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宿敵の純潔を奪いました  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中
第二部

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なぜ……?

 私とフロストの寝室は二階だった。

 対してソルレンとニージェの寝室は一階。


 ソルレンの寝室は私の寝室の真下で、窓からは庭園と門を見ることができた。


 ニージェの寝室は裏口の脇だ。


 よって最初にソルレンが物音に気が付いた。窓から外の様子を窺うと、門の所でうずくまる人の姿が見える。そこでランプを用意したり、外套を着たりでリビングをウロウロすることになり、ニージェがその物音に気づき、目を覚ます。


 そこで二人は合流し、門の所でうずくまる人の所へ向かったという。


「ミアはイノシシに襲われそうになった時、ヴァルド皇太子殿下に助けられていますよね。その恩人が怪我をしているのです。助けてもいいですよね?」


 ソルレンは元帝国の騎士だ。理由があり、騎士を辞め、この村に来たのだと思う。だがヴァルドは、一度は忠誠を誓った相手。助けたいと思うのは当然だ。


「ええ、勿論よ。二階にも客間があって、使っていないベッドがあるから、そこへ運びましょう」


「いえ、それなら一階の自分のベッドへ寝かせます。これ以上動かすのは、傷に触ると思うので」


 やはりあれは血なのね。

 怪我を……しているんだわ。


 でもどうしてヴァルドは怪我を?

 それになぜここへ……?


「分かったわ。そうしましょう。でもこんな時間では医師は……」


「自分が頼んでみます。ベッドまで運ぶので、ニージェ、後は頼んでも?」


「お任せください。ミア様は、フロスト坊ちゃんを頼みます」


 その後は真夜中であることを忘れ、皆、動き出す。


 さすがに「明日にして欲しい」と言われると思った医師は、雪のちらつく真夜中なのに、ちゃんと来てくれた。


 その医師が到着する前、ニージェと私はベッドに運ばれたヴァルドの服を脱がせ、傷口の汚れを洗い流すことになった。


 フロストはすぐにベビーベッドに戻し、寝かしつけていた。散々泣いた後だったので、すぐに眠ってくれていたのだ。


「そこまで深い傷ではないですね。大丈夫です。助かります。それよりも体が冷えていますね」


 ニージェの言葉に提案する。


「体をさするといいかしら?」

「そうですね。そうしましょう」


 ソルレンが寝ていたベッドだから、まだ温もりは残っていた。それにヴァルドはそこまで長時間、外にいたわけではないと思う。でも出血もしているので、体が冷えていた。


 掛け布団をかけ、その中に手を差し入れ、体をさすっていると……。


 ずっと閉じていたヴァルドの瞳が、ゆっくり開いた。薄明かりの下でも分かる、アイリス色の瞳。その瞳が私を見る。いつものような目力はない。でも、何だか夢の中のヴァルドみたいだった。一瞬、口が動いたかと思ったが、すぐに閉じてしまう。


 ところが!


 ヴァルドが私の手を、ぎゅっと握った。


 これにはドキリとしてしまう。


 「髪が邪魔になるから」とスカーフで頭部を包んでいた。よってあの一瞬を見ただけで、私が誰であるかは分からなかったはずだ。きっと誰か別の人と勘違いし、手を握っているのだろう。


 そうであってもこうやって手を握られるのは……嬉しい。


「ミア様、ヴァルド様の体、驚くほど温かくなっていますよ」


「本当だわ……」


 触れている手も、ぽかぽかと温かくなっていた。そしてそこに医師を連れたソルレンが戻って来た。

お読みいただき、ありがとうございます!

第二部スタートです。

応援、ありがとうございます☆彡

心から感謝です~

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