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数日間の滞在を経て、二人は出立の準備を始めていました。どことなく価値観も異なり、食習慣もあまり二人の好みのものではなかったために、住み続けようとは思えなかったのです。
「どうだ、数日間我々と一緒に過ごして。何か気になることでもあったか?」
「壁が薄いからなんか不安だったかな」
「皆さん、一緒に居る方々のことを大事になさっているのですね。それが学べてよかったです」
二人のそれぞれの感想を聞いたハルターイは、物珍しい旅人達に別れを告げます。
「それはよかった。もし、次の機会があれば今度は冬に来るといい。そのときは美味しい肉を食べさせてやろう」
「はい、是非よろしくお願いします」
「お肉楽しみにします!」
そうして、二人は集落の長の家族と別れました。
すると、さらに続けてチテールも見送りに現れました。
「エブールにもし会ったら、たまには顔を見せに帰ってこいって言ってくれるか?」
「任せて」
「ここでの暮らしが嫌だとか言ってどっか行った馬鹿な妹だけど、どこにいても俺達が家族だってことは変わらないから」
「ご家族のこと、大切に思っているのですね」
「もちろん!」
言いたいことを言い終えたチテールは笑顔で二人を見送りました。
集落から歩き去りながら、二人はいろいろと話し合っていました。
「気になったこと言っていい?」
「いいよ」
「エレツークで噂を聞いてたんだけど、あの種族って動物の特徴を持っているから発情期があるらしいんだよね。うちの実家で飼っていた犬もこのくらいの時期になると言うこと聞かないし、いろいろうるさくって大変だったんだけど、そういうの大丈夫だと思う?」
好奇心が抑えられなかったリッタによる失礼な質問に、フォールと狼は呆れた顔をしました。
「言っておくが、ないぞ」
「え?」
「あの種族には発情期はないぞ」
「そ、そんな」
疑問に対する狼の言葉にリッタは膝から崩れ落ちると、小さな声で嗚咽を漏らしました。
「そんなのって、ないじゃないか。ロマンが、夢が…」
「おい、待て!挨拶もせずに去ろうとは、いい度胸じゃねえか。というか何の話をしている?」
すると突然に、彼らのくだらない話に少し戸惑いながら闖入してくる者が現れました。




