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勇者一行の返事を踏まえて、思い悩んだ二人は結論を出しました。
「すみません、私達は二人で旅を続けることにします」
悩みぬいた二人が出した結論は、勇者一行との別れでした。
「言葉にすると情けないのですが、アルテュールさんを見て、死ぬことが怖くなったんです。そのせいで前みたいに人助けのためとはいえ、考えなしに動けなくなっちゃったんです。だから、すみません」
二人の死生観の変化の影響で戦うことが怖くなった二人は、勇者達との同行をしない判断をしました。
「あら、残念ね」
「本当にすみませんでした」
「謝らなくていいのよ。私がそんなことで失望するわけないでしょ。それに、こういったことはあたし達みたいなのに任せればいいのよ」
少し残念がりながらもアナベラは別れを受け入れていました。
「せめて最後にもう少しだけ話しましょう。今生の別れかもしれないしね」
そして勇者一行との別れを決めた二人は、旅立ちの準備に取り掛かり始めました。
フォールとアナベラの二人は、別れの前に心行くまで話していました。
「私達の生まれた里は」
「ドワーフの国に行ったんですけど」
「この国に来る前に立ち寄った村では」
フォールは様々な思い出を語りました。
「あたしは魔法使いばっかいる里で生まれて」
「あなた達と別れてから少しして勇者と会って」
「あたし達が倒した魔王軍の幹部、鋼鉄のガギンゴギンは私の水と炎の魔法で」
アナベラも思い思いのことを語りました。
十分に満足した二人は、別れの準備を進めていました。
「私達が棲家を見つけるまで死なないでください」
「もちろんよ。私は世界で一番強い魔法使いよ、簡単に死なないわ。魔王軍との戦いの思い出話をお土産に、きっといつか会いに行くわ」
そして、二人はいつの日かの再会を誓い、最後にアナベラは一つだけお願いをします。
「最後に一つだけいいかしら?」
「いいですよ」
「じゃあ、敬語とさん付けをやめて頂戴」
「わかりました。あっ。えっと、分かったよ。じゃあね、アナベラ」
「フォール、またいつかね」
別れは今まで何度も経験してきたのに、フォールは今まで感じたことのない寂しさを感じたフォールは、涙をこらえて笑顔で別れました。
勇者一行と別れた二人と一匹は次の目的地について話し合っています。
「フォールがアナベラさんと話している間にヒイロ達といろいろ話したんだけど、ここから南東に行ったとこらへんにエブールさんの故郷があるんだって。あ、エブールさんっていうのは馬の顔をした人のことね」
「へえ、いいんじゃない。行ってみようよ」
「それにしても、フォールはアナベラさんとお別れだけど大丈夫?」
「大丈夫。生きてさえいればきっといつかまた会えるから」
こうして次の目的地も決まったところで、死ぬことなくいつかの日か再会できることを夢見る二人と一匹の旅はまだまだ続きます。




