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◆ 騎士団にて
◆
「……よかったのですか」
ふたりきりの執務室。
隣に座る上司を、シーナは見下ろす。
先ほど出ていった部下ーーゼレを思い出すが、正直、不安しか残らない。
「彼女との接触は、不確定要素が多すぎます」
「しょーがねーだろー」
駄々をこねたような上司に、シーナは冷めた視線を送る。
上司ーーダスクは視線を避けるように机にへばりついた。
「団長命令なんだもーん」
「あなた幾つですか」
「25ー」
「………はぁ」
ダスクは自身の机に積み上げられた紙の束をつまみ、彼女からの視線をシャットアウトする。そして、にへ、と笑った。
この男は、いつまでも子どものようだ。
シーナは追求を諦めた。
「……わかりました。で、この後の会議ですが」
「今から?」
「今から行かねば間に合いませんね」
ダスクは面倒くさ、と静かに呟いた。
淡々とした自身の補佐には聞かれているだろうが、構わない。
「議会の奴らねちっこいんだよなぁ」
渋々立ち上がり、執務室の扉を開く。
当然のようにシーナは彼の背に続くが、その背が急に立ち止まった。
「隊長?」
「多分、さぁ」
「団長は、始まるの、気付いてるかもな」
◆