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13話 復活

 3Dプリンターの中から若い肉体を持ったクレイブが出てきた。

 「すご~い!写真で見た若い頃のパパにそっくり!!」とミコが言う。

 「当たり前だろう。本人なんだから」

 そう言いながら二人は抱擁する。

 娘と父なのだか、お婆ちゃんと孫にしか見えない。

 

 「クレイブ博士、常在菌を移植しますのでこちらにおいでください」とマキちゃ…マキナ博士が言った。

 「面倒なものだな」

 「次に再生されるときは改良されてますよ」

 そんなことを言いながら隣の部屋へ入って行く。

 

 

 クレイブはただちにタイタンに戻っていった。

 

 ルーファンとミコは地球に留まり、同じ施術を受ける手筈(てはず)になっている。

 マキナも()()に選ばれていた。後に再生された人はリバイバーと呼ばれるようになる。

 

 

 ところで、再生された人は生前の人格と記憶を持っているけれど全くの別人に過ぎないと主張する人もいる。

 魂の存在を信じている人に多い。死んだら輪廻転生すると信じている人にとっては科学的にリバイブすることは都合が悪いのだ。

 リバイブ技術では、やろうと思えば生前に自分のコピーをつくれてしまうからである。自分のコピーの魂はどうなっているのかという説明がつかなくなるのだ。

 

 テセウスの船というパラドックスがある。ある物体において、それを構成するパーツが全て置き換えられたとき、過去のそれと現在のそれは「同じそれ」だと言えるのか否か、という問題をさす。

 

 

 人間の身体は生きている間にも全ての原子分子が数年で入れ替わっていく。

 数年前の自分と今の自分では別人だということになる。

 逆に言えば自分を構成しているデータさえ同じなら全ての原子分子を入れ替えても同じ自分なのだ。

 

 こういうことを仏教では縁と呼ぶ。全ては繋がりによって成り立つ。

 諸行無常

 諸法無我。

 

 原子は陽子と中性子と電子で成り立っているが、面白いことに陽子は全て同じ性質を持ち、中性子は全て同じ性質を持ち、電子は全て同じ性質を持つ。全く同じものと言っても過言ではない。全てのものは陽子と中性子と電子で成り立っているわけで、ただ違うのは成り立ち=縁なのだ。

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 ガードナーはIRMO本部に呼び出されていた。

 現総長及び最高幹部が(そろ)っている。みんな、ガードナーが指導してきた。

 

 総長が口を開く。

 「今日はわざわざご足労いただきありがとうございます。実はあなたにお願いがあってお呼びさせていただいたのです」

 「願いとはなんだね?」

 「いずれそのうちにIRMOを再編成して宇宙危険管理機構(Space Risk Management Organization)SRMOを創設させます。あなたにSRMO総長を務めていただきたいのです」

 「棺桶に片足突っ込んでる老いぼれに何を言っているのだ」

 「棺桶を蹴っ飛ばして出て来ていただきたい。リバイブプロジェクト成功のニュースはご存知ですね?」

 それは幹部連の我儘(わがまま)かもしれない。人々への慈愛に(あふ)れているがゆえに、人類への危険には情け容赦ないこの男を老衰という死神に刈り取られたくはないのだ。

 

 「何も私でなくても優秀な人材はいくらでもいるだろう」

 「あなたの長期的かつ広大な視点がぜひとも必要なのです。宇宙各地に飛ばしている無人探査機から驚くべきデータが送られてきました。少なくとも光速の数パーセントで移動する物体を観測したのです」

 「!!?それは…」

 「地球外知性体、宇宙人の探査機である可能性が非常に高いのです。いつのことになるかわかりませんが、人類はいずれ宇宙人と遭遇するでしょう。その時に正しく対処できるのは古今東西あなたくらいです」

 

 幹部連の説得を聞きながら「()()()が何かやらかしたら俺が何とかしてやらないといけないのかな…」と、ぼんやり考えていた。

 毎週土曜日更新予定

 次回も読みたいなと思えたら五ツ星評価と

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