天の川 いにしえ繋ぐ 寿賀の宇宙(とき) 数珠が如しと 黙霊(モクレイ)諭す
― 設 定 ―
( 大 神 を 中 心 に ・ 幼 年 体 は 小 神 と 称 す る ) :
テ ィ ラ ノ サ ウ ル ス = 大 神 : 雄 、… 老 齢 ゆ え 小
神 族 か ら 棄 民 さ れ る 。 言 葉 は 男 言 葉 、 直 立 種 故
に 大 脳 発 達 、 肉 食 種 の 咀 嚼 能 力 ・ 下 顎 進 化 の 副
産 物 に よ っ て 、 “ あ ・ う ・ え ” と 未 分 化 の “ い
・ お ” 発 声 、 子 音 は 頤 オ ト ガ イ 骨 の 発 達 か ら 推
定 で は 、 老 年 期 に は 発 声 可 能 。 壮 年 個 体 の 四 分
の 三 は 、 小 さ い 前 肢 で 四 本 半 の 指 ( → 四 元 論 …
薬 指 は 小 さ く 軟 骨 の み で 創 ら れ 、 小 指 は ほ ぼ
瘤 ) 、 強 靱 な 力 は な い が 筋 肉 量 に 比 し て 神 経 線
維 が 多 く 細 か な 手 作 業 は 出 来 る 、 手 作 業 ・ 発 声
可 能 で あ る 。 老 年 期 に 知 能 が 飛 躍 的 に 上 昇 す る
… こ の 著 し い 上 昇 と 棄 民 は 関 係 が あ る か も し れ
な い 、 棄 民 後 は 知 能 と 手 先 の 器 用 さ で 個 体 ・ 個
性 に 応 じ た 特 殊 技 能 を 本 文 の 様 に そ れ ぞ れ 独 自
で 開 発 、 こ の 老 齢 の 個 体 は 博 物 館 で 展 示 さ れ る
も の よ り 手 は 若 干 長 く 、 プ ロ ポ ー シ ョ ン は 八 頭
身 程 度 。 身 長 2 0 メ ー ト ル と 巨 大 … 勿 論 個 体 差
は 大 き い 、 当 時 の 霊 長 類 。 火 ~ 高 炉 を 自 由 に 使
え る 、 個 体 の 殆 ど 生 来 的 に 幼 年 か ら に 磁 鉄 鋼 か
ら の 製 鉄 が 出 来 、 小 鉄 器 ナ イ フ 火 打 ち 石 木 造 住
宅 ~ テ ン ト 、 毛 皮 の 加 工 が 出 来 た 。 テ ィ ラ ノ ザ
ウ ル ス 老 壮 期 = 大 神 種 は 特 化 す る 能 力 の 個 体 差
は 極 め て 多 様 、 老 齢 と な り 棄 民 ま で の イ メ ー ジ
の 長 命 と 基 本 知 能 の 高 さ に よ る 蓄 積 ・ 洗 練 ~ 統
合 ~ 象 徴 化 が 基 本 的 基 底 に あ る 。 ま た 棄 民 後 頤
の 発 達 に よ っ て 言 葉 の 使 用 が 遅 れ る が イ メ ー ジ
の 洗 練 ~ 統 合 ~ 象 徴 化 を 言 葉 ・ ロ ジ ッ ク ・ 0 ・ 1
テ ク ノ ロ ジ ー に よ る 一 面 性 化 ~ 粛 正 は 回 避 さ れ
て い る 。 … < 奇 妙 な 喩 え だ が 、 ア ル ツ ハ イ マ ー
病 に な っ て 現 役 離 脱 さ れ て か ら 認 知 機 能 ・ 身 体
機 能 が 戻 り 残 り 時 間 100 年 と か … 、 統 合 失 調 症
に な っ た が イ メ ー ジ : 対 : 徳 性 を 欠 い た ロ ジ ッ
ク の 競 争 で イ メ ー ジ が 勝 ち 優 り 、 脆 弱 性 の な い
ま ま ・ 健 壮 な 状 態 で 余 命 100 年 、 と か … 。 種 属
性 が 持 つ 多 動 性 で 大 神 “ ヒ ト リ ” の 軽 身 で 自 治
体 の 県 レ ベ ル の 行 動 力 … >
顔 は 浅 黒 い 肌 色 の 表 皮 、 瞳 は 碧 、 虹 彩 は 円 形 、
全 身 に は 少 な い 体 毛 … 顎 の 大 き い 毛 む く じ ゃ ら
の オ ッ サ ン の 風 貌 、 寿 命 一 五 〇 年 血 圧 が や や 高
い た め サ イ ズ の 割 に 短 命 、 代 謝 は か な り 活 発 平
均 体 温 四 十 度 、 五 〇 歳 で 隠 居 、 幼 年 部 族 小 神 の
基 本 的 世 界 観 は ゲ ル マ ン 神 話 的 ( 下 顎 の 形 態 が
現 欧 州 人 に 酷 似 し て い る こ と に よ る ) … だ が 情
緒 の み で 言 語 化 ・ 理 論 化 は ま だ さ れ て い な い た
め 恐 い も の な し 、 母 体 集 団 の 小 神 族 は 船 が ま だ
な い 、 本 編 中 の 大 神 は 隠 居 ~ 棄 民 後 覚 醒 、 走 行
能 力 ・ 登 山 能 力 覚 醒 後 超 越 修 験 者 レ ベ ル 、 体 の
大 き さ も 時 速 二 十 キ ロ メ ー ト ル 定 速 移 動 可 能 …
数 時 間 の 仮 眠 で 1 日 四 百 キ ロ 、 世 界 一 周 も 半 年
で 可 能 、 隠 居 後 は 冒 険 と い う よ り 旅 感 覚 ~ 遷 都
感 覚 、 天 文 、 暦 、 初 等 数 学 ・ 数 字 ・ 文 字 ( 直 観
仮 名 は 駆 使 可 能 ) あ り 、 当 時 の 霊 長 の 象 徴 ・ 重
力 の 揺 ら ぎ ~ 潮 汐 力 を 感 じ る 力 は 体 長 の 伸 長 に
よ っ て 重 力 勾 配 差 ~ 重 力 場 の 法 線 軸 で は さ ら に
鋭 敏 感 じ る ( 頭 と 尻 尾 の 先 を 合 わ せ れ ば 重 力 源
を 特 定 出 来 る … ) 。 揺 ら ぎ を 知 覚 す る 半 径 は 高
々 太 陽 系 ま で 、 直 観 力 は 現 行 人 類 を 遙 か に 凌 ぎ
か つ 非 常 に バ ラ ン ス が 良 い 。
ま た 、 本 編 の 大 神 = 飛 騨 の 大 神 ( 小 神 = 幼 生
体 の 俗 称 は ゲ ル マ ン 神 話 の 狼 = フ ェ ン リ ル ) は 、
直 観 力 ~ イ メ ー ジ 集 合 力 に て 不 精 確 で か つ 宗 教
的 確 信 に て 現 代 物 理 学 の 知 見 を そ れ と な く 窺 い
知 る こ と が 出 来 「 ト ン ネ ル 効 果 」 に よ る 弦 振 動 、
細 胞 内 呼 吸 ・ 光 合 成 ・ 酵 素 反 応 ・ 遺 伝 子 D N A
複 製 ・ 老 化 な ど は 身 体 感 覚 と し て の 実 感 を 持 っ
て い る 、 ま た 加 え る に 、 こ の 実 体 験 に よ っ て 恒
星 内 の 核 融 合 ・ プ ラ ン ク 定 数 未 満 の 領 域 に つ い
て は 大 神 独 自 の ビ ジ ョ ン ・ 見 解 を 持 っ て い る …
そ の せ い か ビ ッ ク バ ー ン 説 に つ い て は 懐 疑 的 で
ビ ッ グ バ ン を 介 し な い 反 復 宇 宙 論 的 世 界 観 ~ 宇
宙 観 の 持 ち 主 、 超 能 力 は 信 じ て い る が そ の 能 力
は 日 常 生 活 の 動 作 に ほ ぼ 限 定 し て い る と 思 っ て
い る 。 覇 金 隕 石 を 信 仰 対 象 と せ ず 小 神 の 特 殊 能
力 ~ 曳 き 船 の 超 能 力 に よ る 誇 大 的 陰 謀 と 考 え て
い る フ シ が あ る 。 … 直 観 仮 名 で イ メ ー ジ し ・ 思
考 し ・ 話 す た め に 話 し 出 す と 回 り く ど く や や 難
解 、 … 直 観 力 も 禍 し て い る 。 直 観 力 は 隠 居 前 後
に 飛 躍 的 に 上 昇 、 直 観 力 を 差 し 引 い た IQ は 百
二 十 程 度 、 覚 醒 の 原 動 力 は 小 神 た ち の 暴 力 衝 動
と 大 神 本 人 等 の 思 い や り 、 棄 民 隠 居 後 覚 醒 す る
の で 小 神 に は 叡 智 や 文 明 が 蓄 積 さ れ な い … 即 ち
大 神 ら 独 り 一 人 の 単 独 文 明 … と い っ て も い い 、
隠 居 人 の 数 だ け 言 語 と 文 明 が あ る 。 恐 い も の 津
波 ・ 地 震 ( 表 皮 は 二 重 で 湿 潤 真 皮 の 間 に は 脂 肪
が 厚 く そ の 下 に 表 皮 に 近 い 乾 い た 真 皮 が あ る 、
こ の 絶 縁 体 の た め に 雷 撃 で は 致 命 傷 に な ら な い
が 酷 く 苦 手 ) 太 陽 系 外 の 天 体 … 知 覚 外 、 彗 星 ・
太 陽 等 不 安 定 の た め 、 小 神 と 違 い 恐 い も の が 多
い 。 そ の た め 退 屈 は し な い 、 居 住 は 高 地 、 退 屈
を 感 じ る と 海 辺 や 低 地 で 歌 や 水 泳 を 楽 し む 、 文
字 ・ 図 形 の 原 型 ( 日 時 計 と 天 文 図 程 度 ) I Q 120
あ り 視 覚 優 位 の 直 観 の た め 、 文 字 の 必 要 性 を さ
ほ ど 感 じ て い な い ~ 重 要 視 し て い な い 。 趣 味 ・
水 へ の 好 奇 心 で 泳 ぎ も 出 来 る 。 密 で は な い が 隠
居 人 同 士 の 交 流 あ り 、 ( 詳 細 本 文 … セ ト ウ チ ・
ワ タ ツ ミ の 兄 = ダ ー ナ ・ ワ タ ツ ミ : 航 海 ・ 造 船
の 技 能 老 種 や 、 虚 空 ・ 虚 時 間 の 洞 察 に 秀 で た ブ
ラ フ マ ナ ス パ テ ィ ー ― 俗 称 プ ラ ン ク 、 旅 好 き の
ラ オ 、 精 密 加 工 と 微 積 分 に 秀 で た キ ワ ミ 、 窯 業
に 通 じ た ハ ゼ ・ ル ツ ボ 、 鍛 冶 の ヒ タ イ ト ・ ヒ タ
チ ビ ト ら と は 使 用 言 語 、 < 現 行 ウ ラ ル ・ ア ル タ
イ 語 族 に 相 当 > が 酷 似 し て い る た め 交 流 が 深
い 。 ) 情 報 交 換 ・ 自 作 工 芸 品 ・ 組 織 的 生 産 物 等
を 交 換 し 合 い 、 文 化 的 で 豊 か 、 近 縁 に 機 ・ 鋼 加
工 す る も の あ り 、 本 文 中 の 大 神 本 人 の 専 門 は 天
文 。 居 住 地 は ト ガ ク シ 。 革 の テ ン ト + 防 蝕 加 工
し た 竹 フ レ ー ム ・ 布 ザ ッ ク で 小 斧 一 つ で 頑 丈 な
住 居 を 小 一 時 間 で 創 る 。 機 は 出 来 な い が 簡 単 で
小 さ な 土 師 で 金 属 精 錬 は 出 来 た 。 小 さ な 土 師 と
個 体 の 巨 大 な 肺 活 量 が こ れ を 可 能 に し た 。
… 特 殊 能 の 大 神 個 体 … た だ し コ ン タ ク ト ・ ネ
ッ ト ワ ー ク は 疎 、 押 し 並 べ て 直 観 力 ス グ リ を ベ
ー ス に 重 力 波 の 他 磁 力 も 解 る 。
別 個 体 は 様 々 な 船 、 天 文 、 航 海 法 創 案 、 特 殊
技 能 は 個 体 に よ る 。
… 以 上 棄 民 後 ― 壮 年 期 老 年 期 は 活 動 量 は 若
干 減 少 す る 、 墓 は 外 八 洲 に 作 る こ と を 小 神 族 か
ら 強 要 さ れ る が 主 な 居 留 地 が 外 八 洲 の と き は こ
の 限 り で は な い 。
な お 、 幼 年 部 族 の 小 神 で も 若 年 覚 醒 す る 個 体
は 希 な が ら い る 、 知 的 に は 大 神 の 水 準 だ が 圧 倒
的 に 経 験 と イ メ ー ジ の 蓄 積 が 少 な い 、 身 長 2 m
~ 2 m 5 0 ㎝ 。
例 ― セ ト ウ チ の 姫: ( 卵 生 哺 乳 か ら 胎 生 哺 乳 類
に 変 化 … 彼 女 等 は 進 化 と は 思 っ て い な い )
他 ― 天 の 釈:
覚 醒 ゆ え 小 神 の 集 落 に い る こ と は な い 。
ま た 、 イ リ ジ ウ ム 含 有 の 巨 大 隕 石 に 付 随 し た
レ ト ロ ー ウ イ ル ス に よ っ て 雌 種 が ほ ぼ 壊 滅 、 僅
か な 生 存 個 体 の 多 く は 卵 生 か ら 胎 生 に 変 化 し
た 。
( 高 等 哺 乳 類 ― 胎 生 ) : 本 文 で は 大 婆 ~ 婆 様
… 雑 食 種 、 採 取 、 簡 単 な 農 耕 を す る が 、 テ ィ
ラ ノ ザ ウ ル ス 種 大 神 ・ 小 神 に 比 べ 歴 史 は 浅 い 。
元 々 穴 居 生 活 を し て い た た め 、 低 酸 素 に 強 か っ
た 。 藁 ・ 縄 ・ 蓆 の 製 作 加 工 等 が 得 意 、 穴 居 を や
め て か ら 酸 欠 リ ス ク か ら 解 放 さ れ 本 格 的 に 火 の
使 用 を 開 始 、 土 器 の 製 作 も 可 能 、 寿 命 は 百 年 程
度 、 語 り 部 の 婆 ら は 竹 内 神 話 を 継 承 。 以 下 、 詳
細 は 不 明 。 … 異 種 の 例 と し て ー ナ ギ ・ ナ ミ 。
( 胎 生 高 等 哺 乳 類 ― 異 種 ) : ナ ギ ・ ナ ミ
直 観 異 能 形 、 異 能 ゆ え 父 母 か ら 疎 ま れ 、 高 等
哺 乳 類 の 語 り 部 の 婆 に 支 援 さ れ る 。 語 り 部 ら は 、
竹 内 神 話 を 密 か に 継 承 。 異 種 故 推 定 寿 命 百 年 、
本 作 品 で は 二 十 五 歳 と 二 十 三 歳 、 心 理 的 に は 現
行 人 類 の 十 八 歳 程 度 、 現 行 人 類 の 祖 。 知 的 能 力
も 現 行 人 類 と 同 様 ・ 好 奇 心 は 極 め て 異 種 ! … I
Q 換 算 不 能 、 ほ ぼ 大 神 相 当 。 こ れ 故 大 神 = テ ィ
ラ ノ ザ ウ ル ス 老 生 体 の 話 に も つ い て 行 け 、 大 神
の 展 望 に 参 与 出 来 た り 新 し い 展 開 も 出 来 る 。 い
に し え を 大 神 以 上 に 大 事 に す る 、 異 形 的 好 奇 心
で “ 時 ” が 直 線 で な く 球 あ る い は 数 珠 様 で あ る
こ と 感 じ 始 め る 最 初 の 霊 長 生 物 で も あ る 。 … 勿
論 、 イ メ ー ジ の 洗 練 ~ 統 合 ~ 象 徴 化 を 、 言 葉 ・
ロ ジ ッ ク ・ 0 ・ 1 テ ク ノ ロ ジ ー に よ る 一 面 性 化 の
際 疾 さ に つ い て も 生 来 的 に 知 っ て い た 。
覇 金 隕 石 墜 落 以 降 の 大 厄 災 に セ ト ウ チ の 姫 の
様 に 卵 生 哺 乳 類 か ら 胎 生 哺 乳 類 に な っ た 龍 種 と
の 混 合 が あ っ た よ う だ が 、 ナ ギ や セ ト ウ チ の 世
代 で は な か っ た よ う だ 。 … 神 社 の 氏 神 の 祖 が ヒ
ト 種 で な い 文 化 英 雄 ( 神 話 学 的 に は こ れ も 神 )
の 場 合 が あ る の も 大 き な 根 拠 で あ る 。 … 不 精 確
な 情 報 だ が 1945 年 ま で の 皇 室 あ る い は 宮 内 省 で
は 、 天 皇 自 身 の こ と を “ 御 龍 体 ” と 呼 ん で い た
様 で あ る 、 繰 り 返 す が 上 記 の “ 不 精 確 ” は 「 不
正 確 」 の 間 違 い で は な い 、 … 情 報 誤 差 が 大 き い
も の の 邪 さ は 微 塵 も 無 く 徳 の 高 さ の 顕 れ と 理 解
し て 欲 し い 。
… ナ ギ ・ ナ ミ の 詳 細 設 定 に つ い て は 、 現 実 の
氏 神 様 ・ 皇 室 に つ い て も 不 精 確 で は あ る も の 、
徳 が 高 い 故 に 明 確 化 を 避 け て い る こ と を 含 み お
い て い た だ け る と 幸 い で あ る 。
.
『 新 竹 家 物 語 』
こ の 物 語 は 著 者 個 人 の 空 想 上 の フ ァ ン タ ジ ー
作 品 で あ り 、 登 場 す る 人 物 ・ 集 団 ・ 組 織 ・ 地 名
・ 作 品 も 架 空 で あ り 、 万 一 類 似 ・ 同 一 の 名 称 が
あ っ て も 意 図 や 他 意 も な く 一 切 の 関 係 ・ 関 連 は
あ り ま せ ん 。
… な お 、 フ ァ ン タ ジ ー 故 に 個 人 差 は あ る も の
の 読 書 中 、 無 意 識 脳 を 覗 か れ て い る ば か り か 、
喰 わ れ て い る よ う に お 感 じ に な る か も し れ ま せ
ん 。 … で す が 、 一 方 著 者 自 身 も 同 様 の 無 意 識 的
な 神 経 情 報 や 夢 内 容 を 出 し 入 れ さ れ て い る … 時
に 盗 み 取 ら れ て い る と 、 思 考 の 淀 み の 狭 間 に 、
フ ト 感 じ る 事 が あ り ま す 。
… 著 者 側 に お い て 、 そ の 帳 尻 は マ イ ナ ス の よ
う な 気 も し ま す 。 「 何 故 著 作 ま で に 数 十 有 余 年
も 費 や し た か ? 」 … が そ の 根 拠 で す … 、 此 所 は
お 互 い 様 と い う こ と で 宜 し く お 願 い し ま す 。
ま た 本 編 中 、 病 状 ・ 困 難 状 況 の 回 復 の 道 筋 の
中 に 神 話 や 宗 教 説 話 を 曳 い て い る 部 分 が あ り ま
す が そ の 解 釈 を 巡 っ て の 登 場 人 物 描 写 と ご 理 解
い た だ き た く 、 実 在 と の 関 連 な く 万 事 架 空 で あ
り ま す 。
… し た が っ て 、 引 用 ・ 抜 粋 ・ 剽 窃 等 の は 問 題
あ り ま せ ん が 、 如 何 な る デ ー タ ー ベ ー ス と 言 え
ど も 、 デ ー タ ー ベ ー ス と な り う る 意 味 ・ 意 義 ・
根 拠 は 本 編 に は 全 く あ り ま せ ん の で 悪 し か ら
ず 。
『 新 竹 家 物 語 』
― ヒ ル コ コ ン プ レ ッ ク ス Ⅲ
羽 仰 史 多 朗 著
統 合 失 調 症 に よ る 、 統 合 失 調 症 の 方 が 抱 え る
苦 悩 軽 減 の た め の 、 直 観 仮 名 で 想 い 兼 ね る 『 新
竹 家 物 語 』 … 従 っ て 健 常 ~ マ ジ ョ リ テ ィ ー 側 の
迫 害 ・ 攻 撃 対 象 の 贄 と し て 書 か れ た も の で は 無
い こ と も 明 言 す る 。
お の ず の こ と わ り
… 自 の 理 …
佐 治 版 竹 内 流 自 然 、 そ の あ り よ う
… こ の く に の 言 葉 だ か ら こ そ 出 来 る こ と
疾 身 の 真 心 、 素 朴 よ り 発 ち 歴 史 ・ 時 を 遡 る 、
… 光 の 大 義 か ら 時 下 る の で は な い 、
… ひたすら、疾 身 よ り 遡 る …
い に し え の 縄 文 ( と き ) を 思 い か ね 、 繋 ぐ 。
数 珠 の 如 く 開 闢 ~ 極 縮 。
あ る い は 極 縮 か ら の 開 闢 を 繰 り 返 す …
… 反 復 宇 宙 … す が す が し き か な …
黙 霊 ― 絶 対 温 度 3 度 な る 背 景 放 射 。
〽 天 の 川 い に し え 繋 ぐ 寿 賀 の 宇 宙 ( と き )
数 珠 が ご と し と 黙 霊 ( も く れ い ) 諭 す
目 次 に 先 だ っ て …
“ 長 い ” は じ め に
時 は 瞳 と 瞳 で 繋 が れ て い た 、 瞳 と 瞳 は 時 と 共
鳴 す る 光 り の 束 。 … そ れ は 遙 か な 未 来 。 そ う 信
じ 瞳 に 映 り 交 う も の に 運 命 を 委 ね た も の た ち の
物 語 で あ る 。
瞳 と 瞳 は 時 で 繋 が れ て い た 、 そ れ は 素 粒 子 の
ト ン ネ ル 効 果 最 中 の 共 鳴 に よ く 似 て い る …
飽 く ま で 粒 … 世 界 全 て 粒 、 孤 高 の 粒 。 … と 考
え 続 け る 限 界 に 思 い か ね た 現 象 仮 説 で あ る 。 あ
る い は 物 理 学 者 の 云 う カ ー テ ン の 撓 み 、 そ の 撓
み に 包 ま れ た 同 士 、 共 鳴 は 遠 く 離 れ て い て も 中
身 が 似 通 っ て さ え い れ ば 、 似 た も の 同 士 … 瞳 と
瞳 の よ う に 時 を 超 え て 見 つ め あ う … ひ と 時 で も
見 つ め あ っ た 事 が あ り さ え す れ ば 共 鳴 し 続 け る
よ う な も の で あ る 、 ま た と き に 、 共 鳴 は 時 を 超
え る 。
… そ し て 逆 に 、 長 年 住 み 慣 れ た 家 が 更 地 に 変
わ り 果 て た と き 、 そ の 異 様 な 更 地 の 狭 さ と 住 み
慣 れ た 家 は 、 時 の 彼 方 で … 、 も し か し て ? そ の
異 様 さ は ? 何 処 か で 繋 が っ て い る ! ~ 変 わ り 果
て た 更 地 に は 、 時 を 超 え 再 生 す る 力 な ど 力 持 ち
得 な い ! … ふ た つ の ! ・ ! 、 二 つ の 確 信 が 同 時
に 並 び 立 つ よ う な 異 様 さ が そ の 更 地 に は あ る 。
あ る い は ま た 、 生 音 と は 永 遠 に ほ ど 遠 い 再 生
芸 術 が 生 音 を 越 え る 刹 那 、 そ の 刹 那 の 裏 側 に 共
鳴 が ひ そ ん で い る こ と 。 … ア ナ ロ グ ・ レ コ ー ド
を 回 し そ こ の 溝 に 針 を 落 と す こ と を 何 故 か “ 再
生 ” と 呼 び 慣 わ し て き た こ と の よ う に 。 … し か
し 、 こ の 繋 が り は 演 算 器 や そ の 式 ( プ ロ グ ラ ム )
な い し 演 算 子 で 「 超 越 」 や 「 跳 躍 」 を 定 義 す れ
ば 針 飛 び も せ ず 超 越 や 跳 躍 が で き る 事 と は 本 質
的 に 異 な る か も し れ な い 。
時 も こ こ で は 、 不 可 逆 的 に 一 方 向 に 一 秒 間 に
き っ ち り 一 秒 進 む 、 こ の 時 空 上 の 事 実 は と も か
く … 、 年 も 月 も 陽 も 季 節 も 星 も 再 生 す る か の よ
う に … 歴 史 は 繰 り 返 す 様 に 、 巡 る 、 命 は 再 び 息
吹 く 。
… 時 を 観 る 、 共 鳴 や 喩 え が 時 を 超 え る 刹 那 …
ま る で 因 果 や 論 理 で 繋 げ ら れ た 時 の 長 紐 ~ あ る
い は 組 紐 を 外 か ら 鳥 観 す る 様 に 観 る こ と だ っ て
絶 対 的 に 不 可 能 で は な い 。 長 紐 に 過 去 の 出 来 事
と い う も の … 出 来 事 と さ れ る も の を 括 り 付 け 、
紐 付 け て ゆ く と … 歴 史 と い う べ き も の の 中 に 共
鳴 の 様 な も の が 見 え 隠 れ す る こ と さ え あ り う
る 。 喩 え が 異 な る 周 期 で 巡 る も の の … 。
皆 … 。
揺 ら ぎ 、 と き め き 、 乱 れ = 「 ス サ ブ 」
生 ま れ 、 発 ち 育 ち 、 争 い ・ 育 み = 「 ア マ ネ ク 」
ね ぎ ら い 、 籠 も り 、 隠 れ る = 「 ヒ ル ゴ モ リ 」
陰 り つ 、 実 を 結 び 、 倦 む = 「 ツ キ ・ ウ ン 」
… 長 紐 に 括 ら れ て 初 め て 、 似 通 っ た 幾 つ か の
物 語 が 重 複 し た り ・ 反 復 し た り す る の が 見 え て
く る こ と も あ り 得 る 。 時 に よ っ て は 長 紐 自 体 が 綻
ん で 見 え た り も す る 。
因 み に 執 筆 ~ ワ ー プ ロ 入 力 も 実 時 間 的 ~ 直 線
的 に 同 じ テ ン シ ョ ン で 打 ち 込 ん で い る わ け で は
な い 、 実 時 間 で 5 ~ 6 時 間 で 数 日 休 み み た い な
明 確 な 周 期 性 が あ る 。 執 筆 中 は 音 楽 を 聴 い て い
る か 、 さ も な く ば 反 復 的 な 音 楽 の 幻 聴 ( 要 素 性
幻 聴 ) を 聞 い て 悦 に 入 っ て い る … 時 間 は 特 に 生
体 内 で は 直 線 的 な 実 時 間 で は な く 、 色 合 い の 起
伏 に 富 む 反 復 的 な 虚 時 間 で 巡 っ て い る よ う で あ
る 。
作 者 に は さ さ や か な 趣 味 が あ る 、 ア ナ ロ グ レ
コ ー ド や C D プ レ イ ヤ ー で ク ラ シ ッ ク ( 主 に 伊
福 部 昭 氏 の も の ) や 古 い ロ ッ ク や ブ ル ー ス を 聴
く 、 歪 の 少 な い ス ペ ッ ク の 優 れ た 装 置 で 聴 く の
が 良 い 事 だ と 思 っ て い た 、 … が こ こ 十 余 年 そ の
居 心 地 が 悪 い 、 … 自 称 “ ハ イ フ ァ イ 難 民 ” と な
っ て い る 。 ス ペ ッ ク の 優 れ た 装 置 で 聴 く と 、 か
細 く 乾 い た も の に 聞 こ え て し ま い 、 や た ら 音 を
馬 鹿 で か く し な い と 音 楽 に な ら な い … 音 は 良 く
ハ イ ス ペ ッ ク に な っ た が 、 や た ら 疲 れ る … 。
そ れ 以 上 に 共 鳴 と か 、 作 品 が 生 ま れ る と 同 時
に 録 ら れ た 空 気 ・ 音 を 感 じ な い ~ 全 く 異 質 な 空
気 感 ・ 音 が 聞 こ え て し ま う 。 そ し て ど ん ど ん 再
生 … 再 び 立 ち 現 れ 生 じ る こ と か ら 遠 の い て ゆ く。
「 わ た し = 作 者 で あ る 羽 仰 が そ の 時 代 の 空
気 ! と 思 え る 音 、 奏 者 や 指 揮 者 、 場 合 に よ っ て
作 曲 者 ・ 編 曲 者 の 気 持 ち 、 ト キ に よ っ て は 音 の
創 り 手 が 手 探 っ た 『 彼 岸 、 あ る い は そ の 糸 口 と
な る 刹 那 。 』 … こ れ が 無 理 な ら 調 整 卓 で 聞 こ え
て い る だ ろ う 音 … ま だ 修 行 が 足 り ず 奏 者 た ち の
瞳 は 見 え な い が 、 そ ん な 彼 ら の 息 ・ 一 筋 の 命 吹
・ 光 り と 出 会 え る こ と ~ 出 会 い た い 。 ( 彼 録 -
ア ナ ロ グ と 発 音 す る … 彼 は ア ナ と も 発 音 し て 良
い の で あ る ) 」 … と い う わ た し な り の “ 一 本 を
通 し た い … ” だ け な の だ 。 」
… し か し な が ら 、 娑 婆 ・ 世 間 で は 、 低 音 か ら
高 音 ま で 特 性 に 乱 れ が 無 い か ど う か ( f 特 と い
う ら し い ) … ア ナ ロ グ レ コ ー ド や C D に 刻 み 込
ま れ た 以 外 の 音 が 付 け 加 え ら れ て い な い か ( 歪
率 と 言 う ら し い ) ? … ハ イ フ ァ イ = 高 忠 実 度 の
基 本 の 基 本 が 「 通 し た い 一 本 」 に さ し た る 助 言
を し て く れ な い … ど こ ろ か ま す ま す モ ヤ モ ヤ と
ど こ か が 濁 っ て “ 複 雑 ” が ま る で 綺 麗 だ が 窮
屈 な 箱 の 中 に 折 り た た ま れ て ゆ く 。 メ ー カ ― や
メ デ ィ ア は 良 い も の を よ り 廉 く 作 る た め に は 、
沢 山 売 ら な け れ ば な ら な い の で 、 共 通 の 物 差 し
f 特 と か 、 歪 率 と か 半 ば 正 義 様 で 宣 伝 し な け れ
ば な ら な い 。 こ れ は 正 し い こ と な の あ る が 、 正
し い 故 に ハ イ フ ァ イ 難 民 が 生 ま れ 出 た の で あ る
… め で た し め で た し 。 ( 何 故 目 出 度 い か は 後 で
語 る … 予 定 。 )
だ が 微 々 た る ハ イ フ ァ イ 難 民 の 半 生 も 濁 っ て
い て 複 雑 … 他 方 、 正 し い 事 か ら ち ょ っ と で も 離
れ る 事 を 許 さ れ な い 社 会 も ど こ か 複 雑 で あ る …
大 国 ( 昨 今 の 中 ・ 露 ・ 米 ) が 掲 げ る 「 正 義 」 に
は 絶 対 を 臭 わ せ は す る が … ど こ か そ の 場 限 り の
匂 い が 漏 れ 出 て く る 、 明 ら か に 「 正 義 」 が 陰 っ
て き て い る 。
… 内 実 の 無 い 「 正 義 」 と 名 付 け ら れ た カ ー ド
ゲ ー ム の 「 カ ー ド 」 を 持 っ て い る だ け の よ う な
気 が す る 。 一 個 体 ~ 一 人 生 に 「 通 し た い 一 本 」
が 無 く て も 良 い が 、 大 国 ( そ の 大 所 帯 ) が 「 一
本 」 を 見 失 っ て は 近 隣 の 小 国 ・ 非 大 国 は 覇 道 の
奴 隷 に な る の で あ る 。 幸 い ハ イ フ ァ イ 難 民 と い
う 極 め て 変 な 情 報 難 民 の 多 く は 、 < 自 身 が 難 民
で あ る こ と を 自 覚 し て い る 。 > … 通 常 の 難 民 や
情 報 難 民 の 背 後 に は 、 自 国 か ら 脱 出 し よ う と も
・ そ の 余 力 も な い 、 難 民 で あ る こ と さ え 気 が 付
き も さ せ な い 大 き な 力 ・ イ ニ シ エ ー シ ョ ン が ガ
ン と し て あ る 。
ハ イ フ ァ イ 難 民 人 生 、 一 回 。 再 現 は 困 難 … 間
違 い な く 不 能 、 等 価 交 換 も で き な い … 。 幸 い で
あ る 。 … 難 民 で あ る こ と を 自 覚 出 来 た か ら で あ
る 。 「 一 本 」 通 せ れ ば 良 し 、 通 せ な く て も 、 人
は 死 ん で し ま え ば お し ま い 、 自 ず と 彼 岸 に 回 帰
し 向 か う だ け 。
… だ が 国 が 「 一 本 」 を 見 失 い 倒 れ て も 、 山 河
と 民 は 共 に 生 き な が ら え な け れ ば な ら な い 。 …
ど こ も 複 雑 で あ る 、 ゲ ー ム 上 、 倒 れ な け れ ば 良
い と い う ル ー ル も あ る が か え っ て 複 雑 と な っ て
い る 。 … モ ヤ モ ヤ 、 ゴ チ ャ ゴ チ ャ ! 「 一 本 」 を
保 つ 複 雑 … あ る い は 「 一 本 」 を 探 索 す る 微 々 た
る 複 雑 。 ど ち ら も 複 雑 で あ る 。
モ ヤ モ ヤ ・ ゴ チ ャ ゴ チ ャ ・ 複 雑 は 何 故 か ? …
前 置 き が 長 く な っ て し ま っ た … 。
… 何 故 か ? ・ 何 故 に 複 雑 か … ?
い か な る 生 命 も “ 歴 史 ” を 背 負 う 。 … か ら
で あ る 、 「 歴 史 」 を “ … ” で 囲 っ た の は 後 述
す る 探 索 枝 《 = 演 繹 的 定 義 な し 、 帰 納 的 に 巡 っ
て 意 味 が 与 え ら れ る 含 意 で 探 索 枝 》 で も あ る か
ら で あ る … 。
原 子 は 恐 ら く 5 0 億 年 分 く ら い の 宇 宙 歴 は 背
負 っ て い る と 思 う 、 核 崩 壊 や 恒 星 の 中 心 核 で 核
融 合 で も 起 こ さ な い 限 り 、 5 0 億 年 く ら い の 少
し 前 に 起 こ っ た 因 果 を き ち ん と 背 負 い 呑 み 込 ん
で そ の 有 り 様 を 保 っ て い る … 深 い 意 味 で も で あ
る 。 ( … 言 い 方 を 変 え る と 核 内 構 造 物 は ビ ッ グ
バ ー ン 以 前 … 世 界 が プ ラ ン ク 半 径 未 満 の 領 域 に
居 た “ 歴 史 《 … 記 憶 で も 無 い ・ 伝 統 で も 無 い …
歴 史 と し か 言 い 様 が な い 背 景 因 子 … そ れ は 酷 く
共 鳴 的 … 、 き っ と そ れ は 因 果 を 飛 び 越 え て い る 。
か つ 言 い 当 て 切 れ も て も い な い 虚 仮 の 言 葉 》”
… を 背 負 い う る と い う こ と も 含 意 し て い る 。 )
こ れ と 酷 似 す る 様 に 、 食 事 の 時 に い つ の 間 に
か 自 然 に 「 頂 き ま す 。 」 が 出 て く る の も ” 食
物 が 抱 え て き た 生 命 と 歴 史 … 頂 き ま す … ” な
の で あ る 。 … た だ こ の 世 に シ ス テ ム と し て 生 体
の 構 造 ・ 消 化 吸 収 ・ 免 疫 の 整 合 ・ 再 構 成 さ れ る
た め 、 豚 さ ん の オ ニ ク を 食 べ て も 豚 さ ん に は と
り あ え ず な ら な い 。 … 絶 対 無 い と は い い き れ な
い 、 … 因 果 の 彼 方 で 豚 肉 を 食 べ よ う が ・ 食 べ ま
い が 、 ヒ ト は 変 に 賢 過 ぎ る と ~ 欲 張 り が 過 ぎ る
と “ ブ タ ( 半 魔 属 性 ) ” に 成 り 下 が る 輩 が 出 て
く る か ら で あ る 。
ま た 同 じ よ う に 脳 は 酸 素 と ブ ド ウ 糖 と 情 報 を
食 べ る が 、 摂 取 ル ー ト は 不 明 な が ら “ 歴 史 ”
も 食 べ て い る フ シ が あ る 。 … た だ ム ラ や 集 落 が
大 き く イ ン フ レ ー シ ョ ン し 出 し … や が て 国 家 に
な る 頃 に は 、 な ぜ だ か 判 ら な い が 、 “ … ” の
無 い 明 確 に 定 義 さ れ た 「 歴 史 」 が ヒ ト を 喰 う こ
と が 明 ら か に 多 く な る 。 … 他 方 、 故 人 が や り 残
し た こ と 、 “ 鑑 ( カ ガ ミ ) と し て の 歴 史 ” に
食 い つ く こ と が 出 来 た ら 、 無 生 物 が 語 る 歴 史 ~
背 景 因 子 、 … も し か し て プ ラ ン ク 半 径 未 満 の 領
域 を 通 過 出 来 た 虚 空 あ る い は 彼 岸 か ら の 言 葉 ~
有 り 様 に 聞 く 耳 が あ っ た と す る と … 救 済 に は 至
ら な い か も し れ な い が 、 あ る 状 況 に さ さ や か な
灯 火 が 点 る 。 … そ れ は 「 歴 史 」 が ヒ ト を 喰 う 、
喰 わ れ た ヒ ト は 自 身 が 難 民 で あ る こ と も 、 不 遇
か ら 抜 け 出 す 体 力 も 無 い こ と も 判 ら な い 状 況 に
灯 す 。 … な ら ば “ 備 え ” れ ば 良 い 。 こ の 備 え
は 「 ― 全 て 悔 い 改 め よ ー 」 と セ ッ ト の 「 ― 備 え
よ ー 」 で は な い 。 悔 い た り 改 め た り す る 必 要 は
な い 。 そ れ ま で の も の 、 身 の 回 り に 有 る も の を
使 っ て 苦 笑 い し な が ら 尊 重 し つ つ 備 え る の で あ
る 。
“ 半 魔 脳 ” の ブ ラ フ は こ れ に 加 え 他 者 の 不 幸
を 喰 ら い 増 幅 し て 他 者 に う わ 塗 り す る … そ ん な
-輩 へ の そ な え で も あ る 。
物 語 に 先 立 っ て 、 あ る 日 の 当 直 、 フ ト し た 言
の 葉 が 舞 い 降 り る 。 一 つ は 、 普 段 目 も 合 わ せ な
い あ る 人 ( 竹 家 恒 幸 の モ デ ル と な る 人 物 ) が 深
夜 、 わ た し を し っ か り 見 て … 瞳 と 瞳 を 合 わ せ …
「 自 分 に は “ も く れ ぃ ” が わ か る 。 」 … 小 声
で 作 者 に 語 っ た 。 作 者 は “ 黙 霊 ” と い う 漢 字
を 当 て る 。
… あ る い は 熱 情 の 塊 ・ 意 味 は 後 か ら 付 い て く
る も の が 上 が っ て 来 る 、 仮 名 の 波 紋 が 広 が っ て
ゆ く 、 ま た 言 の 葉 が 降 り て く る … 理 筋 で 括 ろ う
と す る と … い つ の 間 に か 物 語 に な っ て い る 。 他
方 幻 視 ・ 幻 聴 も あ る 、 上 野 の 国 立 科 学 博 物 館 の
テ ィ ラ ノ ザ ウ ル ス の 骨 の 化 石 の レ プ リ カ と そ の
残 像 は 、 尻 尾 と 両 足 の 三 足 で 立 ち 、 近 種 の 恐 竜
の 骨 を も か み 砕 く 過 剰 な ま で に 強 靱 な 顎 と 頤 、
不 要 に 大 き い 頭 蓋 骨 、 大 脳 も 。 … 多 数 の 子 音 ・
三 音 く ら い の 母 音 は 発 声 で き た の で は な い か 、
… 時 に 化 石 の 骨 は 受 肉 し 、 時 に 作 者 に 語 り か け
る 、 「 備 え よ 。 」 と 。 「 ( 何 に 備 え る か は 不 明 、
… 骨 の T レ ッ ク ス は 上 を 見 て … ) 御 自 分 で 考 え
て み な さ い 。 」 と … 。
… 物 語 の 行 間 は 不 精 確 な 探 索 枝 で も あ る 。 …
そ し て 時 々 の 変 わ り 目 に し か 役 に 立 た ぬ 備 え で
も あ る 。 す べ て 不 精 確 な も の で あ る 、 た だ 精 確
さ と い う も の は そ の 足 下 の 土 壌 は 見 え な い 定 め
が あ る 。 … 何 故 精 確 さ を 期 さ な け れ ば い け な の
か 、 精 確 さ は こ れ を 説 明 出 来 な い 、 精 確 さ は 精
確 さ の 恩 恵 を も た ら す が … 何 故 ? … に は 答 え て
く れ な い 。 時 の 流 れ は 意 味 側 面 の 過 剰 に な り 、
時 が 波 立 つ こ と や 言 の 葉 の 豊 か な 行 間 が 存 在 し
う る の を 許 て く れ な い 。 不 精 確 さ に つ い て 「 正
し く な い 」 と 言 わ れ た り す る 「 正 し く な い 」 の
含 意 に は 常 に 「 邪 ( ヨ コ シ マ ) 」 と 「 不 精 確 」
と が い つ も ふ く ま れ て い て 、 “ 後 戻 り も し て は
い け な い ” と い う と て も 強 い 恣 意 性 も は ら ん で
い る 。
… 年 寄 り ( 依 り ) の 孝 … と し を と る と 見 え て
く る も の が あ る 。 遺 棄 さ れ て い て 、 ぼ ん や り 感
じ て い た け れ ど も 、 精 密 な 意 味 性 に 何 処 と な い
違 和 感 を 抱 え た ま ま に し て い る と 、 正 史 あ る い
は 「 歴 史 」 隙 間 に … 似 た も の に 類 似 の 反 復 が 見
え て く る 。
… 意 味 側 面 あ る い は 集 合 的 叡 智 の 過 剰 は ム ラ
・ 集 落 か ら ク ニ 、 国 か ら 法 に ゆ っ く り と 変 わ っ
て き て 、 そ れ に 伴 い ム ラ か ら イ エ 、 イ エ か ら 個
人 へ と 個 人 的 意 識 や 言 語 空 間 も 後 戻 り 出 来 な い
変 容 を し て き て い て 、 現 代 の 集 合 的 言 語 空 間 や
個 人 的 言 語 空 間 で は 説 明 で き な い ・ 理 解 で き な
い 多 く の 物 語 ・ 文 書 が で き て し ま っ た 。
… “ 世 界 が 縮 み 、 遠 い 太 陽 系 外 の 天 体 が 近 づ
い て く る ! ” … そ う 確 信 し < “ ち ょ っ と 待 っ
て! !” > と そ の 星 め が け て そ の 運 行 ・ 接 近 ・
ソ ノ 定 め を そ の 手 を か ざ し 素 手 で 止 め よ う と 、
昼 夜 の 分 け 隔 て な く 懸 命 し た 人 が い た … そ れ も
独 り で は な い 。 … 確 か さ に 基 づ い た 行 為 で は な
い が 、 ヨ コ シ マ か と い う と そ う で は な く 極 め て
誠 実 と い え る … だ だ し 昼 夜 の 分 け 隔 て な く手 か
ざ し す る こ と が 、 果 た し て 身 体 に と っ て 優 し く
誠 実 か と い う と そ う で は な い 。 … 「 正 し く な
い 」 の か も し れ な い 。
時 間 の 長 短 は 問 わ な い 、 テ ィ ラ ノ ザ ウ ル ス の
幻 影 は 風 景 を 変 え て ゆ く 、 “ 彼 ” の 幻 影 は 似 た
も の 達 を 柔 ら か く も 強 か な 力 で ゆ っ く り ユ ッ ク
リ と 繋 ぎ 留 め て ゆ く 。 確 認 し が た い 、 ゆ っ く り
・ 極 め て 大 き な 反 転 ・ 反 復 ・ 類 比 の た め に 多 く
の 物 語 や 文 書 ( も ん じ ょ ) が 超 越 的 寿 命 の 文 化
英 雄 や 神 と し か 説 明 し よ う の な い 主 題 が 出 て き
て し ま う 、 あ る い は 超 越 的 な 能 力 ( 神 ・ 文 化 英
雄 ・ 人 ・ 個 体 あ る い は 神 器 ・ も の … ) と し か 説
明 し よ う の な い 出 来 事 が 出 て き て し ま う 。 行 間
は 勿 論 の こ と 、 文 勢 に よ っ て “ 作 者 の 羽 仰 自 身
” が 引 き 摺 り 出 さ れ る こ と さ え あ る 。 が … い つ
ど う 出 る か は サ ッ パ リ わ か ら な い 。
い ま し が た 語 っ た 理 由 で 、 こ の 物 語 は 排 除 も
し な い し 正 邪 を 問 う も の で も な い 。 正 邪 を 問
う な ら そ の 足 下 を 語 ら な け れ ば な ら な い し 、 所
謂 稗 史 が 偽 史 扱 い さ れ 正 邪 を 問 わ れ る が 多 く は
正 邪 を 問 う 根 拠 、 言 い 換 え れ ば よ っ て 立 つ 偽 史
扱 い の 根 拠 、 そ の 根 拠 自 体 の 反 証 並 び に そ の 表
記 ~ 記 述 が 極 め て 不 足 し て い る 。 反 証 の な い 単
独 の 史 料 は 史 料 と は い え な い 議 論 の 材 料 に も な
ら な い 。 … 別 の 次 元 で は 魏 志 倭 人 伝 や 最 近 で は 、
事 後 三 〇 年 も 経 過 し て ポ ル ポ ト 支 援 を 非 難 さ れ
た 毛 沢 東 が 唐 突 に 言 い 出 し た 南 京 虐 殺 … ( 偶 発
的 に 手 榴 弾 を 持 っ た 南 京 市 民 へ の 発 砲 事 件 は あ
っ た ゆ え 虐 殺 は ま ち が っ て は い な い が 、 虐 殺 さ
れ た 市 民 は 南 京 市 の 人 口 を 超 え て い た ) … な ど
な ど 。 正 邪 、 す な わ ち 記 載 が 精 確 か 不 正 確 か と
同 時 に 真 っ 当 ( マ ッ ト ウ ) か 邪 ( ヨ コ シ マ ) か
の 問 い は 言 語 空 間 が 今 日 の こ こ ま で 変 容 し て く
る と 、 現 代 人 の あ り き た り の 「 正 邪 の 問 い 」 と
“ 後 世 の 再 解 釈 = 「 脚 色 」 ” が は 同 値 に な っ て
し ま っ て い る 。
… だ が 何 よ り 不 精 確 か ら 生 じ る 、 そ し て 反 復
さ れ 続 け た イ ン パ ク ト は 一 人 の 人 間 が 受 け 止 め
き れ る も の に も な り 得 る も の に も 紛 れ て い た り
も す る 。
… オ リ ジ ナ ル 、 す な わ ち 探 索 子 の 「 佐 治 芳 彦
編 『 竹 内 文 書 』 … 」 は 漢 字 到 来 以 前 の 文 字 = 神
代 文 字 で 書 か れ て い る の だ が 、 現 代 の 歴 史 学 者
は 「 後 世 の 偽 作 」 と 裁 い た 、 … こ れ も よ っ て 立
つ と こ ろ 自 体 の 反 証 が 乏 し い … あ る い は 重 要 な
反 証 材 料 で あ る 「 記 紀 」 を 省 い て い る よ う な 証
明 の よ う に 見 え る 。 こ れ と ほ ぼ 同 時 に 戦 時 『 竹
内 文 書 』 を 巡 り そ の 文 書 継 承 者 、 竹 内 巨 麿 氏 が
「 ( 天 皇 へ の ) 不 敬 ( の ) 罪 」 の 罪 名 で 水 戸 地
方 裁 判 所 、 東 京 控 訴 院 ( 現 在 の 東 京 高 等 裁 判 所
に あ た る も の ) で 審 判 さ れ い ず れ も 有 罪 の 判 決
を う け た 、 昭 和 十 九 年 十 二 月 一 日 大 審 院 ( 現 在
の 最 高 裁 判 所 ) で は 「 裁 判 の 権 限 を 越 え た 宗 教
上 の 問 題 」 と し て 「 無 罪 」 で あ っ た 、 … 大 審 院
と し て は ( … 宗 教 上 の 問 題 、 太 古 か ら 継 承 さ れ
て き た 主 題 を 後 世 の 制 度 で 裁 く よ う に 要 請 さ れ
て も で き な い … と よ っ て 立 つ と こ ろ を 誠 実 に 語
っ て い る ) 、 “ 後 世 の 脚 色 ” と 同 値 で は な い が
“ 繋 が る の で あ る ” 。
わ が 國 の 神 々 を 多 面 的 に 語 る こ と で 神 の 絶 対
性 は 微 か に 揺 ら ぐ … し か し 、 か と 言 っ て わ が 國
の 神 に 悪 徳 は な い し 有 徳 の 象 徴 は 陰 ら な い 。 遍
く 照 ら す 。 微 か な 揺 ら ぎ は 逆 に こ の こ と を つ ま
び ら か に す る 、 ヒ ラ ガ ナ で 真 心 込 め て 慮 る と 、
隣 の 神 ( 隣 国 の イ デ オ ロ ギ ー も ! ) も 、 鋼 の よ
う に 絶 対 性 が 、 微 動 だ に し な い 摂 理 神 を 生 身 の
ヒ ト が 証 明 す る た め に は 近 代 キ リ ス ト 教 的 な
「 悪 魔 」 が ど う し て も 必 要 な の で あ る < 高 橋 義
人 著 『 悪 魔 の 神 話 学 』 参 照 の こ と > 、 マ ル ク ス
経 済 学 で は 「 貨 幣 = 獣 」 ( マ ル ク ス が 貨 幣 の 定
義 に 困 り 新 約 聖 書 の 黙 示 録 か ら 曳 い た も の ) が
必 須 だ っ た の で あ る 。
< 平 田 清 明 氏 の マ ル ク ス 研 究 参 考 の こ と 、 い
ず れ も ア ル フ ァ ベ ッ ト や 漢 字 だ け で 考 え る と 思
考 が 途 絶 し 悪 魔 や 貨 幣 を 恐 怖 に 色 ど ら れ ・ 憑 依
さ れ 信 じ 込 み そ の 上 で 摂 理 神 や イ デ オ ロ ギ ー 信
仰 が じ き に 立 ち 現 れ て し ま う 。 >
古 今 東 西 ~ 古 今 南 北 の 神 話 や 、 民 族 社 会 で は
“ 悪 魔 ” は 信 仰 の 求 道 者 の 修 行 を 邪 魔 す る だ
け の 特 定 機 能 霊 で 、 庶 民 の 日 常 生 活 と は 無 関 係
の 存 在 だ っ た 。 恐 怖 は 簡 単 に 蔓 延 す る 、 悪 魔 や
獣 = 貨 幣 を 過 剰 に 怖 が り さ え す れ ば 、 自 動 的 に
信 仰 や イ デ オ ロ ギ ー に 帰 依 し て し ま う 、 そ れ だ
け で は な い 、 生 身 と 微 動 だ に し な い 摂 理 の 隙 間
を 悪 魔 と 獣 が 埋 め る 、 外 在 化 と い う 「 排 除 」 、
悪 魔 や 獣 = 貨 幣 を 信 仰 外 ・ イ デ オ ロ ギ ー 外 の 隣
人 ・ 隣 国 に 転 嫁 す る 。 … 恐 怖 故 に 転 嫁 さ れ た 悪
魔 ・ 獣 = 貨 幣 の 濡 れ 衣 を 転 嫁 さ れ た 隣 人 ・ 隣 国
に 対 し 、 帰 依 し た 生 身 は 、 何 処 ま で も 無 自 覚 に
残 酷 に 成 れ て し ま う の で あ る 。 … 我 々 生 身 は こ
の 「 排 除 」 に 「 排 除 」 で 対 抗 す る 傾 向 が 近 代 以
降 際 立 っ て き て い る 、 … そ う で は な く 「 排 除 」
を “ 排 除 ” す る 、 即 ち 棲 み 分 け を す る 、 観 察
に 徹 し ・ 備 え ・ 巻 き 込 ま れ な い ・ 競 争 ~ 競 闘 に
与 し な い 。 … 無 宗 教 ( キ リ ス ト 教 以 外 の 信 仰 は
… 無 宗 教 ら し い 。 ) と か ノ ン ポ リ ( 過 去 に は 確
た る イ デ オ ロ ギ ー を 明 言 出 来 な い も の は そ う 呼
ば れ た 。 ) と 蔑 ま わ れ と も 「 排 除 」 を “ 排 除
” す る こ と 。
さ て ど う 備 え ・ ど う 観 察 す る か 、 そ し て ど う
巻 き 込 ま れ な い か ? で あ る 。 散 々 言 っ て き た こ
と で あ る 。
< 黙 霊 を 語 っ た 当 事 者 ・ テ ィ ラ ノ ザ ウ ル ス の
化 石 ・ 神 代 文 字 の 文 献 ・ 更 地 体 験 ・ ハ イ フ ァ イ
難 民 ・ 佐 治 芳 彦 編 『 竹 内 文 書 』 を 紹 介 し て く れ
た 当 事 者 の 方 ・ 合 理 の 狭 間 に 埋 葬 さ れ て き た 事
柄 。 仮 名 と 現 代 物 理 学 で 考 え そ し て そ こ か ら 紡
ぎ 出 さ れ て く る も の … >
… 作 者 は 恐 怖 の 根 源 を 長 年 探 り 続 け て き た 。
知 り 慮 り ・ 感 じ ( 感 情 ・ 感 覚 ) ・ 直 観 の 限 り を
尽 く し 、 か な り 根 源 的 に あ る の で は な い か と 思
わ れ る の は や は り 六 千 五 百 万 年 ま え の 巨 大 隕 石
の 墜 落 で あ ろ う 。 文 化 英 雄 と し て の “ 神 々 の 精
神 史 ” に は ま だ 癒 え な い 恐 怖 の 瘢 痕 が 残 っ て
い る は ず で あ る 。
だ が 、 恐 怖 は 巨 き く て も 振 り 祓 え る ! 。
こ こ が 本 書 の 意 図 で あ る 。 個 人 や 文 化 に 内 蔵
さ れ た ( 人 を 操 る ) 恐 怖 を 売 り 物 に し な い ~ 便
乗 し な い 、 愚 直 に 棲 み 分 け 、 観 察 し ・ 備 え ・ 巻
き 込 ま れ な い 、 … そ し て 敬 意 を は ら う 。 し た が
っ て 、 こ の 作 品 の 主 題 は ホ ラ ー に 便 乗 し た そ の
種 の 隣 の 神 の 宗 教 ・ イ デ オ ロ ギ ー で は 成 り 得 な
い 。 … 愚 直 に 、 か つ 不 精 確 に 甘 ん じ 過 去 の 叡 智
・ そ れ に 纏 わ る 出 来 事 を 紡 い で ゆ く こ と は 先 の
世 に 対 し て の 重 要 な 備 え な の で あ る 。
… 繰 り 返 す 、 … “ 重 要 な 備 え ” で あ る 。
… い っ た い ど こ か ら 語 る べ き な の で あ ろ う
か ? い ろ ん な も の と 相 互 作 用 し な が ら 、 中 心 付
近 に 漂 っ て い る も の は … 「 時 」 と 「 言 葉 」 で あ
る の だ が …
語 り 出 そ う と す る 辺 り は 作 者 の 幼 少 時 … 間 違
え つ つ も 、 平 か な と 足 し 算 ・ 引 き 算 を な ん と か
人 並 み 、 と 許 容 さ れ は じ め た あ た り か ら … 、 湧
い て で て き た 何 か … 疑 問 と も 呼 べ な い 居 心 地 、
座 り ど こ ろ が 幾 つ も あ る よ う な … そ れ も 居 心 地
の 悪 い も の で は 無 か っ た か ら 、 湧 い て で た も の
の 捉 え ど こ ろ 無 か っ た 、 学 年 が あ が る に つ れ て 、
正 解 と 思 え る も の が い く つ も で て く る ・ 提 示 さ
れ る ・ 与 え ら れ る 、 こ れ と 同 値 な 事 象 は 幾 通 り
も の 間 違 え を 繰 り 返 す 、 智 慧 遅 れ と 言 わ れ た こ
と も あ っ た 。
… わ た し 羽 仰 史 多 朗 は 、 正 解 と 言 わ れ る も の
を 提 示 さ れ る ま え に 自 分 で 探 せ る 天 性 は な く 、
羽 仰 に 与 え ら れ て い た の は 正 解 と 思 え る ・ あ る
い は 正 解 に 導 か な く と も 妥 当 な 方 策 が 幾 つ も み
え て い た … 感 じ て い た 。 後 年 の わ た し は “ 汎 化
力 ” と も 「 思 路 障 害 ( 統 合 失 調 症 の 症 状 で 、
精 確 に い う と … 人 間 は 複 数 の 論 理 の 線 ~ 流 れ を
硬 い ・ 緩 い 問 わ ず 一 つ の イ メ ー ジ で 代 用 し 纏 め
る … こ れ が 緩 み す ぎ る こ と を … 観 念 連 合 弛 緩 ) 」
… と も 呼 ん で い る 。 … ま あ 、 小 さ な 子 ど も の
道 草 ・ 一 人 遊 び で あ る 。
… “ あ の モ ヤ モ ヤ 達 を ” ど の よ う に 扱 っ て
も い い か 分 か ら な い ま ま 、 … 「 こ れ が 正 解 。 」
・ 「 そ れ は 間 違 え ! 」 と 言 わ れ る ま で 、 延 々 繰
り 返 し 、 そ の パ タ ー ン を 時 間 を か け て 覚 え て お
く 。 … 言 い 当 て る に は 程 遠 い が 六 十 余 歳 と い う
人 生 経 験 で は こ の 表 現 が 最 も 近 い か も し れ な
い 。 … た だ そ の モ ヤ モ ヤ は 羽 仰 の 中 で 全 て 死 滅
せ ず 生 存 し て い る の が 有 る の に 気 が 付 い た の も
六 〇 年 程 か か っ た 。 喩 え て 言 う な ら 正 解 は 夜 空
の 星 、 モ ヤ モ ヤ は 背 景 放 射 。 恐 ら く 正 論 と 理 解
は 星 座 に 相 当 す る だ ろ う が 、 星 座 の 名 付 け 方 は
文 明 に よ っ て 違 う の と 類 比 す る 様 に 星 と 星 ~ 正
解 と 正 解 を 繋 げ て 星 座 を そ し て 正 論 を 位 置 付 け
る の は か な り の 個 人 差 が 有 る 。
車 の 免 許 を 持 っ て い る 羽 仰 は 即 物 的 な 「 道 路
交 通 法 」 は 正 解 が 自 ず と 理 解 で き る が 、「 税 法 」
の 「 控 除 」 辺 り は 税 理 士 さ ん や 会 社 経 営 者 に き
か な い と い つ ま で 経 っ て も 正 解 が 分 か ら な い 、
正 解 が 自 ず と 分 か る の は 税 金 を 払 わ な い の は 酷
く 悪 い こ と だ け は 理 解 で き る が … 。
こ の 年 に な っ て 正 解 ・ 通 念 ・ 決 め ご と と し て
1 0 0 % 市 民 権 を 得 て い る も の で さ え 、 自 分 を
除 い た 健 常 人 ・ 常 識 人 の こ の 通 念 の 対 峙 ・ そ の
意 義 認 識 ・ 思 考 過 程 ・ 内 包 さ れ る 用 語 の 理 解 は
… “ な ん だ こ れ は ! ~ 何 だ コ イ ツ は ! ” と い う
く ら い 日 本 国 内 で も 激 し く バ ラ つ い て い る 。 …
六 十 余 歳 に な っ て 改 め て 気 が 付 く 。 理 解 や 認 識
の 差 異 、 過 剰 な 意 味 付 与 の 有 る 無 し 、 疎 さ ・ 理
解 の 不 十 分 さ ・ 無 意 識 の 濃 淡 、 そ れ も 個 々 人 で
酷 く 違 っ て い る 、 … い た の に 哀 し く も 気 が 付 い
て し ま っ た … 幸 い で … あ る 。 多 少 の 落 胆 は あ る
が 、 日 本 人 の 個 々 … 内 面 が そ れ な り ( 善 し 悪 し
関 係 な く ) ~ か な り 豊 か で あ る と い う こ と に も
気 が 付 い て し ま っ た の で あ る 。
… ハ ナ シ は 跳 ぶ … 歴 史 の エ ネ ル ギ ー ル ー ツ が
違 う よ う に 思 う か ら で あ る 。
歴 史 は 円 ( は じ め も 終 わ り も 無 く 時 は ぐ る ぐ
る ま わ り 歴 み 重 な ら な い )
… 古 代 イ ン ド の 歴 史 観 、
図 形 に す る と … 〇
歴 史 は 繰 り 返 す ( 似 た よ う な 一 回 性 の 事 象 を
螺 旋 状 に 繰 り 返 す )
… 古 代 ギ リ シ ャ の 歴 史 観 、
形 に し て み る と … @
歴 史 は 終 焉 す る ( … そ の ま ま )
… キ リ ス ト 教 の 歴 史 観 ~ 終 末 観 、
表 象 す る と … ⇛ ●
歴 史 は そ の 開 闢 か ら 完 成 さ れ て い た ( 歴 史 を
記 述 す る 文 字 が 成 る 前 に 文 明 が あ っ た )
… 縄 文 ・ 弥 生 人 の 歴 史 観 、
象 徴 的 に は 末 広 が り … 只
( 出 典 は 『 大 学 へ の 日 本 史 』 安 藤 達 郎 著 )
… 最 後 の ( 〇 @ ⇛ ● 只 ) は そ れ を
表 象 す る ア イ コ ン と 考 え て い た だ い て 構
わ な い 。
因 み に 、 中 華 は 、 易 姓 革 命 た び に 編 纂 ・ 刷 新
さ れ 歴 で は あ る が 「 史 」 に 於 け る 時 の 繋 が り が
な い 。
… 歴 史 家 が あ げ て い る 歴 史 観 の 4 つ で あ る 、
歴 史 の 目 的 の い く つ か の 内 、 文 明 の 成 り 立 ち を
可 能 な ら 記 述 す る と い う 使 命 も あ る 、 こ れ が 極
ま っ た の が 神 話 で あ る 、 … た だ し 極 め る と 文 章
の 論 理 が 破 綻 し 事 象 な の か 語 り 手 の 心 象 風 景 な
の か 分 か ら な く な る 。 ( 事 実 も 極 め る と 心 象 風
景 が 語 り 手 同 士 で の 合 一 に 過 ぎ な い 現 代 文 明 の
危 う さ を 隠 蔽 し て い る だ け 。 ) … 言 い 返 す と 終
末 神 話 を 持 っ て い る 文 明 は 比 較 的 多 い … そ の 土
地 の 西 側 に 大 洋 を た た え る 文 明 の 多 く は こ の 種
の 終 末 神 話 を 持 ち 易 い 。 … 何 故 か は 不 詳 。
こ こ で 注 目 す る の は 、 こ の 神 話 の 聞 き 手 の 注
目 度 は あ が る 、 元 々 人 間 は 神 話 に 抗 う よ う に は
造 ら れ て い な い 、 危 な い こ と が 起 こ る か も し れ
な い か ら 注 意 し た り 、 そ れ な り に 備 え よ と い う
集 合 無 意 識 的 な 配 慮 が さ れ て 発 生 し て き た の だ
が 、 … 注 意 す る 対 象 ・ 備 え る べ き も の が 神 話 の
語 り 部 に イ メ ー ジ 出 来 な か っ た り 、 終 末 そ の も
の を 端 折 っ た り 語 ら れ な か っ た り さ れ た り し た
結 果 、 対 象 の 欠 如 が 生 じ る と 、 聞 き 手 の 超 原 始
の 人 間 は 、 過 剰 な 興 奮 ・ 熱 狂 の ま ま 終 焉 に 呑 み
込 ま れ て ゆ く 、 備 え る べ き 災 害 が 極 め て 乏 し い
風 土 で は 終 末 を イ メ ー ジ し に く い 、 乾 燥 地 帯 ・
地 中 海 的 温 暖 地 帯 で は 極 端 な 天 候 変 貌 が な く 、
こ の 欠 如 が 生 ま れ や す い 。 頂 点 に 立 つ と き 自 然
が 崩 れ る 、 過 剰 淘 尽 … の 門 前 に 佇 め ば い い
( … 一 方 、 モ ン ス ー ン ・ 台 風 ・ ハ リ ケ ー ン に
見 舞 わ れ る 所 、 エ ジ プ ト の 様 な 周 期 的 大 河 の 氾
濫 に 見 舞 わ れ る 地 帯 で は こ の 種 の 終 末 神 話 は 、
備 え る も の が あ る た め 終 末 神 話 は 別 の 形 に な り
か わ る 。 )
こ う し て 古 代 以 前 、 俄 に 発 生 し た 興 奮 ・ 熱 狂 、
高 貴 、 注 意 集 中 は < 何 か を 隠 し 覆 い な が ら も … 、
> 集 権 国 家 が 成 り 立 っ て ゆ く の に 転 用 さ れ て ゆ
く 、 あ る い は ど ん な 組 織 で も 急 場 凌 ぎ の カ ン フ
ル ・ 宣 伝 と し て 転 用 さ れ て ゆ く 、 突 然 の 淘 尽 ・
終 焉 も 含 み 置 か れ た ま ま … 。 ま た 、 現 代 文 明 あ
る い は こ の 転 用 の 、 大 前 提 と し て 時 の 流 れ は 唯
一 無 二 と な る 。
… こ の 原 理 相 当 の 大 前 提 に 抗 う こ と は 羽 仰 は
し な い 。
た だ 、 “ 創 造 中 … ” と い う 結 界 ・ 仮 説 を 設
け て 思 考 錯 誤 を 深 め て み る こ と も 斎 に は し て み
る 価 値 は あ る と 思 う 。 … 想 定 さ れ て い る 領 域 は 、
統 合 失 調 症 の 方 々 苦 悩 軽 減 ~ 危 険 察 知 力 向 上 。
と 、 ビ ッ ク ラ ン チ ~ 収 縮 が 始 ま り エ ン ト ロ ピ ー
が 時 間 経 過 で 拡 大 か ら 収 縮 に 変 化 し た 際 の 時 間
感 覚 ・ 時 空 の 変 容 。 ビ ッ ク ラ ン チ ~ ビ ッ グ バ ー
ン 準 備 に か け て 多 方 向 ~ 複 素 時 間 ( 虚 時 間 込 み )
の 有 り 様 ・ 恒 常 性 ~ 変 わ ら ず 伝 承 で き る モ ノ の
探 査 。 当 事 者 T 氏 が 言 い 残 し た 暗 号 「 黙 霊 」 の
解 読 。 聖 徳 太 子 ・ 伝 説 の 「 未 来 紀 」 の 背 景 論 理
の 検 索 。 S F 領 域 に 於 け る タ イ ム パ ラ ド ク ス の
刷 新 ( 時 間 の 1 軸 制 に よ る 不 自 然 な 興 奮 ・ 熱 狂 、
注 意 集 中 か ら の 回 避 … 終 末 神 話 か ら の 離 脱 ・ 棲
み 分 け ) な ど が 思 い 当 た る 。 そ れ 以 外 の 汎 用 は
危 険 す ぎ る 。 こ れ を み た ひ と も し な い こ と 。
鎖 国 や 棲 み 分 け も い つ か は ( 謀 略 技 術 蓄 積 で )
破 ら れ る ・ 覇 道 を 受 け 容 れ て 紅 く な ら な い 補 償
は 無 い し 、 な っ た ら 後 戻 り 出 来 な い 。 … 覇 道 を
遊 ば せ つ つ も 憑 依 さ れ な い た め の 手 立 て の 模 索
も 想 定 さ れ て い る 領 域 に 入 る と 思 う 。
引 き 続 い て 、 分 析 心 理 学 の 果 て に は 、 何 時 ~
如 何 齊 か 、 幻 想 と 統 合 失 調 症 の 妄 想 と 非 統 合 失
調 症 の 妄 想 を 弁 別 し な け れ ば な ら な い 事 に な る
こ と は 、 な ん と な く 分 か っ て い た 、 だ が 標 準 的
統 合 失 調 症 の 防 護 服 を 着 て さ え い れ ば こ の 当 た
り く じ 引 か な い で 済 ん で い た 、 だ が 羽 仰 の 統 合
失 調 症 は 標 準 で は 決 し て な か っ た 。 … サ ル の 仔
食 い の 原 理 を 併 せ て 知 っ て お け ば 憑 依 と 謀 略 に
巻 き 込 ま れ る 事 か ら 被 害 を 減 ら れ る か も し れ な
い 。
… ル サ ン チ マ ン ・ パ ン ド ラ の 箱 と 言 わ れ る よ
う な 半 ば 憤 慨 し た パ ワ ー は 羽 仰 内 部 の み に あ
る 、 そ れ も そ の パ ワ ー は 微 か に 少 し ず つ 漏 れ 出
て い る 。 … そ う 思 い 続 け て き た 。 だ が 箱 に 閉 じ
込 め ら れ た パ ン ド ラ … そ の 箱 の 形 跡 … そ の 有 り
様 は 増 え 続 け て い る し 、 閉 じ ら れ た ま ま の 波 を
抱 い て い る 海 ・ パ ン ド ラ の 箱 は 現 在 に も ・ 過 去
に も ・ 未 来 に だ っ て あ る 。 継 承 さ え で き れ ば 全
て 正 解 の 歴 史 オ ー パ ー ツ な ん て い く ら で も あ り
う る … 意 味 わ っ か ん な い だ ろ う 、 ワ ー プ ロ を 打
ち 込 ん で い る 羽 仰 だ っ て 細 か な 説 明 は 出 来 な
い 、 沸 々 と 湧 い て で る 、 何 ら か の 、 自 分 に 所 属
~ 濃 密 な 縁 が そ う さ せ て い る 、 自 力 本 願 で も あ
り 同 時 に 他 力 本 願 で も あ る 。
ナ マ 治 り ~ 再 燃 の 前 兆 の 羽 仰 が 未 来 も 過 去 も
現 時 点 も 揺 ら ぎ の 海 の 中 に 漂 っ て い る … 無 く な
っ た 人 ・ こ れ か ら 生 ま れ る 命 も そ の 時 々 で 揺 ら
い で い る 。
揺 ら ぎ は 時 ・ 距 離 ・ 宇 宙 を 越 え て 届 く 、 真 夏
の 海 水 浴 場 で 浮 き 輪 を 抱 い て ぷ か ぷ か 浮 い て い
る と 波 の 高 ・ 低 や 波 の 悪 戯 で 観 る 向 き が 変 わ
り 、 そ の 時 々 ・ 波 の 背 と 底 で 見 え る も の が 違 う 。
だ が 、 海 水 浴 場 に 誰 と 来 た か ~ あ る い は ヒ ト
リ で き た か の 如 何 に 関 係 な く 、 ぷ か ぷ か 浮 い て
い る 眺 め ・ 事 情 は 変 わ ら な い の と 似 て い る 。
し た が っ て ナ マ 治 り の 羽 仰 は 、 夢 見 の よ う に
夢 見 手 の 視 点 や 語 り 部 が コ ロ コ ロ 変 わ る 。
… 小 さ い 頃 寒 く て 目 が 覚 め た ら 空 が “ キ ー ン
” と 唸 り … 、
( 1 章 ― 東 京 逓 信 病 院 )
… 聞 か さ れ た 東 京 大 空 襲 を 思 っ た り 、
( 1 章 - 東 京 逓 信 病 院 、 6 章 - 森 の 小 塚 )
石 原 莞 爾 ( 仮 名 、 以 下 同 ) の 事 を 思 い … 想 像
し た り …
( 1 章 ― 東 京 逓 信 病 、 2 ~ 4 章 - 病 室 1 ~ 3 )
消 え な い 唸 り か ら 持 続 低 音 ― ド ロ ン 音 を 駆 使
し た 稀 代 の 作 曲 家 伊 福 部 昭 氏 ( こ れ も 仮 名 ) を
思 い 起 こ し た り … 、
( 5 章 ― 音 更 の 人 )
上 野 の 国 立 科 学 博 物 館 の テ ィ ラ ノ ザ ウ ル ス の
レ プ リ カ が 唸 っ て い た り 話 し た り … 骨 に な っ た
機 っ 掛 で あ る 6600 万 年 前 の チ ュ チ ュ ル ブ の 巨 大
隕 石 の 事 を 考 え た り … 、
( 6 章 ― 森 の 小 塚 、 7 章 ― 陽 流 、 8 章 ―
潮 汐 、 9 章 ― 隕 鉄 、 10 章 ― 旅 に つ い て 、
15 章 ― 挽 歌 18 章 ― 大 神 と ナ ギ ・ 挽 歌
後 半 、 )
… 数 々 の 神 話 の 行 間 に に 恐 龍 や 狼 の 面 影 が あ
っ た り も す る … 、
竹 家 恒 幸 ( 仮 名 ) の 夢 幻 状 態 、 赤 ん 坊 が 養 育
環 境 の 中 か ら 対 象 物 を 見 ・ 遊 び 、 保 護 者 の 掛 た
「 痛 い の イ タ イ の 飛 ん で 行 け 。 」 の 魔 法 や 神 話
と 共 時 的 に 育 っ て い っ た り … 、
( 11 章 ― 不 滅 ・ 我 執 ・ 承 認 ・ 時 と 虚 空 )
学 生 時 代 の 受 講 中 に 眠 り 往 っ て し ま っ た り
… 、
( 11 章 ― 不 滅 ・ 我 執 ・ 承 認 ・ 時 と 虚 空
12 章 ― 原 始 生 殖 細 胞 ・ 胚 葉 神 秘 主 義 )
言 質 等 の 変 更 を 加 え 特 定 不 能 - 竹 家 恒 幸 ( 仮
名 ) 氏 に で あ い 、 彼 が 封 し て 語 ら な い 過 去 を 妄
想 し た り 、 彼 と 彼 等 の 夜 話 に 聞 き 入 っ て し ま っ
た り … 、
( 13 章 ― 竹 家 恒 幸 は 佳 人 二 人 と あ う 、
14 章 ― 発 症 、 15 章 ― 挽 歌 、 16 章 ― 叡 智 交 換
17 章 ― 黙 祷 )
… 彼 等 の 内 に は 聖 徳 太 子 ・ 端 河 勝 や 長 屋 王 の
フ ァ ン タ ジ ー 、 ス フ ィ ン ク ス へ の 答 え 、 維 摩 居
士 解 題 も 数 珠 の 様 に 繋 が り 入 っ て く る 、
( 23 章 ― 火 の 山 の 東 と 西 ~ 九 & 十
24 章 ― 祟 り ・ 猖 獗 )
神 話 の 中 で 卵 生 哺 乳 類 の 姫 ワ タ ツ ミ が 病 身 の
末 、 胎 生 哺 乳 類 に な る 悲 し み と 、 従 属 的 だ っ た
雌 性 の 中 に 世 界 創 造 を 垣 間 見 た り も す る … 、 病
身 の ワ タ ツ ミ は 怪 我 を 負 っ た ナ ギ を 引 き 寄 せ 、
作 者 で あ る 羽 仰 も 物 語 に 曳 き 憑 か せ て し ま う 、
( 19 章 ― ワ タ ツ ミ 、 20 章 ― 浜 辺 の 歌
21 章 ― 怪 我 ・ 失 意 )
世 界 再 創 造 に 燃 え る サ イ レ ン ― 憑 依 霊 ― 蟻 塚
( 魔 族 性 ) と 神 話 の 語 り 部 の 確 執 も 挿 間 し た り
も す る … 、
( 22 章 ― 蟻 塚 )
語 り 部 の 一 人 、 龍 の ア マ ノ ジ ャ ク は 無 残 に も
魔 族 性 に 憑 依 さ れ た り も す る … 、
( 22 章 ― 蟻 塚 、 23 章 ― 火 の 山 の 西 と 東
同 23 章 一 ~ 十 … < 八 は さ ら に そ の 1 ~
そ の 十 を 内 包 > )
隕 石 落 下 で 別 れ 別 れ に な っ た 妹 神 ― ナ ミ と 神
話 の 語 り 部 の 一 人 ― ナ ギ は で あ う こ と が 出 来 た
が 二 人 と も 多 面 の 葛 藤 を 抱 え て し ま う … 物 語 り
は 全 体 が 葛 藤 を 抱 え る 、 故 、 タ ケ イ エ の 繰 り 返
し の 日 常 や 、 羽 仰 自 身 を そ の 物 語 り の 中 に 引 き
ず り 込 む 、
( 25 章 ― 黄 泉 つ 平 坂 、 26 章 ― 白 不 浄 )
… そ し て 旅 人 ( … 遍 く 旅 人 ) と 花 と の 邂 逅 …
そ し て 花 の 第 1 級 神 秘 … 。
( 27 章 ― 旅 人 と 花 )
… な ど が 主 な 登 場 人 物 ~ キ ャ ラ で あ る … ( 繰
り 返 す が 全 て 仮 名 で あ る 。 )
キ ャ ラ 達 は 羽 仰 を 差 し 置 い て 身 勝 手 に も 物 語
り し 始 め ・ 演 じ て し ま う 。 語 り 部 の 体 験 の 対 象
が さ ら な る 語 り 部 を 呼 び 起 こ す こ と だ っ て あ る
し … 時 に 語 り 出 し た イ ニ シ ア テ ィ ブ = 語 り 部 を
差 し 置 い て 、 羽 仰 が リ ベ ン ジ を 取 り 返 す と も 起
こ り う る か も 知 れ な い 。
… と も か く
… ナ マ 治 り と 言 え ど も 羽 仰 の 病 気 は イ イ 感 じ
で 治 っ て い る の で … 身 勝 手 な 登 場 キ ャ ラ が 外 道
ヨ ロ シ ク 、 羽 仰 を 永 遠 に 占 拠 ・ 憑 依 す る こ と は
な い 。 … 外 道 が 神 の フ リ し よ う が 羽 仰 は 精 神 内
界 か ら 無 慈 悲 に 大 胆 に つ ま み 出 す 。
… 反 復 を 巡 っ て 時 の 羽 根 ― 羽 仰 を 羽 ば た か せ
て み よ う 、 ウ エ ブ 小 説 は 長 編 の 場 合 、 幾 編 か に
区 分 け を 余 儀 な く さ れ る … 目 次 に 引 き 続 い て 、
先 ず は 、 時 間 跳 躍 ・ 虚 空 跳 躍 の た め の 離 陸 、 …
東 京 逓 信 病 院 か ら … 。 ど う ぞ … 。
目 次
1 章 ― 東 京 逓 信 病 院
2 章 ― 病 室 1
3 章 ― 病 室 2
4 章 ― 病 室 3
5 章 ― 音 更 の 人
6 章 ― 森 の 小 塚
7 章 ― 陽 流
8 章 ― 潮 汐
9 章 ― 隕 鉄
10 章 ― 旅 に つ い て
11 章 ― 不 滅 ・ 我 執 ・ 承 認 ・ 時 と 虚 空
12 章 ― 原 始 生 殖 細 胞 ・ 胚 葉 神 秘 主 義
13 章 ― 竹 家 恒 幸 は 佳 人 二 人 と あ う
14 章 ― 発 症
15 章 ― 挽 歌
16 章 ― 叡 智 交 換
17 章 ― 黙 祷
18 章 ― 大 神 と ナ ギ ・ 挽 歌 後 半
19 章 ― ワ タ ツ ミ
20 章 ― 浜 辺 の 歌
21 章 ― 怪 我 ・ 失 意
22 章 ― 蟻 塚
23 章 ― 火 の 山 の 西 と 東 ( 対 )
同 章
~ 一 、 絶 望
~ 二 、 絶 望 に 伴 う 覚 醒
~ 三 、 覚 醒 に 伴 う 沈 黙 ・ 抑 圧 … 補 正 項
~ 四 、 沈 黙 と 棲 み 分 け ・ 共 存
~ 五 、 棲 み 分 け : 闘 争
~ 六 、 坩 堝 : ハ ナ シ 半 分 … 時 の 流 れ と
反 復
~ 七 、 夢 と 記 述 そ の 順 序 … 多 様 と い う
こ と
~ 八 、 発 達 ( 此 所 に 居 て も 良 い こ と ・
壊 れ な い も の ・ 我 執 ・ 時 )
同 項
そ の 一 、 そ の 二 、 そ の 三 、
そ の 四 、 そ の 五 、 そ の 六 、
そ の 七 、 そ の 八 、 そ の 九 、
そ の 十 、
~ 九 、 刻 : シ ド ロ モ ド ロ ― 挿 間 ・ 位 相
転 移
~ 十 、 再 生 ・ 再 帰
24 章 ― 祟 り ・ 猖 獗
25 章 ― 黄 泉 つ 平 坂
26 章 ― 白 不 浄
27 章 ― 旅 人 と 花
28 章 ― あ と が き
1 章 ― 東 京 逓 信 病 院 ―
… 1 9 6 9 年 3 月 1 0 日 あ る い は … 不 精 確 、
日 付 な ど ど う で も い い 冷 え 込 ん だ 深 夜 。 寒 い 日
に 限 っ て 少 年 は 鼻 の 奥 の 痛 み と ク レ ゾ ー ル の 幻
臭 を 感 じ て い た 。 … 少 年 は 珍 し く 耳 に は 殆 ど 聴
こ え な い 振 動 ・ 騒 音 で 目 が 覚 め た 。 そ の 時 、 市
場 通 り に は 陸 揚 げ さ れ た ・ 卸 売 ら れ た 魚 介 類 を
運 ぶ 多 く の ト レ ー ラ ・ 大 型 ト ラ ッ ク が ひ し め い
て い た 。
さ さ や か な 時 空 震 と 言 お う か ? … 低 音“ド ロ ー
ン ” の ? 余 韻 と い う べ き で あ ろ う か ? 少 年 と 彼
の 部 屋 は す っ か り ・ 綺 麗 に 片 づ け ら れ て し ま っ
て い て … で も 何 処 に 何 が あ る か 全 く わ か ら な か
っ た。
… 暗 闇 で も 、 何 が 何 処 に あ る か 手 先 の 延 長 の
よ う に 知 り 尽 く さ れ て い た 部 屋 は … も う な か っ
た 。
科 学 博 物 館 で 買 っ た 作 り か け の テ ィ ラ ノ ザ ウ
ル ス の 模 型 が と て も き れ い に 片 づ け ら れ た 異 空
間 を 見 守 っ て い た 。
散 ら か っ て い た 漫 画 は 一 切 処 分 さ れ た 、 … 父
の 癇 に 障 っ た の で あ っ た 。 少 年 に と っ て は 重 大
な 時 空 震 で あ っ た 。
時 空 震 は 低 音 “ ド ロ ー ン ” の よ う な 余 韻 を 引
き ず っ た 。
… そ の 深 夜 、 街 全 体 が 吠 え て い た … 麒 麟 の 様
に 。 少 年 は カ ー テ ン と 窓 を 開 け た 。 夜 空 は キ ー
ン と 、 果 て も な く 晴 れ 上 が っ て い た 。 … い や …
晴 れ て い た は ず な の だ が 、 時 化 こ み 酷 い 湿 気 で
曇 っ て い る よ う に 感 じ た 、 市 場 か ら 漏 れ 出 た 照
明 、 車 の ヘ ッ ド ラ イ ト で 全 天 が 明 る か っ た 。 …
ハ レ ー シ ョ ン … 輻 射 さ れ た の は 光 だ け で は な く
騒 音 ・ 騒 音 も そ う で あ っ た 。 … 築 地 の 卸 売 市 場
界 隈 は 搬 送 の た め 精 霊 ど も が 延 々 と 唸 り を あ げ
て い た … 命 の 不 協 和 音 。 … 明 る く 照 ら さ れ た 空
は 青 く 止 め ど も な か っ た … そ ん な 様 に 見 え た 気
が し た 、 だ が 夜 明 け に は 酷 く 早 す ぎ た 。
… そ の 2 4 年 前 、 同 じ 酉 年 の こ と ― 少 年 が 母
か ら 聞 か さ れ た 事 を 思 い 出 し て い た 、 … 母 や 叔
父 が 語 る 東 京 大 空 襲 が 、 そ の 夜 の 少 年 の 眠 り を
浅 く さ せ て い た … そ れ も 冷 え 冷 え し た 寒 い 日 だ
っ た 。 夜 空 は キ ー ン と 、 果 て も な く 晴 れ 上 が り
少 年 の 鼻 の 奥 も 痛 か っ た … そ し て 時 化 は じ め て
い た 。
… 時 は 飛 ぶ 。
1 9 4 6 年 3 月 、 キ ー ナ ン は 飯 田 橋 の 東 京 逓
信 病 院 に 病 床 の 石 原 莞 爾 を 見 舞 っ た 、 … こ の 日
も 寒 か っ た 。 余 り に 寒 く 大 気 が 高 音 で 共 鳴 し て
い た 。
キ ー ナ ン の 検 事 団 は 些 細 な 不 手 際 を 重 ね て て
い た 、 も と よ り キ ー ナ ン 自 身 、 仕 事 が 遅 い の も
併 行 し て い た 。
先 の 戦 争 犯 罪 の 取 り 扱 い … い わ ゆ る 東 京 裁 判
事 案 を 担 当 す る キ ー ナ ン 検 事 は 、 同 行 し て い た
マ ー ク ゲ イ ン 記 者 に 見 舞 う 病 人 の こ と を 伝 え
た 。
… 石 原 莞 爾 、 当 時 の 関 東 軍 参 謀 、 大 陸 侵 略 の
契 機 と な っ た 柳 条 湖 事 件 ・ 満 州 事 変 の 理 論 的 指
導 者 … 太 平 洋 戦 争 の 理 論 面 で も 指 導 者 の 可 能 性
が あ る 人 物 。 変 人 だ が 事 柄 を は っ き り ・ く っ き
り か つ 手 短 に 表 現 で き る 数 少 な い ジ ャッ パ ニ ー
ズ 。 太 平 洋 戦 争 開 戦 時 の 首 相 ト ー ジ ョ ウ と は 対
立 し て い て 戦 争 責 任 を ト ー ジ ョ ウ か こ の イ シ ハ
ラ に 負 わ し う る 人 物 … 。 … そ ん な こ と を キ ー ナ
ン 検 事 は 記 者 に 伝 え て い た 。
… 病 室 で 、 目 の 前 に い る 、 滅 多 に 瞬 き も せ ず
鋭 い 射 貫 く よ う な 眼 を 持 つ 病 人 を 戦 犯 の 指 名 か
ら 取 り こ ぼ し た こ と 、 … そ し て キ ー ナ ン の 判 断
す な わ ち イ シ ハ ラ を 戦 犯 か ら 外 し 徹 せ た 確 証 を
得 た 凱 旋 と し て 石 原 を 見 舞 っ た 。 白 人 特 有 の 誇
ら し げ な 頬 は 紅 潮 し て い た 。 … 病 魔 を 祓 う ク レ
ゾ ー ル の 臭 に キ ー ナ ン は興 奮 し て い た 。
28 章 ― あ と が き ―
… あ と が き に つ い て 、 佐 治 芳 彦 氏 の 『 竹 内 文
書 』 と の 遭 遇 、 お よ び 本 創 作 の 釈 明 、 … 統 合 失
調 症 の 方 々 の 支 持 ・ 支 援 の た め の フ ィ ロ ソ フ ィ
ー 。
当 直 の ア ル バ イ ト を し て い る あ る 病 院 の 利 用
者 さ ん … も ち ろ ん ア ル バ イ ト な の で 主 治 医 で は
無 い 、 あ る 方 か ら 『 謎 の 竹 内 文 書 』 佐 治 芳 彦 氏
著 の 本 を い た だ い た 、 時 系 列 は も う 少 し 複 雑 な
の で あ る が 、 「 精 神 科 医 と し て 是 非 と も 読 ん で
ほ し い 」 と い う 含 意 を 持 っ て い た 方 の よ う で あ
っ た 。 … 当 時 分 析 心 理 学 か ら 神 話 の 大 海 原 に 乗
り 出 し た も の の 航 海 は け っ し て 順 調 な も の で は
な く 、 象 徴 的 な 太 陽 ~ 大 日 が 大 西 洋 並 び に 大 西
洋 に 沈 ん だ ま ま … 黄 昏 れ た ま ま … ラ グ ナ レ ク の
ま ま で あ っ た 。 … 再 び 今 日 の よ う な パ ワ ー で 日
輪 が ポ リ ネ シ ア や 西 岸 で あ る 極 東 の 日 本 か ら 旭
日 す る コ ン ス テ レ ー シ ョ ン = 星 回 り あ る い は 神
話 的 裏 付 け や 繋 が り が な く 関 連 す る 神 話 素 が な
く 、 暗 が り の ま ま 、 あ る い は 発 見 出 来 な い で い
た 。 ヨ ー ロ ッ パ ・ ア フ リ カ 西 部 、 メ ソ ア メ リ カ
神 話 と の 星 回 り の 水 準 で 共 通 分 母 的 な モ チ ー フ
が 乏 し く 「 記 紀 」 ・ ポ リ ネ シ ア 神 話 を 支 持 す る
物 語 が 慢 性 欠 乏 状 態 に あ り 、 こ の 著 作 に 羽 仰 は
飛 び つ い た の も あ る 。
T 氏 が 遺 し た 不 可 解 な “ 黙 霊 ” と か 、 夢 見 の
バ ッ ク ラ イ ト は ど う し て 隕 石 後 の 冬 み た い に あ
ん な に 薄 暗 い の か … と か 、 荒 唐 無 稽 の 夢 断 片 の
幾 つ か は ポ ゼ ッ シ ョ ン に も な り か ね な い 妖 し い
モ ノ が 繋 げ て く れ て 、 羽 仰 の 世 界 が 明 る く な っ
て い っ た 。 勿 論 、 登 場 の キ ャ ラ の 夢 見 は 羽 仰 の
夢 で も あ る こ と を 追 記 し て お く 。
… 羽 仰 に は 有 限 の 時 間 し か 残 さ れ て い な い の
を 悟 り つ つ あ る 。 だ が 統 合 失 調 症 や 重 症 鬱 病 の
方 の た め だ け に 日 常 や 職 場 へ の 復 帰 を 焦 る あ ま
り 、 ふ り だ し ( 病 の ふ り だ し ) に 戻 ら な い 智 慧
( 神 話 知 ) を 獲 得 し て も ら う こ と 、 な ら び に 不
遇 の 当 事 者 を 支 え る 歴 史 と 神 話 ( 優 れ た 歴 史 記
述 は 同 時 に 神 話 的 で あ る と い う 名 言 も あ る 。 )
に 噛 み つ か ざ る を 得 な く な っ て し ま っ た の で あ
る 。 … こ の 前 提 と し て 、 日 本 の 史 学 ( 日 本 の 歴
史 を 科 学 す る 学 問 ) ― 羽 仰 の 他 学 に つ い て い く
つ か の 用 語 を 羽 仰 自 身 が 日 本 語 と し て 把 握 し な
け れ ば な ら な い の で あ る 。
… 少 々 長 く 、 他 学 ゆ え ・ 他 学 な ら で は の 極 め
て ま と ま り 悪 い あ と が き ― 悪 あ が き を 、 以 下 列
挙 す る 。
歴 史 に は 「 過 去 に 起 こ っ た 事 柄 」 と 「 過 去 に
つ い て の 記 述 」 の 二 義 あ り 史 学 は 学 問 を 深 め る
に つ れ 後 者 の 記 述 に ウ エ イ ト が 遊 動 し て ゆ く 、
歴 史 を 取 り 扱 う フ ィ ロ ソ フ ィ ー と し て 、 遊 動 を
取 り 戻 す 道 筋 は 、 イ タ リ ア の 歴 史 学 者 ク ロ ー チ
ェ 1952 年 没 が 以 下 の よ う に 道 筋 を 遺 す 「 歴 史 は
す べ て 現 代 の 歴 史 で あ る 。 」 あ る い は 国 民 の 歴
史 120 p ヤ ー コ プ ・ ブ ル ハ ル ト は 「 わ れ わ れ は
史 料 に 制 約 さ れ る の で は な く 、 わ れ わ れ が 史 料
を 動 か す の で あ る 。 」 と い う 。 ク ロ ー チ ェ の 発
言 は 自 他 の 境 界 を 怪 し く さ せ る 側 面 が あ り 、 史
学 の 安 東 達 郎 氏 は 以 下 の よ う に 解 釈 す る ・ 羽 仰
は 医 師 と し て 補 充 < で 括 ら れ た と こ ろ > ) す る 、
「 我 々 は 現 在 真 摯 に 生 き よ う と し て い る 。 」
< 羽 仰 は 現 代 的 価 値 の 表 層 ・ 統 計 的 な エ ビ
デ ン ス だ け で 統 合 失 調 症 の 方 や 重 症 鬱 病 の
方 を こ れ 以 上 追 い 込 ん で い け な い と 切 実 に
思 う 、 安 静 が 必 要 な 回 復 期 の 見 た 目 は 怠 惰
で 非 生 産 的 で 惰 眠 を 貪 っ て い る よ う に 見 え
る 、 同 時 に 当 事 者 た ち は 現 代 的 価 値 の 表 層
で 自 身 を 鞭 打 ち 続 け て い る か ら で あ る 、 治
療 者 ・ 当 事 者 自 身 が “ 降 下 ” = 現 代 的 価 値
の 深 層 に 降 下 す る 必 要 を 感 じ る 、 … 現 代 的
価 値 の 成 り 立 ち に は 歴 史 が 介 在 す る 、 ま た
“ 降 下 ” に は 怠 け 心 の 中 に 大 事 な 支 え が
眠 っ て い る か ら 、 当 事 者 た ち を 追 い 込 ま な
い た め に は “ 降 下 ” が 必 要 な の で あ る 。 >
こ の 降 下 が … 「 真 摯 に 生 き る わ れ わ れ に 、 現
在 に 対 す る 問 題 意 識 を 感 じ さ せ る 、 そ の 問 題 意
識 は 歴 史 を 研 究 す る こ と で 解 答 が 与 え ら れ る こ
と が あ り 、 わ れ わ れ は そ の 解 答 に し た が っ て 現
在 と 実 存 を す り よ せ る 。 言 い 換 え れ ば 我 々 は 未
来 を 創 る が こ の 意 味 に お い て 」 … 「 歴 史 は 現 代
の 歴 史 で あ る 。 」 原 文 よ り 一 部 改 変 ・ 補 足 。 ( 大
学 へ の 日 本 史 3 p < 以 下 “ 大 学 ” > … 予 備 校 の 副
読 本 で あ る が 史 学 科 の 進 ん だ O B た ち は “ 専 門
課 程 で の 日 本 史 ” は こ れ で 充 分 と 嘯 い て い
た 。 )
史 学 の 対 象 は “ 過 去 に お け る 人 間 ” を 対 象 限
定 す る 。
… 一 部 後 述 す る が 歴 史 研 究 者 の 基 本 技 能 は 古
文 書 ・ 記 録 ・ 文 献 資 料 の 来 歴 批 判 と し 、 考 古 学
的 デ ー タ を 元 に 、 そ の 当 時 の 自 然 現 象 ・ 気 候 変
化 ・ 冷 害 < 東 国 > ・ 干 ば つ < 西 国 > ・ 地 震 津 波 な ど
特 に 一 次 産 業 に 対 し て 半 ば 決 定 的 な 状 況 因 子 を
想 像 す る こ と を 対 象 の 外 に 反 主 流 と ま で は ゆ か
な く と も 史 料 の 範 疇 か ら 除 外 し 半 ば 蚊 帳 の 外 に
締 め 出 し て し ま っ た 感 が 否 め な い 。
資 料 ( = 人 間 が 過 去 に 起 こ し た 事 柄 の 結 果 で
現 在 に 残 さ れ て い る も の ) ド イ ツ の ベ ル ン ハ イ
ム 1942 年 没 は 資 料 を 観 察 ・ 報 告 ( 伝 承 ) ・ 遺 物
の 3 つ に 大 別 し た 。
観 察 と は 、 歴 史 家 が 同 時 代 人 と し て 体 験 を と
も に す る 範 囲 で 限 っ た も の と し た 。
報 告 ( 文 字 ・ 図 に よ る 伝 承 ) と は 、 観 察 が 前
記 ゆ え に 情 報 の 大 部 分 は 報 告 ( 文 字 ・ 図 に よ る
伝 承 ) に 依 存 す る 、 こ れ は 物 語 ・ 歌 謡 ・ 伝 説 ・
逸 話 ・ 流 行 語 ・ 俚 謡 の 口 碑 、 と 文 字 に よ る 伝 承
す な わ ち 金 石 文 ・ 系 譜 的 記 録 ・ 年 代 記 ・ 伝 記 ・
回 想 録 ・ 散 ら し 文 、 さ ら に 図 書 に よ る 伝 承 す な
わ ち 図 面 ・ 絵 画 に 分 け ら れ る 。
遺 物 と は 、 肉 体 的 遺 物 ・ 言 語 ・ 習 慣 ・ 製 作 品
・ 事 務 上 の 文 書 の 狭 義 の も の 、 お よ び 広 義 の 記
念 物 ・ 古 文 書 に 分 け ら れ る 。 ・ ・ ・ 日 本 人 と し て
は マ ド ロ ッ コ シ イ 。
正 式 に は ド イ ツ 地 方 は キ リ ス ト 教 伝 来 ま で 文
字 が な か っ た … “ ウ ソ だ ろ う ル ー ン 文 字 が あ っ
た は ず ” … い ず れ に し て も 国 の 事 情 の 異 な る こ
と は 配 慮 し な け れ ば な ら な い 。
… 日 本 の 史 学 は 、 別 の 定 義 を す る 。
文 書 ・ 記 録 な ど 文 字 で 残 さ れ た も の を 史 料 と
呼 び 、 遺 物 ・ 伝 承 を 資 料 と 総 称 す る 、 が 学 際 領
域 で あ る 考 古 学 ・ 美 術 史 学 ・ 民 俗 学 の 研 究 ・ 知
見 も 取 り 入 れ ら れ 範 囲 の 限 定 は 希 薄 に な っ て い
る 。
文 書 ・ 記 録 な ど 文 字 で 残 さ れ た も の を 史 料
を も う 少 し 精 密 に 分 け る と 、 古 文 書 ・ 記 録 ・ 文
献 的 史 料 に 分 類 す る 、 こ の 順 番 で 史 料 的 価 値 が
高 い 、 古 文 書 は 政 府 の 出 し た 公 文 書 ・ 書 簡 ・ 契
約 証 文 で 事 件 そ の も の 示 す も の が 通 常 だ か ら で
あ る 。 記 録 は 個 人 の 日 記 、 と き の 政 府 の 出 し た
記 録 ( 非 公 文 書 ) な ど 事 件 そ の も の に 触 れ て い
た も の で は あ っ て も 、 主 観 ・ 立 場 が 混 在 し 史 料
的 価 値 は や や 劣 る 、 文 献 的 史 料 は 、 伝 聞 の 多 い
歴 史 書 や 伝 聞 を 含 ん だ 間 接 的 な 記 載 の 多 い も の
で 他 に よ る べ き 史 料 の な い と き に 利 用 さ れ る 。
史 学 の 先 史 に つ い て 、 史 学 会 は 史 料 批 判 の 方
法 と 遺 物 ・ 習 俗 の 吟 味 方 が 違 い す ぎ る の で 先 史
は 取 り 扱 わ な い 。 如 何 に も プ ロ フ ェ ッ シ ョ ナ ル
の 立 場 で あ る … 違 い す ぎ る の で 考 古 学 や 民 俗 学
と い っ し ょ に 研 究 す る と い う 選 択 肢 を 史 学 会 は
と ら な か っ た 。 そ れ 故 か 、 以 前 の 三 内 丸 山 古 墳
と か 最 近 の 巻 向 古 墳 調 査 で は 安 西 が 史 学 者 の 陰
は 希 薄 に 感 じ る の も … あ あ や っ ぱ り そ う か な の
で あ る 。
先 ほ ど … 数 ペ ー ジ 前 、 「 歴 史 は , す べ て 現 代
の 歴 史 で あ る 」 と い っ た 。 も う 一 つ の 意 味 は 古
代 ギ リ シ ャ の ツ キ ジ デ ス あ る い は ツ キ デ ィ ー デ
ィ ス の 著 し た 『 ペ ロ ポ ネ ソ ス 戦 史 』 は 同 時 代 の
歴 史 家 に よ る 同 時 代 史 ( 当 時 の 現 代 誌 ) で あ っ
た 。
こ の 史 書 に お い て 、 史 料 は 提 示 こ そ さ れ て は
い る が 、 そ の 実 態 は 目 撃 者 の 証 言 ・ 目 撃 記 録 に
等 し い 、 古 代 ギ リ シ ャ の 当 時 の 法 廷 の や り 方 に
倣 っ て 目 撃 者 の 証 言 に よ っ て 書 か れ た 内 容 を 証
人 と し て 喚 問 す る か の よ う に 尋 問 と 反 対 尋 問 の
十 字 砲 火 を 浴 び せ な が ら 、 真 実 が 探 し だ せ る
か ? と い う 手 続 き を と っ て 少 し ず つ 史 料 と な る
っ て ゆ く の で あ る 。 < 『 国 民 の 歴 史 』 158 p 引 用
記 述 参 照 >
… と こ ろ が で あ る 。 …こ の よ う な 手 続 き で 同
時 代 の 証 言 が 吟 味 さ れ て 行 く う ち 、 同 時 代 誌 や
証 言 が 確 た る 史 料 と な る 頃 に は 過 去 に な っ て し
ま う 、 吟 味 が 1 0 0 年 か か っ て し ま う だ っ て あ
り 得 る 。 こ の 不 思 議 さ を ゲ ー テ や エ ル ン ス ト ・
ベ ラ ト ラ ム や ヤ ー コ プ ・ ブ ル ッ ク ハ ル ト は 言 及
し て い る 『 国 民 の 歴 史 』 119 p ~ 120 p
本 来 の 行 間 か ら 離 れ て し ま う か も し れ な い
が 、 敢 え て 離 れ て 言 い た い 。 ・ ・ ・ 複 数 の 反 対 証
言 に 耐 え な い も の は 史 料 と は 言 え な い 。 『 国 民
の 歴 史 』 154 p … 偽 書 の 復 権 の 伏 線 と す る 。
こ の 意 味 に お い て 近 代 史 学 は や っ と 史 学 の 入
り 口 に 立 ち は じ め た に す ぎ な い 。 … 史 料 が 整 理
さ れ は じ め て い る と は い え 、 吟 味 さ れ な い 史 料
す な わ ち 、 ま だ 無 数 の 証 言 の レ ベ ル さ ら に は 、
個 人 に 帰 す べ き 問 題 意 識 ・ 分 析 視 角 が 後 述 の 党
派 制 に よ っ て 大 き く う ね っ て い た り も す る … 大
き す ぎ て う ね っ て い る こ と さ え も 齢 6 0 間 近 に
し て や っ と 気 が つ く こ と さ え あ る 。 ま た 歴 史 家
の 主 観 の 混 入 ・ 非 歴 史 家 の 受 容 能 力 ~ 非 影 響 性
( さ ら に 主 観 が 隠 さ れ て い る こ と に よ る 問 題 等
に よ る ) 現 代 的 拡 散 さ ら に 政 治 学 ・ 覇 権 圧 力 の
迷 入 も あ り こ れ 故 混 乱 が 生 じ て い る 。
… 以 上 羽 仰 の ぼ や き で あ る 。
人 が 歴 史 と 対 峙 す る と き 、 対 峙 せ ざ る を 得 な
い と き が あ る 。 先 ほ ど 述 べ た よ う に 現 代 的 関 心
や 問 題 意 識 が 前 意 識 的 に 歴 史 と の 対 峙 に 働 く 、
人 が 歴 史 を 呼 ぶ の か ? 歴 史 が 個 人 を 呼 ぶ の か ?
証 言 が 歴 史 像 を 創 る の か ? 時 の 熟 成 を 必 要 と す
る 証 言 が 歴 史 像 を 創 る の か ? 時 の 熟 成 を 必 要 と
す る 歴 史 像 が 史 料 を 動 か す の か ? う ね っ て い る
の は 懐 古 趣 味 ① な の か ? 先 人 に 倣 う ② の か ? 洞
察 者 の お か れ て い る 状 況 の 成 り 立 ち を 分 析 す る
③ の か ? … 定 か で な い 。
日 本 に お い て 日 本 語 で こ の 定 か で な い 境 界 領
域 に 佇 む 概 念 が あ る 。 坪 井 九 馬 三 が 「 物 語 ・ か
が み < 鑑 > ・ 史 学 」 と に 分 け た 。 日 本 に は 、 史 学
的 史 料 ~ 資 料 の 他 に 伝 統 的 ・ 伝 説 的 に 口 承 で 伝
え ら れ た も の の 一 部 が 記 述 さ れ 今 に 伝 わ っ て い
る 。
安 東 達 郎 氏 の 著 書 の 行 間 に は 、 物 語 に は ① の
“ 懐 古 趣 味 ” が 、 か が み < 鑑 > に は ② の “ 先 人 の
倣 う ” が 、 史 学 に は ③ の “ 洞 察 者 の お か れ て い
る 状 況 の 成 り 立 ち を 分 析 す る ” が 重 な っ て い る
と 羽 仰 は 思 う 。
続 い て 同 氏 の 『 大 学 へ の 日 本 史 』 6 p あ た り
に は
歴 史 家 は 歴 史 記 述 に は 主 観 を 交 え た り 個 人 的
な 道 徳 観 を 押 し つ け て は い け な い と す る 。 … 羽
仰 ( は 見 か け の 上 で は 安 東 氏 を 批 判 し て い る よ
う だ が 、 た だ 史 学 と 異 な る 道 を 選 ん で 、 当 時 良
く 解 ら な か っ た こ と が 羽 仰 が 馬 鹿 で 分 か ら な か
っ た わ け で は な か っ た し 、 精 神 科 医 と し て の 蛇
足 を 試 み て い る 。 他 の 歴 史 哲 学 ~ 史 学 の 著 書 に
は 同 氏 の 著 述 ほ ど 誠 実 に 明 確 に 著 さ れ て い な
い 。 … ま る で 道 徳 を 知 ら な い 暴 君 が 「 正 し い 歴
史 」 と 称 し て 市 井 の 個 人 個 人 に 「 正 し い 史 学 」
を 露 骨 に 強 制 し て い る 感 が 否 め ず 、 雅 や か に も
こ れ ら 史 学 の 最 重 要 事 項 も 「 正 し い 歴 史 」 の 拠
り 所 と な る 党 派 制 を も 行 間 に 匂 わ せ て い る だ け
の こ と が 大 変 多 い だ け だ か ら で あ る … 以 下 詳 述
し た い ) … ( だ か ら 羽 仰 を 経 由 し て 架 空 の 大 神
が 吠 え 、 ナ ギ ・ ナ ミ が 異 論 を 唱 え 、 イ シ ハ ラ が
噛 み つ き 、 ワ タ ツ ミ が 抗 い 、 竹 家 ・ ア メ ノ シ ャ
ク が 発 症 し 、 長 屋 王 が 祟 る の で あ る 。 ) 。
わ れ わ れ 個 人 個 人 の 実 存 即 ち “ 今 、 此 処 に 居
て も 良 い の だ 。 ” と い う 極 め て 無 意 識 的 安 堵 、
こ れ を 最 大 限 に 支 え 、 支 持 す る も の は 間 違 え な
く 「 神 話 」 で あ る 、 と 同 時 に な に ゆ え こ の 地 の
神 社 に 祭 神 と し て 祀 ら れ て い る か 語 る も の で も
あ り 、 過 去 か ら 今 ま で の 必 要 な 決 め ご と も 含 ま
れ る 。
“ 此 処 に 居 て も 良 い ” こ と は 「 過 去 に 起 こ っ
た 事 柄 」 な い し 「 過 去 に つ い て の 記 述 」 の 史 学
に も 若 干 担 う は ず で あ る と 思 っ て い る 。 と こ ろ
が 現 代 の 史 学 に は 実 証 性 が 要 請 さ れ る 、 即 ち 反
証 に 耐 え る 事 柄 や 記 述 で な い と な ら な い し 、 史
学 は 「 鑑 」 で も な い の で 記 述 に ( 倫 理 的 に ) 正
し い ・ 邪 ( よ こ し ま ) の 価 値 判 断 の 記 載 が 混 じ
っ て も い け な い の で あ る 。 し た が っ て 神 話 に は
世 界 共 通 に 拡 散 で も し な い 限 り 反 論 を 申 し 出 る
ひ と や 事 象 な い た め 反 証 に 耐 え ら れ な い の で は
無 く 反 証 が 極 め て 存 在 し に く い 点 、 さ ら に 神 話
の 内 容 の 伝 承 ・ 記 載 と し て 不 可 解 な い し 荒 唐 無
稽 で あ る こ と に 学 問 と し て 馴 染 ま な い … の 理 由
で 神 話 と 歴 史 に は 明 確 な 境 界 線 が 引 か れ る 。 し
か し な が ら 時 代 が 変 わ る … 例 え ば 三 十 年 前 に 起
こ っ た こ と を 二 十 代 の 若 者 に 伝 え て 伝 わ る も の
も あ れ ば 、 全 く 了 解 し て 貰 え な い も の も あ る 。
時 間 が 離 れ る ほ ど 了 解 が 難 し い の で あ る ( 国 民
の 歴 史 123 p ) … 釣 り 人 が 海 洋 民 と 出 会 い 遠 洋
航 海 に ゆ き 故 郷 に 戻 っ て き た ら そ の 地 は 釣 り 人
の 知 る 人 は 居 な か っ た ( … と し か 現 代 で は 言 い
様 が な く 伝 承 さ れ た 音 声 を 文 字 に し た ら 荒 唐 無
稽 … ) … と 言 う 浦 島 伝 説 と 相 似 の 神 話 が 全 国 に
あ り 、 神 話 に も こ れ に 類 似 す る 話 ― ウ ガ ヤ フ キ
ア エ ズ が あ る 。 荒 唐 無 稽 は 荒 唐 無 稽 の ま ま そ れ
故 … 多 学 か ら の 推 定 で は 人 智 を 超 え た 海 洋 面 の
上 昇 あ り 、 そ の 経 過 を 忠 実 に 記 載 ・ 伝 承 し た と
思 わ れ る 節 は あ る 。 神 話 が 優 れ て 歴 史 的 叙 述 の
側 面 も 持 ち 得 る の で あ る 。 荒 唐 無 稽 の 背 景 に 人
智 を 超 え た 出 来 事 や 実 存 的 対 処 も 潜 み う る の で
あ る 。 も し わ れ わ れ が 津 波 と い う も の を 全 く 知
ら な け れ ば 、 津 波 の 際 、 家 を 燃 や し た 長 老 は 意
味 不 明 な 事 を 語 る 放 火 魔 の お じ い さ ん の 記 載 に
成 り 下 が る 。
史 学 の 実 証 性 か ら 、 歴 史 が 個 人 の 実 存 即 ち “
今 、 此 処 に 居 て も 良 い の だ 。 ” と 言 う 極 め て 重
要 な 支 え か ら 撤 退 し て し ま っ た の で あ る 。
も う 一 つ の 撤 退 が あ る 、 こ れ も 仕 方 が 無 い と
思 わ れ る 。 歴 史 家 の 処 世 と し て の 重 要 事 項 、
歴 史 家 の 記 載 は ( 倫 理 的 に ) 正 し い ・ 邪 ( よ こ
し ま ) の 価 値 判 断 の 記 載 が 混 じ っ て も い け な い
の で あ る 。 … き ち ん と 記 述 す る と 歴 史 家 が 殺 さ
れ て し ま う 。 そ う で 無 く て も 歴 史 家 で あ る だ け
で 殺 さ れ た 時 代 が 秦 の 始 皇 帝 の 時 代 に あ っ た 。
… 歴 史 家 が 正 邪 を 問 わ な い が 前 提 で あ っ て
も 、 時 代 誌 を 歴 史 家 が 書 け な い 書 い て も 秘 蔵 す
る し か 無 い も の も あ る 。 当 時 の フ ラ ン ス 王 朝 が
十 字 軍 の テ ン プ ル 騎 士 団 を 異 端 諮 問 ( 拷 問 で 王
朝 に 有 利 な 自 白 を さ せ た ) に か け た こ と は 歴 史
家 は 記 載 し て い る が 、 内 実 は 陰 謀 を 畏 れ る 法 王
を 抱 き こ ん で 周 到 に 計 画 さ れ た 謀 略 で あ り 、 騎
士 団 は 異 端 で は 無 か っ た 。 … テ ン プ ル 騎 士 団 が
抱 え て い た 莫 大 な 資 産 ほ ぼ 同 王 朝 の 国 家 予 算 と
同 じ 規 模 を フ ラ ン ス 王 朝 は 丸 々 掠 め 取 っ た 。 こ
の 史 実 が 明 白 に な っ た の は フ ラ ン ス 革 命 で 王 朝
が 倒 れ た 時 で は 無 か っ た 。 テ ン プ ル 騎 士 団 の 名
誉 回 復 は 遠 く 1 9 世 紀 フ ラ ン ス 革 命 後 か な り た
っ た 1 8 1 3 年 フ ラ ン ス の レ イ ヌ ア ー ル が 初 め
て 疑 義 を 呈 し 、 1 9 0 7 年 に な っ て 、 ド イ ツ の
歴 史 学 者 ハ イ ン リ ヒ ・ フ ィ ン ケ が 「 事 実 無 根 で
フ ラ ン ス 王 フ ィ リ ッ プ 4 世 が 資 産 狙 い で テ ン プ
ル 騎 士 団 を 壊 滅 さ せ た 」 こ と を 明 ら か に し た 。
歴 史 家 を 責 め て い る 意 図 は 無 い 、 読 み 手 の ほ
と ん ど は 実 存 を 脅 か さ れ て い な い 市 井 の 市 民 で
あ り 、 私 の 対 象 は “ そ う 言 う の だ か ら も し か し
て 、 死 な な い で 良 い の か も ? … ” と い っ た ト ー
ン で 四 六 時 中 実 存 を 脅 か さ れ て い る 統 合 失 調 症
や 鬱 病 や 複 雑 性 外 傷 の 方 で あ る か ら 少 々 の 言 説
の 荒 さ は 許 容 し て い た だ き た い 。 … た だ 今 日 的
「 正 し い 」 は 常 に “ 精 確 で あ る 事 と よ こ し ま で
な い こ と ” が 常 に 入 り 乱 れ て い る し 羽 仰 自 身 書
い て い る と き も 常 に ご ち ゃ 混 ぜ 状 態 で 書 い て い
る 、 そ う な の で 歴 史 家 は 正 し い 歴 史 を 記 述 す る
こ と を 心 懸 け る が ど れ だ け 精 確 に 記 述 し よ う と
も 邪 ま で あ る こ と 、 そ れ も 誰 が 見 て も よ こ し ま
で あ る 記 述 は “ 正 し く な い ” そ し て 正 邪 の 判 断
あ る い は 、 自 動 的 に 邪 と 読 み 手 さ せ て し ま う 様
な 記 載 は か な り し に く い こ と な の で あ る 。 こ の
よ う に 「 正 し い 」 に ま つ わ る 集 合 的 無 意 識 水 準
の 混 乱 か ら 「 精 確 な 事 柄 」 で も 端 折 ら れ 記 載 で
き な い こ と が あ る 。
こ の よ う に 巨 悪 が 周 到 に 謀 ら れ る と 精 確 な 記
載 が で き な い ま ま 、 い つ の 間 に か 正 し い 歴 史 と
し て 歴 史 家 を は な れ 世 間 を 一 人 歩 き を 始 め る こ
と は 少 な か ら ず あ る 。 … も う 一 つ の パ タ ー ン は
反 証 を 政 治 的 に 排 除 し て 正 し い 歴 史 と し て 歩 ま
せ て し ま う も っ と 厄 介 で い つ ま で 経 っ て も 修 正
で き な い の も あ る 。
歴 史 が 撤 退 す る か も し れ な い 神 話 の 機 能 に つ
い て … 歴 史 的 叙 述 に つ い て 。
神 話 は そ の 都 度 合 理 的 思 考 能 力 に 頼 り そ れ に
よ っ て 解 決 で き る 問 題 は 合 理 的 思 考 で 解 釈 し な
が ら 生 き て き た 、 神 話 は 一 つ に は そ の 形 象 化 で
あ る 。 更 に そ の 先 に 、 神 話 の 根 源 は ど う し て も
解 決 で き な い 問 題 が 残 る 。 … 自 分 は ど こ か ら 来
て 、 何 処 に ゆ く の か ? こ の 実 存 的 問 い に 合 理 的
思 考 は 答 え を 出 せ な い し 誰 に で も 出 来 な い 。 神
話 は 答 え の な い 問 い に 何 ら か の 決 着 ~ 折 り 合 い
を 付 す の が 神 話 の 根 源 に あ る 。『 国 民 の 歴 史 』
121 p よ り 、 同 119 p に は 、 エ ル ン ス ト ・ ベ ル ト
ラ ム は 「 い っ さ い の 事 象 か ら 歴 史 と し て 残 る も
の は 、 つ ね に 、 結 局 の と こ ろ 伝 説 で あ る 」 、 “
歴 史 と 神 話 の 秘 儀 を 巡 る テ ー ゼ ” 我 々 は 歴 史
の 純 粋 事 実 そ の も の を 完 璧 に 把 握 す る こ と の 出
来 な い 存 在 で あ る 。 過 去 に つ い て 我 々 が 知 り う
る の は 過 去 に お こ っ た こ と の 象 徴 で あ り 、 比 喩
で あ る の に と ど ま る 。 ( 事 実 で は な い ) 。 ゲ ー
テ は 「 過 去 に お け る い っ さ い の 出 来 事 は 象 徴 で
あ る 」 と い う 。 ま た 、 同 123 p に 、 著 者 西 尾 幹
二 氏 は 、 「 神 話 も 歴 史 も 、 解 釈 を 後 世 に 委 ね 正
確 な 叙 述 に 心 が け る … 荒 唐 無 稽 は 荒 唐 無 稽 の ま
ま そ れ 故 … 神 話 が 優 れ て 歴 史 的 叙 述 な の で あ
る 。 叙 述 者 は 現 代 の 我 々 と 同 じ よ う に 神 話 の 不
合 理 さ を 認 識 し て い た と か ん が え る べ き で あ
る 。 」 と 言 っ て い る 。 … 優 れ た 神 話 に つ い て 洞
察 を し て い る 先 覚 す な わ ち 、 現 代 的 実 証 的 歴 史
と 神 話 と は 線 引 き を さ れ て し ま っ た が 、 歴 史 の
中 に も 神 話 の 中 に も 俄 に 了 解 し が た い 内 容 が あ
り そ れ は 極 め て 歴 史 的 叙 述 な の で あ る 。
し か し 活 字 に さ れ た 竹 内 文 書 で も 了 解 も 困
難 、 記 載 者 や 語 り 部 た ち が ど ん な 風 景 ~ 心 象 風
景 を 行 間 に 漂 わ せ て い た の か さ え も わ か ら な い
と こ ろ は 結 構 あ る 。 間 違 え か も し れ な い が 何 ら
か の 注 釈 な り 触 発 さ れ る 架 空 の ビ ジ ョ ン を 提 示
し な い と 我 々 と 神 話 の 隙 間 が ど ん ど ん 開 い て し
ま う 、 羽 仰 に は 神 話 の 意 味 = “ 今 此 処 に 居 て も
よ い こ と ” を 伝 え な い と 本 業 の 骨 を 失 っ て し ま
う 、 間 違 っ た ビ ジ ョ ン で も 提 示 せ ざ る を 得 な い
の で あ る 。
他 方 、 で は な ぜ こ れ だ け 伝 わ り に く く な っ て
し ま っ た の か ? 誤 っ て い る か も し れ な い ビ ジ ョ
ン や 解 釈 を 妄 想 し て も 良 い の で は な い か と も 思
う 。 … 『 謎 の 竹 内 文 書 』 著 者 佐 治 芳 彦 氏 の 「 前
書 き 」 に は … 学 者 が い く ら 竹 内 文 書 を 否 定 し よ
う と こ の よ う な 伝 承 ~ イ メ ー ジ が こ の 日 本 列 島
に は 存 在 し て い た 事 実 な り 背 景 な り が あ っ た こ
と こ そ が む し ろ 問 題 な の で あ る と い っ て い る 。
こ の 言 い 回 し は 羽 仰 は 何 の 前 提 も な く 了 解 で き
る 、 高 校 の 日 本 史 の 古 代 の と こ ろ で 先 生 が 「 す
べ て 高 度 な 文 明 は 大 陸 や 半 島 か ら 着 た … 」 と お
っ し ゃ っ た 次 の 瞬 間 私 を 含 め た 学 生 ら は 、 乱 暴
に も 日 常 の タ メ 口 で 、 ユ ニ ゾ ン で 「 そ ん な わ け
な い だ ろ ! 」 と … こ の ユ ニ ゾ ン は 私 も 正 直 驚 い
た 、 最 終 的 に 先 生 を 尊 重 し た が 、 少 な く と も 羽
仰 は か な り 小 さ い と き か ら 類 似 の ビ ジ ョ ン が あ
っ た 、 私 の 父 は 推 理 小 説 と 日 本 の 歴 史 が 好 き で
そ ん な 本 が た く さ ん あ っ た 、 そ の 中 に 手 書 き 毛
筆 の 地 図 が 挿 絵 と し て あ っ た 、 初 め て 見 た 私 は
ユ ー ラ シ ア 大 陸 が 書 い て あ る と 思 っ て い た 。 本
州 の 割 に ふ く よ か だ っ た の で そ う 確 信 し た 。 …
“ 昔 に も 世 界 地 図 が あ っ た の だ ” と 。 と こ ろ が
小 学 校 に 入 っ て 文 字 ・ 漢 字 が 読 め る よ う に な る
と 「 本 州 の 地 図 」 で あ る こ と が わ か っ た 。 … プ
ロ ポ ー シ ョ ン は 違 う が 本 州 は ユ ー ラ シ ア 大 陸 に
九 州 は ア フ リ カ 大 陸 に 四 国 は オ セ ア ニ ア に 似 て
い る が 南 北 の ア メ リ カ 大 陸 と 南 極 は 北 海 道 や 樺
太 は 互 い に 見 合 う も の で は 無 か っ た 。 し か し 幾
つ に な っ て も 形 と お の お の の レ イ ア ウ ト が 似 す
ぎ て い る こ と を 十 分 に 説 明 し た も の が な か っ
た 。 後 年 、 季 節 限 定 で は あ る が 南 極 以 外 、 海 流
が 日 本 に 向 か っ て 流 れ 、 漂 着 物 が 日 本 に 来 る こ
と が 不 可 能 で も な い こ と も 識 っ た 。 … と も か く 、
仕 事 の 骨 の 部 分 、 現 代 の 我 々 と 神 話 世 界 の 隙 間
は 少 々 粗 雑 で あ っ て も 邪 で な い 方 法 で 繋 が っ て
い な け れ ば な ら な い 。
… 蛇 足
高 校 時 代 、 表 題 は 忘 れ た が 吉 田 兼 好 の 、 確 か
徒 然 草 「 … よ き ひ と は あ や し き こ と を 語 ら ず 」
の フ レ ー ズ で 終 わ る 極 め て 有 名 な 随 筆 な の だ
が 、 古 文 の 先 生 も 予 備 校 の 先 生 も 複 数 、 こ の フ
レ ー ズ が こ の 文 の 総 括 で あ り 最 も 重 要 な と こ ろ
だ と い う 、 そ の 当 時 、 よ き 人 と は 身 分 も 高 く 学
問 も 教 養 も あ る ひ と で 人 格 も 優 れ た 人 、 身 分 が
高 く な い と 学 問 も 教 養 も 得 る こ と が で き ず 、 高
潔 な 人 格 も 備 わ ら な い … と さ れ る 。 “ そ ん な わ
け な い だ ろ ! ” ・ “ 身 分 が 高 く な く て も 学 問 も
教 養 も な く て も 人 格 が 優 れ 、 怪 し げ な こ と を い
わ な い 人 は 絶 対 い な い の だ ろ う か ? ” … と 行 間
を よ く 読 め る 文 系 の 友 人 は 私 を 「 理 科 系 の 浅 は
か 」 と い い 、 当 時 の 時 代 ・ 文 化 を 慮 る の が 古 典
の 作 法 ・ 最 低 限 の 身 だ し な み と 諫 め て く れ た 、
… “ だ っ た ら 、 よ き ひ と は あ や し き こ と を 語 る
べ か ら ず 。 で は な い の か ? ” の 反 論 に 対 し て 文
系 の 友 人 は そ れ で も 「 よ き ひ と は あ や し き こ と
を 語 ら ず 」 だ と 私 の 過 ち に 釘 を 刺 し た 。 … 高 校
の 古 典 は あ ま り 楽 し く な か っ た 、 「 行 間 」 と い
う 単 語 は 知 ら な か っ た が 、 未 熟 な 私 の 頭 で は 当
時 の 時 代 ・ 文 化 を 考 え ・ 慮 ろ う に も 万 事 、 こ の
よ う な ワ ノ ク ニ 的 で な い 「 大 陸 的 」 作 法 ・ 身 だ
し な み が 必 要 で あ っ た 。
… あ と が き 終 わ り