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6話 安否確認

 グアム島沖の人工島ニューハガニア。直径20キロメートルの巨大な人工島で世界最大の生命工学アカデミーがそこにある。

 

 朝7時。ルーファンはまだ夢の中にいた。

 夢の中では同棲してる恋人のミコが、お尻におできができて座ると痛いと騒いでいた。徹夜ばかりするからだ。

 

 横にはルーファンのロボナーのネネが座っている。

 

 

 バタバタと足音が聞こえてきた。

 「ルー!大変よ!!起きて!!!」ミコが血相変えてルーファンの部屋に飛び込んできた。続いて彼女のロボナーのショーンが入ってくる。

 

 寝ぼけまなこで「どうしたの?またお尻におできでもできた?」と聞いたら、

 「アホ!!!! これを見て、ショーン、さっきのニュース映して」

 「はい」 

 そう言うと、壁にニュース映像が映し出された。

 

 壁のどこでもスクリーンになるし、スピーカーになるので部屋の中はスッキリしている。照明器具もなく天井と壁が丁度いい塩梅(あんばい)で光る。

 

 「ハワイ諸島沖の生命工学研究所で事故が発生しました。多数の死傷者が出ている模様…」

 眠気がいっぺんに吹き飛んだ。

 

 そこには親友のガードナーが行っているはず。ネネに「ガードナーの安否確認頼む」と言った。

 「命に別条はなく怪我もしてないようですが、検査入院のため現在ホノルルの中央クリニックに入院中です」

 「面会はできる?」

 「できます」

 「すぐに飛行機のチケット手配して。あと、アカデミーに欠席連絡しといて」

 「かしこまりました」

 

 ルーファンのホッとした表情を見届けてから、ミコは何かを思いついたらしく、ショーンに(ささや)いた。

 「ルーファンの安否確認して」

 「目の前に居ますよ」

 真顔で返された。

 

 

 ネネが「ニューハガニア空港9時発の253便を手配しました。8時に出発すれば余裕で間に合います」と言った。

 「それじゃあ朝ごはん食べる余裕あるわね。ショーン、用意して」

 「かしこまりました」そう言ってショーンは部屋から出ていった。

 

 

 

 「それにしても困ったことになったわね。最悪、私たちの夢が潰れてしまうわ」

 朝食をつつきながらミコが言った。

 

 僕たちは生命創造を目指す学生だ。

 小さい頃から生命創造に憧れていた。誰も見たことがないような凄い生物を創ってみたかった。

 それは多分、画家が絵を描いたり彫刻家が彫刻を彫ったりすることに似ている。

 

 全ての生物はDNAと言う自分の設計図を持っている。

 DNAをひらめきに従って組み上げていくことで自分の思い通りの新しい生物が出来上がる。

 自分の作品が生きて動くのだ!こんなに面白いことはないじゃないか!!

 

 マンガの神様だって作品の中で奇抜な生物を想像していたのだ。

 想像できることは創造したいのだ。それが科学者の(サガ)だ。

 何かを真剣につくったという経験の無い人には解らないかもしれないけれど。

 

 それにしても生命創造の分野には世間の目は冷たい。

 

 生命創造の研究は昔から風当たりが強かったけど、こんな事故が起きてしまっては研究が禁止されかねない。

 

 ルーファンは暗鬱な気分になっていた。

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