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勇者一行を見終わった二人は、のんびりと観光をしていました。
行き先は宗教的に重要な建造物や歴史を学べる博物館などのお堅いところが多く、フォールは興味深そうに観光し、リッタはあまり興味を示していませんでした。
しかしリッタにとってそれよりも残念だったのは、一部の肉が宗教的な理由で食べられなかったことでした。それらの理由から既にリッタはこの国に暮らすつもりがありませんでした。
そんなこんなで、温度差のある初日の観光の最後に訪れた場所は、勇者一行が祈っていた教会でした。
荘厳な造りのその教会は普段通りなのか、それとも勇者一行の影響なのか、人々で溢れていました。
「人でいっぱいだね。人気の観光地なのかな」
「そうですよ。この教会はかつて聖女様がお勤めになられていたとされる、大変由緒ある教会なのです。そう言った理由で、この教会には信徒はもちろん、多くの観光客が訪れるのですよ」
「教えてくれてありがとうございます」
突然話しかけてきた信徒に対し、先ほどの反省を踏まえた二人は不用意な発言を控えていました。
そのように言動に神経を使って過ごしていたら、日が沈むころには二人ともすっかりくたびれていました。
そんな二人は一刻も早く休むために、教会から出て宿を探そうとしました。すると、疲れ切った二人に対して話しかけてくる人物がいました。
「やっぱり居たわね。フォールにリッタ、二人とも久しぶり。人ごみの中にあなた達を見た気がしたけど、見間違いじゃなかったわね」
堂々とした立ち振る舞いで二人に話しかけてきたのは、勇者一行の一人、魔法使いのアナベラでした。
アナベラに連れられて、場所を宿屋に移した後も彼らの会話は続いていました。
「まさかこんなところで会うなんてね、あなた達は勇者を見に来たの?」
「そうですよ。アナベラさんは勇者様達と一緒に居なくても大丈夫なんですか?」
「あたしは新入りだから、少し距離があるのよ。よかったらもう少し話せない?宿代なら出すわよ」
久しぶりの再会に会話が弾みましたが、その一方で、一緒の宿に誘って話を続けるほど仲が良かったのだろうか、とフォールは疑問を抱きました。
「どうして誘ってくれたのですか?もちろん、嬉しいのですが」
「あら、自覚なかったの?こう見えてあたし、結構あなたのこと買ってるのよ。魔法は威力がすべてじゃないって教えてくれたのはフォール、あなたよ。そのおかげでもっと強くなれるって思えたの。それに、あなたの機転がなかったら、あたしが騎士の男を殺すために誰かを巻き添えにして死なせていたかもしれないから、そうならなかったのもあなたのおかげよ、フォール」
「あの、その、ありがとうございます」
今までに経験したことがないほどに褒められ、フォールは照れくさい気持ちでいっぱいでした。
そんなフォールを微笑ましく眺めたアナベラは、一呼吸を置き二人を探していた本当の目的を切り出しました。
「それでよかったらなんだけど、勇者に会ってみない?」
「そんな簡単に会えるの?」
「ぜひお願いします」
二人の返事に安心したアナベラは大きく息をつくと、別れの挨拶とともに部屋に戻って行きました。
こうして、二人は勇者一行に会うことになりました。




