閑話 村側
二人と一匹が去った後の村は、騒がしくなっていました。特に二人のことを間者だと思っていた村人達は、やはり逃げ出したのだと二人への疑念を深めていました。
「おい、あの二人はどこさ行った?逃げ出したのか」
「おいら達が見送ったよ。藩主様の屋敷とは反対の方向に行ってたから、あの二人はきっと間者なんかじゃない。心配いらないさ」
しかし、二人を庇う鋤の助の発言によって興奮気味だった村人達も落ち着き、二人を追いかけるような人は現れなさそうです。
「それでサクベエ、計画は問題ないな?」
「ああ、村のために命を捨てる覚悟だ」
そして村人達は依然変わりなく、村のために戦う覚悟を決めているのでした。
「ねえ、本当に参加するの?」
「この村の民みんなの願いなんだ。平和のためにも、おら達はやらなきゃいけないんだ」
村の一世一代の一揆に興奮して視野が狭まっているサクベエは、オタキの不安にも気が付かず一揆こそ村の総意だと思い込んでいました。サクベエの覚悟を理解できていないオタキは、死を悼むことはあっても理解はきっとしてくれません。
団結しているつもりでも、個人個人で意識の差があるということに気が付かなければ、一揆がうまくいくのか、ましてや自分達の行いの正しさを信じ切れるのかも分かりません。うまくいくかどうかはきっとこれからが正念場です。
そして、鋤の助と狼が言っていたように裏がありそうなこの事件、サクベエ達の行動が正しかったのか、そしてどのような結末をもたらすのか、二人と一匹は真相を知る機会を失してしまいました。




