第1章 3G ナタリーのつらい思い出
太陽が目を覚まし、人間たちに朝を伝える。
私の生活スタイルは太陽が昇るのと同時に起き夜の9時頃に就寝する。
ここで、私が普通の女の子なら朝の7時に起きても問題ないのだが、残念ながら親はいない、お金はないと言う状況になると働くしかない。
だが、残念だがこの世界では私くらいの年齢の女の子はほとんど働かずに教育を受けていたり、嫁に行っていたりすることが多い。
でも、私には旦那となるべく人はいないし、教育を受けるお金もない。
と言うわけで私は周りにあるだだっ広い土地を活用して農業を営んでる。
まぁ、5年前の私が今こんなことをしているなんて想像もしていないだろう。
そう、なんて言ったって私の家は代々つづく王家なんだったのだから...
あの忌まわしい事件が起こるまでは...
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~ウェレキアナ王国 皇居~
気持ちの良い朝だった。
「お母様!おはようございます!」
元気いっぱいに笑顔で挨拶をする、8歳頃の私-ナタリー。
それに答えるようにいわゆるヨーロッパ貴族風のドレスを着用したお母様が「おはよう、ナタリー」と答えてくれた。
この頃の王国は過去最高水準とも言われるほどの好景気で所得格差がそこまで大きいものではなかった。
そのため、国民からは、これまた最高水準と呼ばれるほどの支持率を獲得し、そして今までの誰よりも信頼される国王であった。
当然私やお母様、リーリルも王女様などと慕われ充実した日々を過ごしていた。
だが、この好景気はお父様が産んだものではない、いや、お父様を悪く言うわけではないが、お父様がこれを利用しただけである。
実は前国王が死ぬ直前にはすでに部分的には起こり始めていた現象である。
だが、みんなは王選やなんやらかんやらでそんな些細なことを覚えていなかっただけ。
そうして、偶然たまたま良い時期に国王になれたお父様は今までかなりほかの国よりも遅れていた公共事業に手をつけ、インフラ設備を整え、そして過去最高と呼ばれる国王になったのである。
だが、ここではなしを終わらせるとただのお父様の武勇伝的なものになってしまう。
このはなしの本題、忌まわしきことがまだ語られてない。
この忌まわしきもの、実はこの後に起こった出来事である。
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さらに時は進んで私が10歳の頃。
この国では10歳頃から許嫁を探し始め、15歳頃には嫁に行くというのが風習であった。
私の両親は共々国の風習は守りたいと考える方であったので、私の両親は私の許嫁を探しを始めた。
このときは誰も想像していなかったのである。
まさか、この出来事がこの後忌まわしき事件を起こす元凶となることを。
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身分の高いものには身分相応な人を。
これがわたしの国の暗黙のルール。
だが、王女と同等の身分の人など国の中を探し回っても見つからない。
そのためお父様は他の国の次男坊を許嫁にしてたまに会わせることにした。
その許嫁、顔はとてもイケメンだ。
見る角度を変えれば美少年ともとれる。
そんな許嫁、私は気に入らない。
なぜかって?今から話そうじゃないか。
ある日、いつものように許嫁と会う日が来た。
基本的に私が許嫁のところに遊びに行く形なのでその日だけは王国を離れられる。
多くの王国騎士団とともにその国へ向かう。
通常ならば、必ずと言って良いほどお母様が着いてくるのだが、今回は国の式典に出席しなければならず、いけなくなった。
だが、国の都合上イベントは予定どおり行う必要があったため、私一人で向かうことになった。
国に着くと許嫁が待っていた。
その許嫁お母様がいないと聞くと大喜び。
そのときの私にはなぜそのときに引き返さなかったのかが悔やまれる。
まぁ、最初に言った忌まわしき事件とは違うがここでも事件が起こった。
問題はその夜のことであった。
いつもなら、お母様と一緒の部屋に寝るのだが今回はお母様がいないということで許嫁と寝ることになった。
消灯時間になると私はベッドの中に潜り寝始めた。
すると、許嫁、監視のものが居ないのをいいことに私のベッドに入ってきて胸を揉み始めた。
この時の私は少し成長が始まりほんの少しだけだが膨らんでいた。
許嫁は膨らみに満足が出来なかったのか戻っていったが。
そんなこともあり、あまりいい印象を持っていなかった。
事件はその一年後に起こる。
私が11さい、許嫁が17歳の時だ。
彼がついに同居を始めることになったのだ。
正直、嫌だった私。その反面、両親たちは大喜びで支度を始めた。
彼が到着する日、王国軍は厳重な警備を行っていた。
私は特別なドレスに着替えさせられ、彼の到着を待たさせられていた。
そんな時だった。監視人のものがトイレに行くと言っていなくなったではないか!
その隙に私は自室へ戻り、親に内緒で今は辞めた使用人に作らせた、通路に潜んでいた。
この通路、元々は家を抜け出し街へ遊びに行くように作らせたものだった。
外の方で大きな拍手が聞こえる。
きっと到着したのだろう。
だが、その次に聞こえてきたのは悲鳴だった。
それも、「お、お父様っ!」というリーリルの声。
私はすぐに駆けつけようと来た道を戻り、自室へ入ろうとすると、開かない。
たぶん、停電したのだろう。
認証の機械すらうごこうとしていないからだ。
その後、私はその通路を使って街へ飛び出し様子を見た。
どうやら、彼の国の騎士達が皇居を占領してしまったらしい。
一体なんのためか、それは今でもわかっていない。
すると、後から私の手を引っ張るひとりの男。
「ナーちゃん!付いてこい!身は守るっ!」
と言われるがままに八百屋の奥に連れていかれてしまった。
その男こそ、八百屋のおっちゃんである。
八百屋のおっちゃんとさっきの通路を使ってよく抜け出していた時によく話してくれていた人だ。
最初あった頃は驚いていたが、今ではすっかり慣れているようだ。
八百屋のおっちゃんは私のためと言って、街の少女が来ているような服と町外れの家を用意してくれた。
こうして、私の孤独な生活が始まっていった。
その後、皇居の奥の方の離れた場所に高い塔が建てられ、そこに親達が幽閉されているという噂である。
エリック「次回の投稿は3月18日0時です。
今回は作者の都合上あとがきを省略しています。そのうち作りますのでその時までお待ちください。」