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その後、サクベエ以外の村人達の意思を確認するために、話を聞いてまわりました。
その際に二人が気付いたことは、村人達が皆同じように隣村による直訴、またはサクベエ達の一揆によって状況が改善することに希望を抱いていることでした。
平時なら協調性があるとも思えるその気質は、差し迫った時期には同調することを良しとする排他的な気質のように、欠点にすら思えてしまうのでした。
そして、村人達の意思が固いことを確認した二人は、戦いの意味が暮らす場所を守るための戦いである以上、これ以上は何も口出ししないことに決めて彼らの無事を祈ります。
「私はやっぱりできることなら、少しでも犠牲になる人が少なくあって欲しい。きれいごとかもしれないけど、犠牲になる人や残される人のことを思うと辛いから」
「そうだね。俺達にできるのは、無事を祈ることくらいかもね」
口出ししないと決めても、村人達の意見を受け入れられない自分達が間違っているのか、頑なに意見を変えようとしない村人達が間違っているのか、そう簡単に判断することは出来ませんでした。
それから、二人は旅立つ前に自分達に出来る精一杯のこととして、食糧難に苦しむ村人達に干し肉や魚の干物をお裾分けしていました。
もちろん、二人の親切心に感謝を述べる者もいた一方で、何人かの村人は稲や麦でなかったことに対して不満を露わにしました。そのことに二人とも傷付きましたが、あくまでも不満を述べたのは一部の者、複数の人がいれば様々な意見が出ることは当然のことだと納得するしかありませんでした。
しかし、一揆に関しては、村人達の誰しもが意見を変えるつもりがありませんでした。
これまでに訪れた地では、良い面や悪い面、興味深い面や興味が湧かない面などの様々な面を見出してきたのに、この村ではあまりにも悪い面ばかりを見つけてしまったことに対してフォールは、罪悪感を抱いていました。
「こんな時期じゃなかったら、悪い面ばかりじゃなくて良い面とかも見つけられたのかな」
「そうだけど、悪い面ってのは必ずあるんだろうから、そういった面も受け入れないといけないのかもね」
しかしリッタはフォールとは異なり、暮らす場所には様々な面があるという当たり前の事実について、しっかりと考えるのでした。
「俺達の故郷だってさ、野菜とか魚は美味しかったし空気も綺麗だったけど、今思えば閉鎖的だったりなんかよくわかんないのを信仰してたり、色々あったじゃん。その地で暮らすってことは、その全部と、悪いい面とも付き合っていくことなんだと俺は思うよ」
「よくわからないものとはなかなかに失礼だ」
二人は今後暮らしていく地の様々な面を受け入れようとする決意を固めましたが、これ以上の滞在はこの村の食糧事情への更なる負担にしかならないため旅立ちを決心しました。




