8話 水着回
事件から2週間後、やっと予定を摺り合わせて一行は海水浴に来ていた。
ガードナーが彼女を紹介してくれる。
「彼女がマキナ博士です」と、からかうように言う。
彼女がガードナーをじろっと睨んでから、
「マキナです。マキと呼んでください」と言った。
「すご~い!もう博士号持ってるの?」とミコが聞くと、
「あ、はい。半年前に」と照れながら答えた。聞けばまだ19歳らしい。16歳くらいにしか見えないけど。
早速、女の子たちは友達申請している。友達申請はそれぞれのロボナーに指示するだけでいい。マキちゃんはとっても嬉しそうだ。
今日のみんなの装いは、
ルーファンはライムグリーンのサーフパンツ。
ゆるふわお姉さん型のネネは桜色のフリンジビキニ。リングの色はメタリックピンク
ガードナーは紺色のハーフスパッツ。
クールビューティー型のルルは水色のワンピース。リングはパステルブルー
ミコは鮮やかな赤のタイサイドビキニ。
美少年型のショーンは同じ赤のボックスタイプ。リングはメタリックレッド
マキナはパープルのタンキニ。
かっこいいお姉さん型のアニーは白いバンドゥ・ビキニに色彩豊かな柄のパレオを腰に巻いている。リングはメタリックパープル。
「マキちゃんのロボナーは女性型なんだね」とルーファンが聞くと
「ああ、バイセクシュアルだからな」とガードナーは答える。
「男と女、両方愛せて2倍得だと言ってた」
この時代、性的マイノリティへの理解が進み、差別されることはほとんどなくなっていた。ヒトゲノムの解析が進み、性的マイノリティもゲノムに書き込まれたものだとわかってきたからだ。
性的マイノリティもゲノムに書き込まれた自然なものであり、非難されるものではないのだ。
神を信じる人の中の極一部の人たちには受け入れがたいことではあったが。
全てを神が創ったと言うのなら、ゲノムも神が創ったものだし、性的マイノリティも神が創ったものだろうに。
こういう人は神を信じてると言いながら、実際には自分の好き嫌いを正しいことだと信じているだけじゃないだろうか?
「あの事故な、正確には事件だったよ」と、ガードナーが言った。
「ラスゴの仕業だった」
ラスゴ、Wrath of God(神の怒り)は生命創造研究・実験に反対する過激派だ。
「整備員として研究所内に入って、危険な生物を逃がして被害を出そうとしたんだ。危険生物を創っているという情報が漏れていたらしい」
タイマー式妨害電波装置を設置して、ネットワークが遮断されると扉を開くプログラムがロボナーに施されていたらしい。本来は火事や地震などの非常時に非常出口を開くプログラムを改造してインストールしたのだ。
思惑通り、実際に被害が出てしまった。
神を信じてると言いながらそこまでするのか。
確か、敵を愛し迫害する人のために祈りなさいとか言ってなかったか?
何か納得できないものを感じた。
ルーファンは物思いにふけりつつも、みんなと遊ぶことを楽しんでいる。
「スイカ割りしよ!」ミコが主導権を握って、やることをグイグイ進めていってた。
「リーダーシップ凄いな」とガードナーが呟くと
「彼は尻に敷かれてそうだな」とマキナが答えた。
バイセクシュアル=男女両方に魅力を感じ、性愛感情を抱くセクシュアリティの人を指す。
性的マイノリティ=LGBTに代表される、「レズビアン(Lesbian)・ゲイ(Gay)・バイセクシュアル(Bisexual)・トランスジェンダー(Transgender)」といった方々の総称
同性愛になる「ゲイ遺伝子」というものはなく、セクシュアリティは遺伝しないことが科学的に証明されたというニュースがある一方で、ヒトの性指向は先天的に決まっていて生まれた後の環境で変わることはないとされている
現在、DNAのほとんどがジャンク(ガラクタ)と言われてる中で、実際のところはまだよくわかっていないが、何にしても差別は悪い
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