7話 面会
家から空港~クリニックまでネネが先導してくれるので迷わずに着く。ネネがいなかったら絶対迷ってた。昔の人は地図アプリを見ながら歩いていたようだけど。
クリニックに到着するとハメ殺しのガラス窓の向こうに元気そうなガードナーがいた。
ルルも中にいる。
「ガードナー、何でそんなところに?」
「生命工学研究所に居たからな。変なウイルスに感染してないか調べられるんだよ」
「そんな危険なものは創らないはずだけど」
「俺はもっと危険なものと戦ったよ」
「!?」
「熊とワニの合いの子みたいな怪物がいたんだよ。全部やっつけたけど、親しくしていた研究員が死んでしまった…」
クラフトとルーファンの姿が重なる。
童顔で小柄なこいつでは怪物の前ではひとたまりもないだろう。
「なあ…お前も怪物を創りたいのか?」思わず聞いてしまった。
ルーファンは動揺した。
「僕は…怪物なんか創らないよ」そう答えるのがやっとだった。
「そうか…そうだよな…ごめんな、変なこと聞いて」
「いいよ」
しばらくの間、二人とも黙りこくっていた。
場の空気を変えようとしたのか、ガードナーが言った。
「なあ、退院したらどこか遊びに行かないか?よかったらダブルデートで」
「恋人出来たのか!」
「つい最近な」
この生真面目な堅物にもやっと恋人ができたのか。
「そうか、よかったね」
「ああ」
「どんな子?」
「IRMOの開発部に所属しててね。とても賢いんだ」
話は尽きなかったが面会時間が過ぎてしまったので、帰らざるをえなかった。
ルーファンが帰ってからしばらくして、おかっぱ頭の小柄な女性が面会にやって来た。彼女のロボナーのアニーも一緒だ。
二人を隔てるガラス窓を見て、「忙しい中、遠路はるばる来たのに恋人を抱きしめることも出来ないのか…」と呟いた。
「マキ、来てくれたんだな」
「やあ、調子はどうだい」
「問題ないよ」
「今回は災難だったね」
「ああ、でも君に造ってもらったホッパーが役に立ったよ」
「それは良かった。ホッパーは君のアイデアだよ。やはり君は危険管理能力に優れているね」
「からかうなよ…」
彼のはにかんだ表情はとても可愛くて大好きだ。
「ところで、退院したら友達誘って海にでも行かないか?」
「いいとも」
事もなげに答えるのだった。
次回、水着回です。
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