2-プロローグ
旅に不慣れな二人と一匹は歩いています。
「フォールは魔法どれくらい使えるようになった?俺はルディにしごかれて結構強くなったよ」
「私は治癒魔法を使えるようになったかな」
「治癒魔法か…。生物の肉体には自然に治癒する機能が備わっているにもかかわらず、原理も理解できない魔法での治癒など。嘆かわしい」
そんなふうに四方山話をしながら歩いていると、城壁が見えてきます。
「大きな壁があるけどあれが国?」
「歩いてきた方向から考えると、おそらくテールデジュだ」
「それはどのような国なのですか?」
「よくある国だ」
そんな、説明する気があるのかないのか、よくわからない発言を聞き流したリッタが提案しました。
「国に入ったらルディはあまり喋らない方がいいんじゃない?目立っちゃうから」
確かに、喋る狼なんて存在は変に注目を集めたかもしれません。しかし、喋ろうが喋らなかろうが、狼を連れている時点で目立つ以上、どちらでも良かったのかもしれません。
「ふむ、別に構わぬ」
結局、その案を採用した一行は城壁にある門を通って入国しようとしました。すると常駐の兵士が声をかけてきます。
「こっちの門に通行人が来るなんて久しぶりだな。とりあえず通行料を払ってくれ」
「おい、今通していいのかよ」
「お金なんて持ってないよ」
「どうするよ。多少は役に立ってくれるか?」
「そうだな。では通っていいぞ」
各々が言いたいことを言い合って、何が何だか分からない二人を置き去りにしたままで門扉は開き、国が二人と一匹を迎え入れます。
ここは王権神授説が主張される国テールデジュ、二人はこの国で何を思うのでしょう。