閑話
二人と一匹は歩きながらいろいろと話をしました。
「ねえ、一つだけ気になっていることがあるのだけれど聞いてもいい?」
「何の話?」
「どうして私の名前の由来を話さなかったの?それと何か誤魔化してなかった?私は自分の名前の由来を知らないから、どうしてリッタが話さなかったのかもわからない」
「えっと、それは」
「そんなに言いづらいことなの?」
「いや、その、なんていうか、その、フォールって単語は、里の言葉で生贄って意味だから」
「そうなんだ。…どうしてその名前にしたのか、その理由は知ってる?」
「詳しくは憶えてないけど、罪悪感を抱かせて愛情を持たせないためだって、里長が言ってた気がする。けれど、俺が憶えている限り、フォールのご両親はその名前で呼んだことなかったと思う。それもご両親なりの愛情だったとんだと思う」
「リッタは普通に私の名前を呼んでいるよね?」
「ごめん。呼び慣れてるからつい呼んじゃうんだよ」
「嘘、責めてないよ。それにリッタが普通に呼ぶのも変に思われないためでしょ。意図的に名前を呼ぶのを避けてたら変だもんね。それもまた、私のことを思っての行動でしょ?ありがとう」
「うん、まあ、その。いやー、それにしてもクラシベスさん美人だったよね」
「気恥ずかしいからって誤魔化すのよくないと思う」
フォールの名前をめぐって様々な愛情が存在していました。
「クラシベスさんの旦那さん、無事に帰ってくるといいね」
「そうだね。私達もその海の神様にお祈りした方がいいのかな?」
「うむ。まあ、奴に祈れば無事だとは思うが」
「知っているのですか?」
「奴は、あまりに大きいのだ。大きいが故に小さな船など気が付かず、衝突してしまい難破させてしまうことがあるのだが、祈ることで存在を認識して避けられるのだ」
「つまり、事故から守ってるんじゃなくて、事故を起こさなくて済んでるってこと?それって、なんかどうなの?」
自作自演のような気がして、二人とも納得がいかないのでした。
二人と一匹の旅は続きます。




