつけられ、温泉の湯で満たすことができたのだ。


 これには驚き、その技術は、マリアーレ王国の先をいっていると思った。


 とにもかくにも温かい湯にすぐに浸かることができ、大変便利。しかも温泉なだけあり、疲れた体に効く。そして体の芯から温まるので、熟睡することもできた。


 今日もしっかり浸かり、疲れを落とし、入浴を終えることになった。


 香油を塗り、白の寝間着に着替える。ラズベリー色のガウンを羽織り、寝室へ向かうと……。


 いい香りがする。


 既に侍女がナイトティーを用意してくれていた。


 ソファに座り、注がれたばかりの紅茶を口に運んでいると、メイドが足早に部屋へ入ってくる。


「ヴァルド様がこちらへ向かっているそうです」


「え、そうなの? 夕食会の後、歓談をしていたのではないの?」


「はい。そうなのですが、『疲れているので』と早めに切り上げ、既に入浴も終えているようです」


 入浴も終えている……ということはヴァルドも寝間着にガウンということだろう。ならばドレスに着替えなくてもいいということ。そこは安心し、寝室を出て、前室へ向かった。


 前室にはソファセットが暖炉のそばに置かれ、窓際にはテーブルセットがある。ここで食事をとることも可能だ。今は窓に、厚手のアイボリーのカーテンが引かれている。


 ひとまずソファに腰を下ろした。足元は毛足の長いベージュの絨毯で、暖炉の火もあり、大変温かい。


 パチッ、パチッと薪の爆ぜる音がしている。

 外は冬の夜、寒さは厳しいはず。

 でもここはとても暖かい。


 メイドがヴァルドの分も含めた紅茶を用意してくれた。


 そこでノックの音がして、ヴァルドが入って来る。


 濃紺の寝間着にオフホワイトのガウン。いつもサラサラと額にかかる前髪は、後ろへ流している。まだ髪が少し湿っているのかもしれない。


「ミア、寝室で待っていてくれてよかったのに」

「? そうなのですか?」

「ああ。今日はとくに冷える。一緒に休もうと思った」


 一緒に休む。

 あ、そうなんだ。

 え、一緒に休む!?

 一緒に休む=一緒のベッドで寝ること!?


 ここはホテルではないので、寝室にベッドは一つしかない。


 さらにマリアーレ王国には夫婦の寝室があるが、ここにはない。

 つまり……。

 え、え、え。


 お互いの気持ちを確認し、相思相愛であることは分かっている。

 夢の中ではキスをして、それ以上もしていたが。

 さらにはあの約二年前に一晩だけ結ばれたが。


 以後、何もない。

 現在に至るまで、夜を共に過ごすことはなかった。


 漠然と私は、これから二回も結婚式を挙げるのだから、そこで何かがあるだろうと思っていた。

 何かってつまり、その……アレですよ、アレ!

 まさか今晩とは思わず、もう心臓がバクバクしてしまう。


「せっかく紅茶を用意してくれたのなら、飲むか」


 そう言うとヴァルドがソファに座った。

 対面ではなく、私の隣に!

 なんだかとってもいい香りがヴァルドからして、つい彼に体を近づけていた。


「ミア……」


 ヴァルドは、ティーカップをとろうと伸ばした手で、私を抱き寄せた。

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