新入生歓迎会
ここから光が生徒会に入ることになった原因の話となっていきます
こんな冴えない俺が生徒会にいるかというとそれは、一か月前の、あれはちょうど入学式の次の日にあった新入生歓迎会でのことだ。
あの日俺は、黄瀬と一緒に新歓で何の部活に入ろうかと決めていたのだ。
「なあ、ヒロお前は何の部活に入るか決めたか?」
黄瀬は特に悩んだそぶりを見せず
「いーや、俺は楽な部活だったら何でもいいから。」
と言いながら舞台の上で柔道部らしき団体がパフォーマンスをしているのをぼーっとつまらなそうに眺めていた。
俺は、教室で配られたプリントを見つめた。
そこには、「この学園における規則」と書かれていた。
プリントには、色々な事が書かれていたが一行目に「天之川学園では必ず部活動に所属すること。
と書かれている。
ここでは、必ずなにかしらの部活に入らなければならないらしい。
話によれば、短い学生生活を有意義に使うために青春を送れだそうだ。
聞こえはいいがこれは、超能力がどのような場面で役立つかと試すための実験のために部活に入れているのであろう。ちょうど俺らの年代はすごい力が手に入ったら試したくなる年代である。しかし、むやみに使っていたら切がないから競技の中で使わせ、試させてその中で何かいい使い方が見つかれば御の字で見つからなくてもむやみに使われるよりかはよっぽどよいからまさに一石二鳥なのだ。まあ、普通に体を動かさせてストレス発散させる体もあるのだろう・・・
しかし、こっちの身にしてみればただ良い迷惑なだけだ。
などと思っていると、なんだか周りがざわざわしているので何かと思い黄瀬に聞いてみると
「なあヒロ何の騒ぎだ?」
聞くと黄瀬は、騒ぎの原因らしき方をを向いて
「んっ、何か向こうの方で言い合いになって喧嘩を始めたらしいぞ。ふぁーあ。」
興味が無いのか欠伸をした。
黄瀬は厄介事や面倒な事が大嫌いなのでそのような事がすぐ目の前で起きていても絶対に関わらないのであった。
「俺ちょっと様子を見てくるよ。」
立ち上がろうとすると、黄瀬が
「まーた、いつもの癖か。別にお前が行かなくても勝手に誰かが解決してくれるから気にしなくていいんだよ。」
黄瀬は言ってくるが、俺は
「そんな悠長な事を言って何か起きてからじゃあ遅いんだよ。」
と言いながら騒ぎの方へ行こうとすると後ろから
「わーたよ。たく毎度お前に付き合わされている俺の身になれよ。」
黄瀬はぶつぶつ言いながらついてくる。
黄瀬はいつもめんどいと言うが必ず俺に協力をしてくれるのだ、本当は面倒な事が好きなのではと思うことがある。
騒ぎの中心に近付くと何やらドンとかガンと重い音がしていた。
パイプイスが散乱しておりその中心を見てみると二人の男が喧嘩をしていた。
なにやらぎゃあぎゃあ言っているようだが、爆発音らしき音がうるさすぎて何を言っているのかが聞こえなかった。
「あーあ、アルネスまで使ちゃって何を揉めているのやら。」
黄瀬は言いながら俺の方に来た。
アルネスとは生まれつき持っていたり何かの拍子に覚醒したりする、特殊な能力である。
しかし、誰もが能力を持っているわけでもなく生まれつき持っている人は10万人に1人の割合でだいたいの能力者は何かの拍子に目覚めた場合の方が多いいのだ。
それでもアルネスは全世界で2000人ぐらいしかいない特別な力なのである。しかも、なぜかわからないがその大多数は日本が占めているのである。
アルネスは人それぞれによって能力が違いものによっては似ているものもある。
しかし、アルネスはどの能力でもそうだが普通の人間が扱える力を越えているのでかなりの破壊力やら殺傷能力を秘めている物もなかにはある。
だから、本当は喧嘩や私利私欲のために使ってはいけないのだが、たまにこうして力を使い喧嘩をしている輩がいるのだ。
などと考えていると、喧嘩がヒートアップしてきていて二人は今までと比べものにならないほどの大きさの力を使おうとしていた。
これを見た瞬間今こんな力がぶつかり合ったら周りにものすごい被害が出るとすぐに判断すると、俺は反射的に喧嘩している二人に飛び込んでいった。
そして、アルネスがぶつかり合い爆発やら衝撃波が出るはずが、一向に爆発などが起こらず、逆に
喧嘩をしていた二人が床に倒れていたのであった。
「ふう、ぎりっぎり間に合ったようだな。」
俺は辺りを見渡し誰にもばれてないことを確認した。
周りの人たちも倒れている二人にもいったい今何が起きたのかをまったく理解をしていないという感じである。
「そこの二人何をしている。能力まで使って。」
教師がやっと駆けつけ二人を抑えた。
俺は、二人が暴れ無くなったのを確認して黄瀬のいるところに戻っていった。
「おぅ、お前の助けが間に合ったようだな。」
黄瀬は肩を叩いてくる。
そうなのだ、本当なら爆発などが起きていたのにそれが起きなかった理由は俺のアルネスのおかげなのだ。
俺のアルネスは、すべてのどんなエネルギーやアルネスなど(例外は存在するが)を吸収してしまうという能力なのだ。
まぁ実際は、それだけではないのだが男二人を傷つけないで無力化し、しかも周りにばれないようにしなければならない状況では、かなりの体術が必要なのだ。
だが、俺はその体術も持っているのだ。
いや、持っているというか無理やり覚えさせられたと言った方が当てはまるのか。
俺の家は、昔から伝わる冬月流古武術とかいう武道家の家で俺も小さいころから地獄の修業をつけられていたのだ。
そのおかげで色々と身体能力が上がってしまい今では、普通の人より頭二つほど抜けてしまったという始末だ。
しかし、このような時に役立つので満更でもないがあの修業はもう二度としたくはないと心の中で強く思うのであった。
そんなことを思いつつ席に戻ろうとすると
「あなたすごい能力ちからを持っているわね。」
後ろから声を掛けられた。
声がした方を向くとそこには、上級生らしい女の人が二人いた。
「あなた、名前はなんていうの?」
と急に言われてしまい俺は誰にもばれない様にやったはずなのにと考えていると隣にいた黄瀬が興奮気味で
「お、俺の名前は黄瀬宏樹です。」
と答えたが、
「私は、あなたに聞いていなくてその隣のあなたに聞いているのです。」
と俺に指を指して言ってきた。
黄瀬の方を見ると、落ち込んでいる感じで
「なんで、いつもいつも光ばかり、ぶつぶつ。」
などと言っているのが聞こえたが、聞こえなかった事にして、女の人の方を向いて
「えーと、俺の名前は冬月 光っていいます。」
名乗ると女の人は俺をまるで品定めするように足先から頭まで見て、口元がニヤっと笑い
「そう、冬月くんっていうんだ。君、生徒会に入らない?」
その女の人は言ってきたのである。
そう、この一言が今の俺の学園生活の始まりであった。