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生贄として育てられた少女は、土着神とともに終の棲家を探す旅に出る  作者: 千里
第五章 遊牧民の集落・半人半獣の存在の創造主
27/61

5-2

 その日の夜、すっかり歓迎する雰囲気に変化したおかげで、三人は集落の長の移動式住居で晩ご飯に同席することが許されていました。

「夏の間は主に乳製品が主食となるだけに、干し肉の件は感謝する」

「あの、野菜とかって」

「あまり摂らない。夏は主に乳製品、冬は肉のように、季節ごとに異なったものを食べることが習慣となっている」

「そうなんですか」

 食事に関する事情を聞いた二人は、とても残念に感じていました。


「わざわざ新しいゲルを組み立てるのは面倒だから、我々と同じゲルで寝泊まりしてくれ」

「わかりました」

 集落の長、ハルタ―イは三人のことを考えて提案をしましたが、リッタはどこか物足りなく感じて、新たな提案ををします。

「もし余ってたら、俺達で一から作ってみてもいい?」

「一応、誰か一人つけるが、それならば許可しよう」

 リッタの提案は殊の外すんなりと受け入れられ、翌日の予定は移動式住居の組み立てとなりました。


 翌日、日が昇り明るくなったところで移動式住居の組み立てが開始されました。

 地面に布を敷くところから、つまり一から始められた移動式住居の組み立ては初めてのの試みであったにも関わらず、日が落ちるまでに完成しました。

 苦労して完成させたそれは普段のテント作りと大差なく、やはり二人にとっては家というよりテント、暮らすための場所というより一時的に泊まるための場所にしか思えず、どこか不安な気持ちが拭いきれませんでした。

「できたか。それでは今晩から三人でそこに泊まってもいい」

 ハルタ―イのお墨付きをもらったために達成感を感じながらも、二人はどこか不安感をぬぐい切れませんでした。

「なんか不安じゃない?声とか聞こえてるかもとか」

「確かにそうだね。明日いろいろと聞いてみよっか」

 独自の建築様式で暮らすとしたら切っても切り離せないであろう心配事について、二人は翌日に聞いて回ることにしました。


「聞こえることあるよー。私達はね、耳もいいの!」

「寒さも暑さも大丈夫だから、あんま気にしてないなー」

「家の中のことについては、聞こえても言いふらさないのは暗黙の了解なんです。家と外じゃ態度が変わることは仕方ありませんからね」

 聞いて回った結果、二人が感じていたような不安感は受け入れられていました。それどころか二人の考える家に対して苦手意識を感じている者もいました。

「むしろ木とか石で閉じ込められた家に暮らす方が怖くない?なんか閉じ込められている感じがして、嫌なんだよね」

 狭い集落の中に蔓延した価値観は二人の持つものとは異なっていました。

 しかし、これまでの旅を通じてそれぞれの土地に根付いた文化の重要性を認識している二人は、その価値観を否定することなく受け入れるのでした。

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