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『MS II』
ソ連の戦車隊といえば、圧倒的な数と規模で後世に名を残した大軍団だ。
とは言え、第一次世界大戦終盤におけるソ連は生まれたての革命政府。
ポーランドの侵攻に対応するにも時間がかかる程だった。
世界最大の機甲軍団といえども、一朝一夕で生まれたわけではない。
『T-18軽戦車』別称『MS II』は、フランスのルノーを元に作られた。
しかし当時のソ連の工業力は高くなく、最初に作られたルノーのクローン。所謂KSシリーズは、アメリカ製のギアボックスと、イタリア製フィアット突破戦車のエンジンを使っていた。
そのため量産は難しく、定着はできなかった。
MSシリーズによって改良がなされ、重量も7トンから5トンへと減衰。機動力と懸架能力が強化された。
16キロという最高速度は、元のルノーの二倍という驚異的な機動性である。ロシアの大地に適した戦車といえる。
エンジンは35HPとルノーやアメリカンルノーよりも貧弱だが、おかげでソ連の工業力でも量産できるようになった。
ここからソ連の工業力が増大すると、どれほどのものになるか、想像するに難くない。