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8-4

 思わずリッタから逃げ出してしまったフォールは、無我夢中で走って行き、気が付くと兄妹のもとにいました。

「なにしに来たんだよ」

「喧嘩しちゃって」

 相変わらず警戒を続ける兄の詰問に、フォールは照れくさそうに返事をしましたが、兄妹はその言葉を素直に受け取ってくれませんでした。

「俺達をどうするかでもめたんだろ」

「いや、そうじゃなくて。私達は勘違いでここにいるの。ここの人達みたいに邪神を信じてなんかいない。それで、できることなら、あなた達のことをここから逃がしてあげたいと思っているの」

「なんで?」

 村人達の耳に入らなかったから良かったものの、些か危険な告白を聞いた兄妹は、信じても良いのではないかと思い、少しだけ素直な様子でフォールに尋ねました。

「私も似たような境遇だったから」

「?」

「えっと、同じように周りの大人に怖い目に合わされたことがあるの。その時は、さっき一緒に居た彼が私のことを助けてくれたの。だから、私はあなた達が感じている怖さを知ってると思う。周りの人たちに死んでほしいと思われていることは、本当に怖いことだから」

 周りの人達には死ぬことを望まれており、そのことを受け入れながらも、常に死の恐怖を感じていたフォールにとって、兄妹の感じている恐怖も他人事には思えませんでした。だからこそ、死ぬしかなかった自分を助けてくれたリッタに心からの感謝をしていて、自分も同じように助けたいと思っていました。

「けれど、さっきの兄ちゃんは俺たちのことを見ていなかった」

「そっか、そうなんだ。って私が言いたいのはそうじゃなくって。あなた達を見捨ててここから逃げたら、きっと私の中から嫌な気持ちがなくならないと思う。それはきっと彼も同じ気持ち」

 どんなに失望していても、フォールが発したその言葉には、リッタに助けられた影響が色濃く表れていました。

「それに、あなた達のご両親は心配している」

 兄妹を助けたいという気持ちを伝えるために、素直に心の内を吐露すると、幼い兄妹にもフォールの気持ちが少しは伝わり、妹は泣き出し、兄も張りつめていた心が緩み、年相応に涙を滲ませていました。

「あなた達を見てたらわかるよ。きっとご両親に愛されてたんだね。離れ離れはきっとよくない」

「俺だって会いたい。そこまで言うなら助けてよ!」

「ママとパパに、また会えるの?殺そうとしない?」

「そんなことするはずない。生きていていいに決まっている!だから、私に任せて!」

 涙目になりながら助けを求める兄妹の姿に、かつての自分の姿を重ね合わせたフォールは、自分がかつて救われた言葉で子供達を安心させるための決意の言葉を吐くと、リッタを説得するために戻って行くのでした。

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