↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宿敵の純潔を奪いました  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/184

すべては親切心

 夜間勤務を終えた戦士と交代で、この場に来たばかりなのだ。そして私は村の案内係ではない。よってビーシダールのこの提案は、丁重にお断りしようと思った。


 だが……。


「ミ……ソフィア。この方はきっと、蜂蜜やワインのお店がオープンするまで、話し相手が欲しいのだろう。引き継ぎを聞く限り、獣に動きもない。平和だ。君の役割の分は、こちらでカバーもできるだろう。この紳士の話し相手をしても問題ない」


 この場でリーダーを務める戦士の男性が、笑顔でそう答えたのだ。


 これは完全に親切心だった。


 余所者ではある。

 それでもわざわざフォーマルな装いをして、礼儀正しくこの村を訪れたビーシダール。

 そんな彼に対する親切心だ。


 さらに私は、育休明けだった。いきなり活動量の多い村の周囲の警戒という役目ではなく、ビーシダールの話し相手という役割。それをリーダーである彼が振ろうとしたのもまた、親切心からだった。


 それが瞬時に分かったので「私は体力的に問題ありません。話し相手などではなく、村の周囲の警戒の役割を果たさせてください!」とは言えなかった。


 つまり「分かりました」と返事をし、ビーシダールをパン屋に案内することになったのだが……。


「ソフィア嬢。よろしければあなたをエスコートする栄誉を、わたくしに与えてはくれませんか?」


 ビーシダールが、屈託のない笑顔でエスコートを申し出た。これに対し「え、それはちょっと……」とは言いにくい。それにエスコートは、男性の自然な行動の一つだった。ただ、ビーシダールがグイグイ迫って来ているように感じ、私は少し腰が引けていた。


 それでもエスコートを断るのは、空気を悪くするだけだ。「分かりました。お願いいたします」と、ビーシダールがさし出した手に、自分の手を乗せた。


「ソフィア嬢は、なぜこちらの村にいるのですか? それにどうして剣を扱えるのですか? あなたのような美しい女性。剣など扱えなくても、引く手あまたでしょうに。その品のある雰囲気、そしてエスコートされることに慣れているご様子。どう考えても平民の方ではないですよね?」


 これには「参ったな~」と思う。この村に定住する人々には掟が適用される。だがビーシダールは一時滞在するだけだ。よって掟を知らないし、過去の詮索を平気でする。こうなると……。


「私の夫がこの村の住人なのです。よって結婚を機にここへ移りました。息子にも恵まれ、とても幸せです」


 この私の一言に、ビーシダールはダメージを受け、根掘り葉掘りの質問を止めるだろうと思った。ところが。


「人妻なのですね……! いろいろと経験がある方は素晴らしいと思います」


 ビーシダールは、さらにご機嫌の笑顔で嬉しそうにしている。これにはもう、訳が分からない……だったが、パン屋に到着した。


 村の住人たちは丁度朝食の時間。

 パン屋は混雑している。

 ビーシダールは同行している使用人に指示を出し、パンを購入しに行くように伝えた。その一方で私のことを、テラス席へと案内する。そういうところは普通に紳士的だった。


 だが着席すると……。


 ビーシダールは使用人がパンと飲み物を運ぶまで、私に根掘り葉掘りの質問を続けた。


 結婚はいつしたのか。出会いのきっかけは?

 この村で夫は何をしているのか。

 子供はいつ生まれたのか……etc。


 どうしてこんなに私に関心を持つのだろう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページやタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』は
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

●現実世界の恋愛物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。