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月の少女と太陽の魔法少女  作者: ひるはボノボノ
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プロローグ~第一話「再開」

月夜が美しい夜。私はいつも通りの日常を終えて家へと帰っていた。


 ふと空を見上げると、月の光に照らされた紫色の髪の少女が空を飛んでいた。


「綺麗…。」とこの非日常的な光景を見て呟いた。


 すると少女は私の方に顔を向けた。その表情は逆光でよく見えなかったが苦笑いをしているのだろうか?


「あの…!」


 その少女は私が話しかけようとするのを察したのか、あっという間に私の視界から消えてしまった。


「行っちゃった…」


 ―私はその日「魔法少女」と出会った。




 第一章「再開」


「はぁ…」


 朝のHR(ホームルームが始まる前、私は教室の窓際の席でため息をついていた。


 私、新弥日向(あらやひなた星月(ほしつき女学園に通う高校2年生。


 あの少女と出会ってから一ヶ月が経ち、もうすぐ夏休みに差し掛かろうとしていた。


「また、ため息ついてるの日向? 」


 今、私に話しかけてきた女の子は同じクラスで幼馴染の柏木穂波(かしわぎほなみ


 ソフトボール部のエースで四番、ポニーテールがトレードマークのスポーツ少女。


 …正直帰宅部で友達の少ない私にとっては、幼馴染じゃなければ本来相容れぬ存在だったと思う。


「ほなみ~、魔法少女に会いたいよ~」


 そんな穂波に私はコアラのようにしがみついた。


「ちょっ! こら日向っ! みんな見てるから…。魔法少女?」


 しがみつく私の手をほどこうとしながら穂波が問いかけてきた。


「うん。魔法少女」


 私は少女との出来事を穂波に話した。


「日向…大丈夫? アニメの見過ぎじゃない? 私もアニメは嫌いじゃないけどさ…」


 話を聞き終えた穂波は、本気で心配した顔で私に言った。


「いや大丈夫だよ!? アニメと現実の区別はちゃんとついてるって!」


 その後も穂波に信じてもらおうと説得を試みたが、穂波は何とも言えない表情で相槌を打つだけだった。


「日向の言うことは信じたいんだけどね~…。あっそうだ!」


 突然穂波が私の話を遮ってきた。


「今日転校生が来るって知ってる?」


 転校生? この時期に? …謎の少女にうつつを抜かしていた私は、自分の席の後ろに空席ができていたことに気付いた。


「噂によればかなりの問題児らしいよ? 数十人を病院送りにしたとか先生たちが話してたし」


 穂波がソフト部の部室の鍵を取りに職員室に訪れた際、偶然聞いたとのことだがその噂は本当なのだろうか?


「よく、うち(星月女学園)に転校できたね…その子」


 苦笑いをしながら穂波に言う。まぁ転校できたのだからきっと噂は大きくなってしまっただけでしょ?


というか噂が本当であっては困る、確実に私の後ろの席に座るからだ。


「まぁ、日向ならなんとかなるって! 何かあったら私が守るからさ!」


 穂波は笑顔で胸を叩いて私に言った。


「ありがとう~。ほなみ~」


 なんて頼れる幼馴染だろうか、後輩の女の子にモテるわけだよ…。


 あれっ? でも何かあってからでは色々まずいのでは?


 私が穂波に話しかけようとした瞬間。


「席に着け~、柏木~」


 担任の南川沙羅(みなみかわさら先生がHR(ホームルーム開始のチャイムと同時に教室に入ってきた。


「やばっ! ごめん日向! また後でね!」


 そういうと急いで穂波は自分の席に座りに行った。


「今日は転校生を紹介する、短い間だが二年三組の仲間として皆仲良くするように」


 南川先生がそう言うと教室のドアから女の子が入ってきた。


 どこかで見たことあるような…? 私の気のせいだろうか…?


星河月乃(ほしかわつきの)です。よろしくお願いします」


挿絵(By みてみん)


 星河さんは自己紹介を終えた後、しばらくその場に立ち止まって教室を見渡していた。


「あぁ、すまん星河、お前の席はあそこだ」


 南川先生は星河さんの行動の意図を察したのか、私の後ろの空いている席を指さした。


 星河さんが南川先生の指さした方向を見た瞬間。


 私と星河さんの目が合った――。


「あっ」


 私は星河さんがあの時の少女に似ていることに気が付いた。


「スミマセン、保健室イッテキマス」


 星河さんは私から視線を逸らし先生にそう伝えるとすぐさま教室から出て行ってしまった。


「星河っ!? ったくしょうがないな…」


 予想外の星河さんの行動にあっけにとられた後、先生は下を向いて頭を掻いていた。


「もしかして星河さんが...?」


 間違いない! 星河さんが魔法少女だったんだ! 後で話しに行こうかなぁ…。


 なぜだか分からないけれど、私には根拠のない自信があった。


「新弥、後で様子を見に行っといてくれ」


 先生は私に言う。


「私ですか!?」


 先生は私が星河さんと話したいのを察してくれたのだろうか?


「新弥…お前保健委員だろ? 星河の体調を聞き終わったら私に報告してくれ」


 先生は呆れて言った。


「あっ…、すいません、分かりました」


 私は自分が保健委員だったことを忘れていた。だって今までほとんど仕事がなかったんだもん!


 少し感情的になってしまったが星河さんに会える事には変わりがない。


「早く、HR終わらないかなぁ…」


 私は心を躍らせながらHRの終わりを待った。

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