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閑話

 二人と一匹は歩きながらいろいろと話をしました。


「そもそも髭と筋肉を持つ異性を好む理由ってあるのかな。まあ、俺が美人を好きな理由も説明できないけど」

「正しいかどうかは別としてそれらしい説明はできる。生物として考えると、筋肉は生存するために有効であり、ドワーフとしては鍛冶や鉱物の採取に有益であるため好むのも理解できる。そして髭、ひいては体毛の役割は主に体温調節や防御だ。ドワーフはあの山に採掘をするために訪れることがあったと言っていたが、そうなると標高が上がるにつれて寒くなる気候に対応するために体毛は有益である。他にもあの山は火山活動を繰り返している。そうなると火山灰などから身を守ることにも有益かもしれぬ。こういった理由から、生存に有効な特性を持つ対象を性的に好む傾向が誕生したのであろう」

「そうなんですね」

「あくまでも傾向から理由を予測しただけだ。実際の理由は知らぬが、適者生存、つまりあの特性を持つ個体がこの環境で暮らすことに適していたのだ。それならば、その遺伝子を欲しがるのは自然なことだ」

 性的な好みの理由を考えました。


「身長が小さいのも何か理由があるの?」

「筋肉はエネルギーを使うからな。小柄な方が節約になるのであろう」

 体型の理由も考えました。


「私には王様ほどの覚悟はなかったのかな」

「そんなことない!俺が勝手なことをしただけで、フォールは悪くない。だから自分を責めないでいいんだよ」

「けれど、私が役割から逃げた事実は変わらないから」

「ふむ、では今から食べられるか?」

「それは、流石に、冗談ですよ、ね?」

「もちろん、冗談だ」

 二人は意思の読めない瞳に身震いしました。


「なんでわざわざ火口に来させるんだろうね?」

「もちろん生殖行為のためだ」

「やっぱりそうなんだ。まあ同じ男としては、役得だろうな」

「なんで?男性でも嫌なことは嫌でしょ」

「時代にそぐわぬ発言だな」

 男女の話をしました。


「周囲に相談できて、自分の好みの異性の傾向とかを認めてくれる存在がいたら、あんな風にはならなかったのかな?」

「火の神様とか言われてたあの女のドワーフのこと?たらればの話をしても意味ないけど、あそこまで敵意を剥き出しじゃなかったんじゃないかな」

「価値観を認めてくれるだけで救われたかもしれないよね。リッタが生きていて良いって言ってくれたとき、私は心が救われたの。ありがとうね、リッタ」

「お、おう」

 なんとも甘酸っぱい空気になりました。


 二人と一匹の旅はまだまだ続きます。

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