衝撃と疑問と真相
「ああ、それはソルレンとニージェから、報告が上がってきている」
「! 二人と連絡をとったのですか!?」
「当然だ。ソルレンとニージェには、ミアとフロストの護衛を任務として与えている。それなのにミアとフロストからは危険を知らせる反応を感知した。しかもその後、イザークと戦闘中のわたしのところへ、フロストを連れたミアが転移してきたんだ。一体、何があったのかと思うだろう?」
これには衝撃を受け、かついろいろと疑問が湧き上がる。
「ま、待ってください! ソルレンとニージェに任務!? え、二人は……殿下の部下、なのですか?」
「そうだ。ソルレンは元々、サンレモニアの村の偵察のため、村人になった。基本的に村に手出しをするつもりはない。あの村は中立だから。村にまで手を出すと、民衆の反感を買うことになる。自分達の最後のユートピアに手を出すのかと。よって村が反旗を翻すようなことをしなければ、こちらも何かするつもりはない。本当に偵察のため、滞在させているだけだ」
これにはもうビックリだった。そして重ねて尋ねることになる。
「……ソルレンとニージェは、実は夫婦だったりするのですか?」
「? なぜそう思う? 二人とも騎士だが、夫婦ではない」
なるほど。そうなると時々二人きりでいることがあったが、それは任務の件で話していただけなのかもしれない。
うん、待って。
今、ヴァルドは「二人とも騎士だが」と言ったわよね?
「え、ニージェは騎士なのですか!? 帝国には女騎士がいるのですか!?」
するとなぜかヴァルドが頬を赤くしながら、答える。
「……基本的に騎士は男だ。ただ、三名だけ、帝国には女騎士がいる。でも戦場には出さない。いくら騎士でも男ばかりの戦場に身を置くのは危険だ。もしもがあるといけない。ニージェ達女騎士には、今回のような諜報活動や女性皇族の護衛で活躍してもらっている」
「そ、そうだったのですね……」
全く気が付くことができなかった。でもこれでソルレンがフロストの子育てに熱心だった理由も分かる。主であるヴァルドから、しっかり子育てを手伝うように言われていたに違いない。
「それでイザークの息子と娘が、ミアを襲った理由。それは小遣い稼ぎだ」
「小遣い稼ぎ!?」
「ああ。そうだ。イザークは公爵家の次期当主だが、ここ最近、わたしに対して金を使い過ぎた。そこで子供たちの浪費をストップさせたわけだ。すると子供たちは、ならば自分達で稼ごうと動いた。するととある舞踏会で、高額な依頼を受けた。そいつは腕利きの魔術を使える人間を求めていたんだ。復讐のために。その名は、ビーシダール」
合点がいった。散々な目に遭い、私に復讐したかったと。自身はもう乗り込むことはできない。しかも冬の今、サンレモニアの村は陸の孤島。そこで転移魔術を使える人間を雇ったのね。
「ビーシダールの一族は、それでも侯爵家だ。過去の戦争で活躍をしていた家門。ミアの一件はあったが、サンレモニアの村で、きっちり罰を受けていた。ゆえにビーシダールの商会を破産寸前まで追い込み、別の貴族に買い取らせ、村との取引を続けさせることで、着地させていたが……。商会を失い、かなりダメージを受けたはずだが、まだイザークの息子と娘を雇うだけの金があったようだ。だが今回の一件で決着させることにした。爵位は剥奪し、終身刑で牢に入れるから、安心するといい。生き地獄を味わわせてやる」
ヴァルドのこの判断に異論はなしだ。一度ならず、二度目だ。三度目は御免こうむりたいので、一生牢にいて欲しい。
ちなみにビーシダールが私に狼藉を働こうとした時。
私とフロストの声を、“神の縛り”の共鳴で感知したヴァルドは、村へ転移魔術でやってきていた。その時、ソルレンはまさにピピにより、フロストを連れた従者がいる墓地へ到着したところ。その様子を見たヴァルドは、魔術で従者を即気絶させた。それは数秒足らずの出来事で、従者は魔術アイテムを使うことなどできなかった。その後ヴァルドの魔術で私の居場所を掴み、転移魔術でソルレンとフロスト、ピピを連れ移動。
その後のことはソルレンに任せ、ヴァルドは再び転移魔術で帝都へ戻っていたのだ!






















































