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9-プロローグ
会話もないままに二人と一匹は歩いています。
「聖女神様に祈りましたけど、そうすれば勇者様達に伝わるのですよね」
「おそらくな」
「彼らならあの子達を助けてくれるのでしょうね」
静かに歩き続けていると、魔族の国の入り口と思われる壁が見えてきました。
「あそこが魔族の国ですか?」
「ああ、マレチルだ」
「そうですか」
「…」
フォールは会話を続ける意思を持たず、リッタは負い目を感じているせいで何も言えないせいで、どんな話題であっても会話が続きませんでした。すると、気まずい空気が流れる二人と一匹のもとへ、人ならざる者が敵意を剥き出しにしたまま声をかけてきます。
「なんだお前達人間か?死にに来たのか?」
「ねえ、ルディ。これって大丈夫なの?」
「問題ない。あまり気は進まないが、おそらく問題ない」
「聞いてんのか、おい!」
こうして、二人と魔族の間では、今にも争いが始まりそうな一触即発な状況になっていました。
ここは魔族が暮らす国マレチル、人類の敵が暮らす国で二人は何を思うのでしょう。




