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ファンタジーシリーズ

宇宙世紀外伝ココミック =殺意のインフィニット=

作者: ゅべ

 ココミック様よりキャラ転用の許可を頂いて、初の宇宙ロボットものを掲載しました。

 宇宙世紀ココミック・イラ9年、人類は宇宙そらに生活圏を広げていた。


 人口が急増し出したココミック星人は器としての地球を危惧したのだ。現在のココミック星人は人口総勢1000兆人、地球はもはや通勤ラッシュの電車状態だった。



 人口密度の増加に伴って痴漢が増加しだす。



 地球のあちこちで押し競饅頭の状態が続き、痴漢容疑で逮捕されるホワイトサワー星人の数は鰻登りだった。天井知らずの痴漢増加にココミック星人は困惑を極めた。



 もはや新たにホワイトサワー星人を収容する留置所も刑務所はない。



 つまりココミック星人は必然的に地球を飛び出して宇宙に出ていった。


 だが、それでもホワイトサワー星人はココミック星人のケツを追って宇宙へ飛び出す。次第に宇宙に適応しだすココミック星人だが、彼女らは自らの新たな生活圏で安全を確保すべくホワイトサワー星人への対抗策を迫られることになった。


 

 彼女らは自らの軍事防衛技術を開発していくことになる。



 アナハイム・ココミックが創業した『アナハイム・ココミックス社』によって『とある兵器』が開発された。



 ーーーーロボット兵器・KKMKーX09A、通称『ココミック♾(インフィニット)』である。



 そしてここにココミック♾で宇宙を駆ける一人のココミック星人がいる。




「スカイ・ココミック、発進よろし!!」

「中尉、初のエースカラー機での実戦です。充分にご注意下さい」


 通信機から管制の声が聞こえる。彼女は興奮する私を気遣って落ち着けと声をかけてくているのだ。



「分かってるよ!! さっさとハッチを開けな!!」

「中尉、ご武運を」



 エースカラー機、それは一騎当千の活躍をした軍人に贈られる名誉であり全ココミック星人の憧れ。私はこれまで多くの敵を戦場で撃ち落としてきた。



 私の機体カラーは赤、先日の大戦で上げた武功からこの機体を本国より授かった。その名誉を胸に私は母艦から飛び出そうとしていた。



 心の準備は既に出来ている。



 ようやくハッチが開いたか、私は前方のオールクリアを確認して勢いよく飛び出していった。心が逸る、私は早く敵を倒したい。



 先日の大戦からまだ一ヶ月しか経過していないにも関わらずココミック星人は争いに身を投じねばならない。そんな現実が私は悔しくて堪らない。



 憎悪が私の心を支配していく。



 私は先日の対戦で多くの部下を失っていたから。そんな犠牲を出してまで終結したにも関わらず、私たちはまた戦争に狩り出されている。我々は犠牲の上に生きているのに、それでもまだ争いが飽きないのかと。


 そんな一切の成長を見せない我々に私はただただ悔しいのだ。


 部隊長としてあるまじき個人的な感情を隠そうともせず、それでも部隊を率いて宇宙空間を移動していた。



 だが私の個人的な感情など上官は当然ながら考慮などしてくれず、通信を通じてあくまで論理的に指示を出してくる。



「スカイ中尉、三時の方向に中隊規模のUnknownを確認。行けるわね?」

「了解!! 各員、主砲の軌道に注意しつつ散りな!!」

「「「「「は!!」」」」」

「あの目立つ白いのは私が相手をする、それ以外は適宜各員で連携を図って対応!! 良いね!?」



 私の指示で部隊が一斉に動き出す。



 あの部隊、見覚えがある。先日の大戦で私の部下の命を奪ってくれた連中だ。まさかいきなり因縁の部隊と出会えるとは。


 私は心の中で神に感謝していた、ココミック神は私に復讐のチャンスを与えてくれたのだ。そして敵部隊の先陣を切る白い機体、アレはホワイトサワー星人の伝説のエースが駆る機体だ。



 ホワイトサワー・ラン、彼の白いエースカラーは有名だ。何よりもその操縦技術は洗練されており、これまでの戦争で幾人ものココミック星人が手にかかったことか。


 寧ろ覚えていると言った方が正しい、彼こそ私の部下を落とした相手だから。つまり因縁とはそう言うことだ、部下たちを撃ち落とした直接の下手人は白い奴!!



 私が憎悪を抱くには充分な理由、そして今一度言おう。私は部隊長失格だ。



 私は機体の中で喉が枯れるほどに敵の名前を叫んで機体の移動速度を上げていた。後方から母艦の主砲が発射の準備に入る光景が目に映り、私は旋回しながら最短距離でランへ向かっていった。



 ココミック♾が携えるライフルの照準を定めて私は銃弾を放つ。



 すると白い敵機は私の銃撃に反応するかのように一気に速度を加速させてカウンターアタックを決行してきた。


 ソードアタックだ、敵機は手にソードを握りしめて私に接近するなり振り下ろす。私は瞬時の判断でライフルで敵のソードを弾き返す。まさかの反撃に私は驚きを隠せず、頭がパニックになった。



 そんな時に敵機のパイロットは私に話しかけてきた。


 敵のエース、ランが機体の通信機を通じて私との会話を望んだのだ。



「先の大戦で残った敵が武器を手にしてきたか、スカイ・ココミック」



 コイツ、私のことを知ってるの!?



「先の大戦では世話になったわね、部下たちを……妹を……スノーを手にかけられた恨み!! ここで晴らすわ!!」

「美しい其方には似つかわしくない悪情だ」

「アンタに褒められても嬉しくないのよ!!」



 私は接近戦に対応するため、ライフルをソードに持ち替えて敵機に斬りかかっていた。 


 ガキン!! と言う金属音が宇宙空間に響き渡る。



「そうか、あのココミック星人はやはり其方の妹か。ココミック王家第三王女、スノー・ココミック」



 くそ、やっぱりそうか。ホワイトサワー星人はセレナだけではなく私のことまで調査済みか。私と妹は王家の出身、ココミック星人は王族にも軍役の義務があるのだ。



 第一王女の姉上は総指揮官と言う立場で本国にいるが、王位継承権を持たない私と妹は前線に送られて全軍の指揮を高めるためのアイドルに仕立て上げられていた。



 そしてその結果、妹は戦場で散った。



 つまりランは妹の立場を知った上でスノーに手をかけたと言う訳だ。ココミック♾に登場したパイロット一人一人の顔や素性など、戦場の中で敵の彼に知る術などないのだから。


 私は一気に怒りを膨張させて、それをぶつけるように白い機体に突っ込んでいく。



「スノーのことかーーーーーーーーーー!!」

「ふっ、王女だなんだと言って結局は俗人か。戦場で感情を丸出しにして身苦しいにもほどがある」

「アンタこそエースなどと持て囃されてもやってることは女の尻を追うだけじゃない!! 戦場に来てまで痴漢なんてして伝説のエースの名が泣いてるわ!!」

「スカイ!!」

「ラン!! 妹の仇!!」



 二人のソードが交じり合う。幾度と無く交じり合って宇宙空間に感情を撒き散らすように金属音が響き渡っていく。そして次第に私の怒りは明確な殺意へと変貌を遂げた。



「アンタみたいな英雄気取りは粛清されて当然よ!!」

「小娘如きに手間取るか!!」

「アンタはもう消えなさい!! 歴史からその存在ごと私の手で消してやるわ!!」

「思ったよりはやる……、だがっ!!」



 ソードでは決着が付かず、いつの間にか私たちの戦闘は銃撃戦へと移行する。すると両者ともに被弾しながら拮抗が崩れていくのだ。私はランへの憎悪を深めつつ己の傷など気にも止めずにライフルのトリガーを弾き続けた。


 そしてランの言う通り、感情を丸出しにして彼に妹を手にかけた理由を問いただしていった。



「どうして妹を狙った!?」

「無論上層部の命令、と言いたいがそれだけではない」

「……回答次第では楽に死ねると思わないで欲しいわ」

「其方は先の大戦と言うが、それ以前から戦争は続いているのだ。負の連鎖を抱くのは其方だけだと思わないことだな」

「な……に?」

「私も父を殺された、兄を殺されて弟も殺された。その恨みを晴らしたまでよ!! 今の貴様と同様の感情に溺れてスノーを撃ったまで!! 手練れの貴様よりも与し易い妹のスノーを殺した、それのどこが悪い!?」

「アンタみたいな奴がいるからいつまでも戦争が終わらないのよ!! ずっと同じことの繰り返しじゃないの!?」

「其方は傍観者を気取って被害者ヅラか!? 王族の其方が!?」



 私とランは見苦しい感情を宇宙空間へロボット兵器の名の如く無限大に撒き散らしてぶつかり合った。そして互いに余裕が無くなっていき、最後の衝突を果たすこととなった。


 この日、一つの戦場で大爆発が起こることになる。人知れず二つの命が爆発に巻き込まれて散っていった。二人の兵士は敵を恨み、その結果自らが戦争に取り憑かれるようにのめり込んで行く事になったためだ。




 二人の叫び、恨みや憤りは爆発の光とともに宇宙空間を漂っていくのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 美しく、哀しく、そして壮大な世界観。 >「スノーのことかーーーーーーーーーー!!」 加えてどこかで聞いたことがあるような作者得意のギリギリの名台詞も織り込みながら、 戦場では決して突…
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