王女を妻にしろと王命を受けてマリリンに逃げられて慌てたフランク
設定
「マリリン・・・来月、離れに女性を入れる事になる」というセリフから物語が始まると決めています。
夫 フランク
妻 マリリン
上記の設定に則って、色々な一話完結型の話を作ってみようと思います。
一話完結なので、どの話から読んでいただいても大丈夫です。
「マリリン・・・来月、離れに女性を入れる事になる」
「どういうことかしら?」
「王命で・・・」
「王命?!」
「側妃の第二王女のフレーリア様が使用人との間に子供が出来てしまったらしくて、その子供共々引き取ってくれと・・・」
「どういう名目で離れに入るのですか?」
「私の妻として入ることになる」
「わたくしはどうなるのです?」
「愛妾という・・・立場になる・・・」
「なんですかそれ!陛下は臣下に何をしてもいいと思っているのですか?」
「嫌なら離婚しろと言われた・・・」
「その王命を受け入れたのですか?」
「私が断れる立場だと思うのかい?」
気丈にも涙一つ見せないマリリンに、私はホッとしていた。
翌朝、隣で眠っているはずのマリリンが居なくて、早く目覚めたのかなと呑気に思っていた私は、執事のオーベンに「マリリン様は離婚届にサインをされて出ていかれました」と聞かされた私は、マリリンのサインがされた離婚届を手に呆然と立ち尽くした。
「陛下!妻が離婚届にサインをして出て行ってしまいましたっ!!」
「そうか!丁度良かったではないか!これで何の憂いもなくフレーリアを妻にすることが出来るな!!」
陛下は嬉しそうに言うが、私はそれどころではない。
「私は妻を愛していてフレーリア様と結婚などしたくないと何度もいいましたよね?!」
「だから王命だと言っているだろう!!」
癇癪を起こした子供のように足をバタバタさせて陛下が唾を飛ばしながら私に言い渡す。
「私でなくても、フレーリア様を受け入れたがる方もいらっしゃいますでしょう?」
「フレーリアを欲しがる家は家格が低くて釣り合いが取れん!!」
「フレーリア様が間違いを起こされたのですから、それも仕方ないでしょう!」
「フレーリアは何も間違いなど起こしておらん!!何を言っているんだ!ばかもんっ!!」
「私とフレーリア様をどうしても結婚させるとおっしゃるなら我が家を失爵させて下さい」
「何を馬鹿なことを言っている!!」
「私は妻を愛していますし、間違いを犯した王女を引き取りたくありません。他国へ行かせていただきます!」
「そんな事許さんぞ!!」
「私にフレーリア様を押し付けるのでしたら、陛下も覚悟して下さいね。フレーリア様が来た瞬間に他国へと行きますから!!」
私は本当に他国へ行く準備をして資産をすべて動かした。
屋敷と領地を売りに出し、買い手が見つかったので、売り払った。
爵位も返す書類を提出して、一応受け付けられた。
陛下が現状を知るのは今日なのか明日なのか知らないが、私はマリリンの下へと向かった。
マリリンは最初にそうするべきだったとなかなか許してくれなかったけれど、最後には許してくれて、妹が嫁いだ国へとマリリンと逃れた。
一ヶ月と少し経った頃、陛下から無理を言って悪かったと謝罪のような手紙が来たが、返信はしなかった。
私達は平民となってしまったけれど、妹の助けもあって、この国の商家としてなんとかやって行けている。
生活レベルは落ちたことは間違いないけれど、陛下に無理難題を押し付けられることに比べたらずっとマシだ。
陛下は手紙だけではなく、使者を送ってくるようになり、返事を受け取るまで帰ってくるなと言ったそうだ。
使者が可哀想だったので「返事を書くからちょっと待ってて」と伝えると「私も身の回りを整理してきたので雇ってください」と言われてしまった。
使者が帰ってこないからと新たな使者がやって来てその人も「身の回りを整理してきたので雇ってください」と言い、二人とも私の商家で仕事をしている。
新たに来た使者が、フレーリア様は伯爵家の後妻に入ったと教えてくれた。
ただその伯爵家に嫁がせるまでに公爵家や侯爵家に圧力をかけたそうだが、我が家のように領地も何もかも全て売り払って他国へ行くと陛下へ脅しをかけたそうだった。
国が潰れるのが先なのか、誰かが取って代わるのか分からないけど、私達には関係ない。
マリリンは平民になっても何も言わない。
楽しそうに毎日笑っている。
マリリンの笑顔を見て、私も幸せだ。
男爵に叙爵したいと打診されたけど、貴族の一番下になって貴族のご機嫌取りはしたくなくて、断っている。
END
一旦ここでマリリンとフランクのお話は終わりたいと思います。
書けば書くほどに皆さまを引き寄せられないものになってしまいました。
子供達を全然活かせなかったことも残念でなりません。
お付き合い頂きありがとうございました。




