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7-2

 しばらくして、お互いの名前すら知らないことを思い出した彼らは、改めて自己紹介をすることにしました。

「そういえば自己紹介ってまだだっけ?それじゃあ、俺はリッタ、こっちの狼はルディ」

「私はフォールです。あなた達のお名前は?」

「俺はサクベエ」

「おいらは鋤の助」

「それでおめえ達は何のためにこの村に?」

 自己紹介も済んでお互いの名前を知ったところで、サクベエが今度は村にとっての異物である二人の目的を知るために質問をしてきました。その眼には二人のことを見極めようとする意思が見え、二人は息苦しさを感じながら返事をします。

「暮らす場所を探しているんです」

「そうか。それならおめえ達はこの村に暮らしたいとは思ってねえだろ」

「そんなことは…」

 悲観的な返答を否定することもできない二人は、口を噤み気まずそうに過ごすことしかできませんでした。実際のところ、二人とも村の良い面よりも悪い面ばかりを見たせいで、お世辞にも暮らしたい場所だとは思えませんでした。


 そうして過ごしている内に、気が付くと日は落ちて辺りは暗くなっていました。

「とにかく早く出てった方がいいぞ。巻き込まれるかもしれねえからな」

「それって…」

「とりあえず今日は泊まって、明日にでも出てけ」

「そうだね。今日のところは、さっき見つけた宿屋に泊まろっか」

 早く出ていこうにも旅に出るに遅い時間になってしまったため、夜の間に出発することは危険だと判断した二人は、少なくとももう一日この村に滞在せざる得ないのでした。


「すみません、二人と一匹で宿泊をお願いします」

 サクベエ達と別れた後に二人が訪れた旅籠屋は、閑散としていて狼を泊めることにも反対せず、それどころか久しぶりの客人を珍しそうに見てくるのでした。

 その視線から逃げるようにして宿泊する部屋に向かった二人は、村について話し合っていました。

「ここにいる人達はみんな苦しそうだね」

 リッタの言葉通り、村に暮らしている何十人もの人々が同じように苦しんでおり、そんな人々を見た二人は、少しでもこの村に貢献したいと思っていました。

「せめて干し肉や魚の干物は、お裾分けしようかな」

 自分達に出来ることを色々と考えましたが、過剰に干渉しすぎない案がリッタの口から出ました。すぐに去ることになるであろう自分達は、あまり干渉するべきではないと考えたためでした。

「他にできることはあると思う?」

「俺達に出来ることはあまりないと思う。この村に暮らしても、耕作に詳しくない俺達に出来ることなんてそんなないだろうし、あの時みたいに革命を手伝うのも正直気は進まない。だからこそ、俺達に出来ることを、どんな小さなことでもしたい」

 悲惨な状況のせいで二人ともこの村に暮らしたいと思えず、この村を少しでもよくするために出来ることを話し合い、気が付くと眠りについていました。

 こうして滞在初日が終わった時点で、悪い面をばかりを見た二人は既に立ち去るための準備を始めていました。

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