バレていたのね……。
まずは父親と会うことになり、応接室へ向かうことにした。
案内のため、部屋に来たのは……。
なんとノルディクスとコスタと侍女のリカ!
久しぶりの再会に涙が出そうだった。
ノルディクスとコスタは、サンレモニアの村で再会していた。でもリカとは本当に久々に会った。しかもリカを気絶させ、私は逃亡したから……。
何か辛い目に遭わなかったかと確認すると。
「共犯と疑われることはありませんでした。私を気絶させ逃亡したと、すぐに判断されたので。よってひどい目になど遭っていません。今は双子の王女様達の侍女をやらせていただいています。ですが皇太子妃様にお許しいただけるのであれば、ぜひ私を帝国へ連れて行ってくださいませ。お仕えしたいと思っています!」
リカの忠誠心には涙が出そうになる。
「ぜひついてきて、リカ!」と当然答えることなった。
その一方でコスタは、こんなことを私に告げた。
「サンレモニアの村に行った時、気づいていましたよ。三年間。苦楽を共にしていたのです。その団長のことを、忘れるわけがないじゃないですか。いくら髪色を変え、眼鏡をかけ、瞳の色を変えても。団長は団長ですから」
やっぱりそうだったか。ノルディクスとうっかり、騎士団でお馴染みのハンドシェイクをしてしまい、「もしや私の正体、バレている?」と思ったが。
ノルディクスは勿論、コスタにもバレていたのね……。
「あの時、気づいていなかったのはタリオ様だけですよ。団長と過ごした時間が、タリオ様は少なかった。そこは分からなくても仕方ないと思います。ですが騎士達は皆、気が付いていました。ただ団長が女装している……と思ったようですが」
コスタのこの言葉には驚き、でも納得する。
そうか。
騎士達はまさか王女が団長をしているとは思わなかったのね。しかし女装……。フロストのことはどう理解したのかしら?
騎士達の豊かな想像力が気になる。
そしてノルディクスはこんなことを言う。
「団長だと気付いたのですが、きっと事情があるのだろう。何しろサンレモニアの村にいるのだから。余計なことを話さず、黙っておこうと皆、決めたのです。ただ、まさかヴァルド殿下の子供を産んでいたなんて……これには驚きましたよ」
ノルディクスの言葉には、いろいろな意味で苦笑するしかない。
まずタリオは第二王子だが、王太子であるカプリ同様の教育を受けていた。つまりは王太子教育をタリオもまた受けていた。第二王子はどうしても、王太子のスペアとみなされる。そのためもしもの時は王太子になれるよう、育てられるのだ。
タリオは勉強が忙しく、私は私で剣術の訓練に明け暮れていた。よってタリオとはあまり顔を合わす時間もなかったのだ。
ゆえにタリオだけが、私に気が付かなかった……これは仕方ないと思う。
そして宿敵だと思っていたヴァルドと私が子供を作っていた――これを知った時、ノルディクスもコスタも、さぞかし驚いただろう。
表向きの話。私とヴァルドは、平和条約締結記念舞踏会で、実は顔を合わせていたことになっている。そこで強烈な一目惚れをした。そして抑えきれない情熱と若さで結ばれ、実はフロストを宿すことになった……そう発表されているのだ。
でもそれで辻褄はあう。
病で臥せっていたことになっていたが、実は妊娠していたからと。二人の婚姻が認められるまでは、病で通していたと。
だがノルディクスとコスタは、サンレモニアの村に来ていたのだ。王宮にいるはずの私が森の中の村にいたと知っている。さすがに騎士団全員に話すのはリスキーだ。騎士団のメンバーにはいろいろと妄想してもらうことにして。
真実はノルディクスとコスタ、そしてリカにだけに話そう。
応接室に着くまでの道中で、私は父親のとんでもない計画、そしてうっかり私が魅了魔術を発動させ、ヴァルドと結ばれることになったと明かした。ただ実はお互い、好敵手であり、その存在を認めていたのだ。始まりは悪夢だったかもしれないが、最終的に相思相愛で収まったと分かると……。
ノルディクス、コスタ、リカは安堵し、心から幸せを願ってくれた。
ちなみに三人に婚約や結婚の予定がないかを聞くと、衝撃の事実が明かされた。なんとコスタはリカと婚約したというのだ!
ところがリカは、私と一緒に帝国へ行くことを願った。これは……。






















































