小さな国が抱えた秘密
勢いに任せて暴走してみたお話。
登場人物はお姫様と魔物少年の方達ですが、本編はまだ終わってなく年代的にもかなり先の話でもあり、書き方も違う気がするのでむしろあちらは見なくてもいいように書いたつもりです。
楽んでいただけたなら幸いです!
後半を読みやすく?改行してみました。
人には誰しも秘密のひとつやふたつ、みっつやよっつ、まあ無い人がいるのかと疑問に思うくらい、大なり小なりみんな抱えているものだと思います。
かくいう私も秘密を抱えて生きている一人です。
それも、なかなか簡単に口にできるものの類ではない秘密。
共有しあえる者達に囲まれていなければ私は発狂していたかもしれません。私はあまり嘘やはぐらかしたりなどが得意ではないから。
そんな私だけど、傍にと選んだ相手は秘密の塊なひとでした。
必然、私も秘密を抱えることになります。
かの人と結ばれることができたので後悔はしていないけれど、ボロを出すわけにはいかないと気を張る日々です!
……でも、隠し事って思ったよりもずっと大変なんですよね。
自分の秘め事ならまだしも、他者の秘密というものは扱いがどうにも難しい。しかも、その相手の優秀さや素晴らしさに対して口をつぐまなければならない類の秘密なものだから尚更だ。
言いふらして回りたい、自慢したいという衝動にかられる私は間違っていないと思いませんか?
けれど、それは一番してはならない行いなので必死に堪えていますよ。そんなことをしたらこの国にきっと未来はないので。
でも、それよりも恐ろしいと思うものはあるものなんですよね。
私の場合、それは私がその相手に嫌われて見捨てられるという事なのですが……。
それが念頭にあるため、今日まで私は口を閉ざすことが出来ているのだと言っても過言では無いのです。
自己紹介させていただきますと、私は他の国に比べて治める地の狭めな、けれど近年はどの国よりも豊かとなった国で女王をやっているミリアと申す者です。
女王、とは言いますがなりたくてなったものではありません。
生まれは変えられないものですからそこはまあ仕方がないとはいえ、本来ならば王である夫も居るわけですよ。
ええ、本来なら王妃で済む話です。
ところがどっこい、かれこれもう数年は経ってしまいましたが私の旦那様は旅立ってしまい、ここにはもう居ないのです。
そういうわけで女王になってしまっていました。
参りましたよ~これは。
何て事してくれるんだ、国を滅ぼすつもりかと怒ったものです。
…ああ、ええと、私は治世力皆無だと自負しておりますので。
私は深窓の令嬢などという可愛らしく淑やかな姫ではなく、外に出て駆けずり回るタイプだったので頭は弱いんですよ。
ああ、痛い子を見る目で見られても今更なので無駄ですよ?開き直りまくって何十年でしょうか、長いので。
そしてこんな私ですがね、二児の母でもあります。年子の男女ですね。
今年で九歳と十歳ですか。
それでそのうちの子達の容姿ときたら、小さい頃の旦那と私に激似で、その時の私たちを知る城の者達に懐かしがられつつ可愛がられておりますよ。
私もたまに懐かしがってみたりするのですが……天と地ほどの差が、とか、足元にも及ばないわ~とか、ついつい息子と旦那を比べてしまうのでよろしくないんですよね。外見が似すぎるのも困りものです。
私の旦那は小さい頃から最強だったし、今だってそうだから、あの子が及ばないのは当たり前なんだけれどね。
…え、なぜ旦那の話が過去形じゃないのかって?
そりゃあ生きてるからですよ、当たり前じゃないですか。
え?旅立ったってそういう事だったのかって?
私からすればそういうことなのですが、世間では亡くなったことになってますよ。
ということで、これがひとつ目の秘密でございます。
旦那は器量良しな王様やってましたからかなり民から惜しまれてましたね~、生きてると言えないのは心苦しい限りです。
私がこんなですから、この国が今でも続いていて更に豊かになったはあの人のお陰なんですよ~、ええ。
ただ、どうして旅立ってしまう事になったかというと過労です。
寝不足と本人は言っておりましたが、間違いなく過労だと私は思っております。
昼は人の世、夜は魔物世界で立ち回っていればいつ休むんだと言う話ですよ。
よく五年強もやったものだと誉めてあげましたとも。
え、さっき魔物世界と言ったかって?
言いましたとも。私の旦那様は魔物なのですよ。
これが二つ目の秘密になりますね。
一部の城仕えの者と親しき友人以外知らない、自国の民にも内緒の、墓場まで持っていかなければならないトップシークレットにございます。
ですが、ここはちょっと自慢させていただきたいのです!
私の旦那は魔物でありながら人の世でも有名人(?)なのですよ!
天災や危機から人を守る聖獣なんて呼ばれて崇められてるんです。
本人曰く、そこに住まう魔動植物達を助けて回った結果そうなっただけなのでなぜにと頭を抱えておりますが。
一度や二度ならともかく、表沙汰になった件に関してだけでも片手を越える回数は各地で救世主よろしくなことをやったわけですからねえ……そう思われてもおかしくないのに本人はわかっていないようです。
口ではなんだかんだと言っておりますが、旦那は類を見ないくらい命を尊ぶお人好しなんですよ。どんな悪者も一度は見逃すくらいのね。
そんな旦那様の実力はというと、上には上がいるもんだと本人は過小評価しておりますが、上位に座するのは間違いない実力者ですね。
まあ自然災害に立ち向かって行っちゃう時点で大体わかりますよね?
私が言うと身内贔屓な気もしますが、魔物世界でもあの人は王なんですよ~。魔物の王だから一種の魔王様になるんですかね?
……魔王様かぁ。ぷぷっ、嫌がるあの人の顔が目に浮かぶ。
あの人以上を私が見たことないので否定のしようがないのもあるのですが、少なくとも王クラスは確かな実力を持っていると思います。
さらに側近らしき者もいるわけで、一概に魔王というのも間違ってはいないと思えるんですよね。忠誠、というよりかはどちらかというと傾倒、という言い方が合っているだろう方達だけれども。
愛され系魔王様とでも言いましょうかね?
なんと言いますか、あまり自覚がないようなのですが、旦那様はたらしスキルのレベルが高いのですよ。それこそ気に入った相手に接する態度は、世界からも祝福されたかのような錯覚を起こさせるほどの威力というか包容力のようなものがあるとか、なんとか。
……なぜ他人事のように言うかというとですね、私にはそんな覚えがないのですよ。味わってみたいのですが側近の方々曰く、私は既にもう祝福の只中らしいです。
全く……あの人は元々が気持ちを口にしないタイプなので更に実感が沸かなくて困りますよ。プロポーズも私からですしね。
ずっと好いては居てくれたみたいですが、伴侶としては眼中に入れてくれてなかったみたいなんですよ。
私は人であの人は魔物で、そして旦那様は特に世間体を気にするお堅ぁい魔物でしたので。
何かあったら駆けつけるとか、死別の時まで我儘に付き合ってあげるとかは言うものの、好きだっていう明言は何も無しです。
拐ってほしかったり駆け落ちする気もあった私に対し、お堅い性格である旦那様は王族である私がそのような真似をしたら民が困るだろうと言うのですよ。
実際にそんなことをしたら私を見限るとまで言ったんですよ? どちらが魔物で人で王族なのかわかったものではありませんよ。
今ではどうにか夫婦となれましたがそれまでの道は本当に険しかったものです。
と言っても、周囲は私を任せられるのは現旦那様以外いないと逆に応援や援護をしてくれていたので、手強かったのははっきり言って旦那様だけだったのですが。様々なことを苦もなくこなせるくせに恋愛云々に関しては驚くほど疎くて……本当にもう、押しに押して頑張りましたよ。
幸せとは勝ち取るものだったのかと実感しましたね!
そんなこんなありましたが私は今幸せですっ!
別居状態の今はさておいて……
あと十年もすれば王位を息子に押し付けれるだろうし、それからは隠居という名の甘々な夫婦生活が待っているのだからこのくらいの我慢は耐えて──
「それ、誰宛です?」
ふいに書き物の世界の外からかけられた声に、ひょえっという変な声とともに飛び上がった私は、膝を机にしたたかに打ち付けたのだった。
* * *
「……」
いきなり声をかけられて心臓がばくばく言っているのに足の痛みにも耐えなければならず、ひとしきり呻いた私はようやく後ろへと振り向いた。
そこには落ち着いた色合いの金髪に濃い緑色の瞳が印象的な優男が、やや険しい表情でこちらを見ていた。
この目の前の男性はラドルといって、たまにこの国にやって来る旅人である。
亡き国王陛下の友人という立場で、外聞的には自分に何かあったら妻と子供たちを頼むという旦那様の話を聞き入れてここに訪れている、ということになっているが──
私はその視線に気圧されてどうしたものかと冷や汗を流していたが、先程の台詞に手紙を見られていたことを知り我に返る。
「読んだ、のね?」
「ええ、まあ、冒頭部分を少々…。すみません、ノックしても声をかけても気付かれなかったので何をしていらっしゃるんだろうかと。それで、それは誰宛の物なんです?秘密がどうとか書いてあったんですが?」
そういった彼は、笑顔なのに怖い空気を纏う。
「誰宛って、なんでそう思うの?」
「語り口調で書いてるじゃないですか。今度は誰に何を暴露するつもりなんです?」
あまりの言い様に私は思考が止まり瞬きを返すのみだったが、次の瞬間はぁ!?っと声を上げざるを得なかった。
秘密事を公にする事態を呼び起こすのは確かに大抵私なのだが、いくらなんでも失礼ではないだろうか。
「暴露って、言い過ぎじゃないっ?大体そんなつもりで書いてないんだから!」
「ではなぜ?」
「私が隠し事苦手なのは知ってるでしょう?いい加減我慢で鬱憤も溜まってきてたからこういうので発散してみようと考えたわけよ。案外面白くって熱中しちゃったけど」
「なるほどそうだったのですか……それで、その後はどうされるおつもりで?」
「どうって?」
納得しつつ机の上の手紙を眺めていた彼はまた疑問を口にするが、私は意図が判らず聞き返す。
「今こうして形あるものになってしまったわけじゃないですか、明かしてはならない真実が。ちゃんと処分してくださるんでしょうね?」
「…ええと、また書くのもあれだから、出来たら残したい、かも?だってほら、読み直すだけでも楽しめそうじゃない?馬鹿なこと書いたなあとかこんなもの書いたなあとか。駄目かしら?」
「駄目…と言いたいところですが、我慢で疲弊する姫様の心の平穏は守って差し上げたいところなんですよね…。それでは、どこかの引き出しを姫様以外に扱えないようにするので、そこにしっかり閉まうようにして下さればいいのではないでしょうか。この部屋の扉にも他者が触れて入り込んだとき用のなにかしらのものも作っておきますから」
「わあ、ラドル大好きっ♪」
思わぬ温情措置にがばっと私は抱きついた。基本的に彼は私に甘い人だけど、内容が内容だったしね。
「ちょ、抱きつくのは止めましょうよ。いくら私室とはいえ誰に見られるかわかったものじゃないんですから。貴方は国のトップで未亡人で家族以外の男と抱き合っていたなんてのを見られたら騒動しか起きませんよ」
「あら、あなたの事だからちゃんと結界張って出入りできないようにはしてるでしょう?」
「それはまあ、万が一のことを考えてそうしてますけど、もう少し姫様は慎みというかちょっ、また──っ」
誰も来ないという証言を得た私はにやっと笑みをこぼしつつ、ラドルの小言を無視して彼の髪飾りにさっと手を伸ばして剥ぎ取っていた。
ああもう、という溜め息やら呆れやらを吐くうちに、ラドルの髪色は落ち着いた色合いの金髪から紫の髪へと色を変えていく。瞳の色は、そのままだ。
そして纏う雰囲気も、穏やかでありながらどこか他人行儀だったものから、気安げで親しみのある雰囲気へと変化した。
毎度思うことだけれども、演技の心得一つでどうしてここまで変わるのか、私は不思議でならない。
目の前のその人は、私のよく知っている愛する人であり、この国の人間なら誰もが知る、今は亡きラディウス陛下──。
三つ目の秘密の登場です。
この方は過労でぶっ倒れた後、数日間目を覚まさずそのまま亡くなったことになっていた。過労、とはいうものの、死因は視察中に巻き込まれた土砂崩れによる打撲も含まれていて、ひ弱とうたっていた訳ではないが疑われるような要因でもなく。
その後は魔物世界に重点を置き、架空の人物である旅人ラドルを演じ、他の人の国の様子も見ながら、この国に顔を出す生活をしている。
なぜ架空の人物を演じるのかは、亡き人の姿でうろつくのは勿論のことだが、彼の精神面によるところが大いに関係していると思う。
私も長い付き合いなのでわかってきたけど、彼は元々王並み、というかむしろ王に相応しい程の実力と善人寄りに素晴らしい頭脳があるのだが、他者に指示や命令をするのもされるのも、果てはそれを見るのですらも嫌悪を覚えるらしい難儀な性格で、更に自分に対する好意感情にも疎く、目立たない子になってとにかく他者の印象には残りたがらないのだ。
魔動植物達にはもう少し社交的なのだけど、やっぱり上下関係は苦手なようで対等で気安い関係を相手に求めている。
普段はしっかり者だけど子供っぽく、でも、決めるときは文句なしの格好良さで事を収める、そんなギャップ萌えな部分もまたこの人の魅力と言うか、私もこの人に追従する魔物達もめろめろですよ。
ギャップと言えば役演技時の彼は別人と言えるほどに本当に大したものです。実際役時の記憶は持ち越さないので本人には他人事のようですが。
ラドルではなく他の役でロードという魔物の頭みたいな役があるんですけどね、その王にも等しい役時の彼なんかもう、この人以外は王として見れないと思った程の威厳と魅力に満ちた振る舞いをしてみせるんですよ。
あ~んなの見せられたら更に惚れるというものですよ。命令は柄じゃない、と本人は好まない役ですけど彼を知る人には大好評の役だったりしますね~。
私や彼を知る城仕えの皆の説得に折れて素でこの国の王を引き受ける羽目になったけど、演技時の凛々しい王の部分を無しにしても、民に親身で物事を率先して動く彼の王姿は他国の民にも評判がよかったんですよ~。
そんな彼の本来の好きな立ち位置は縁の下の力持ちです。
相手を補佐する方が自分には元々向いているんだと言い、誰とでも応対に差の無い振る舞いをする役としてラドルが生まれました。
彼を知る側から見れば若干のよそよそしさが気になってたまらないのだが、優しくはあるものの物事に対して適当気味な普段──態度ではなく、なんでもこなすの意です(泣)──を考えると、教えを乞いたい時や相談事はラドル演技時の彼の方が饒舌で丁寧な対応になるのでなにも言えなかったりする。
同一人物なのにどうしてこんなにままならないものなのか。本人の演技にかける情熱が成せる業なのかと、周囲は首を捻るばかりですね……。
「それで、いつまで抱きついてるつもりなの?」
「本当ならずっとこのままがいいんだけど、まだしばらく補充させてほしいなあ」
「前回からまだ十日も経ってないけど?」
「そうは言うけど、コウとして会うのや触れるのはもう一ヶ月は経ってるわよ? もう少しどうにかならないものかしら」
「んー、そうほいほいと元の格好に戻ったり戻させられるのも演技と素の境目が曖昧になるし、俺は今くらいの頻度がいいかなあ。そもそも今の俺って、ミリアが王名に呼ばれ慣れない方の真名を使ってくれたおかげで様々な人にそれを呼ばれるし、力を安定させるの大変なんだよ?」
本来彼はコウと呼ばれ、コウとしても生きてきたが、それは愛称としてと言うのもあるけど力の封印としての役割による意味合いが大きい。
彼やその一族はちょっと特殊なところがあって、名を略すことで力を抑え、この世界に順応させているらしいのだ。
なので彼の本来の名──真名は本当はもう少し長くて、でもラディウスは真名の半分は占めていたりする。
完全な真名ではないとはいえ、それは王になったことで不特定多数の他者から呼ばれることになり、一時は力の制御が危うくなって耐魔の魔具に埋もれた生活になりかかったことがあったのだった。
今では先程までラドルだった彼から奪ったこの髪止め──魔力抑制兼ラドル用の演技アイテムとも言う──一つで済ませているのだから大したものよね。
「でもね、響きは大事だと思ったのよ。だって、コウ様よりはラディウス様の方が格好いいって思わない?」
「はいはい。未だにそーいう人の美的感覚はわからないけど、あまり呼ばないように」
「……」
……他者が呼ぶのにも関わらず生涯の伴侶である自分が呼ぶことを許されないとはこれいかに。
「コウ」
「なに? ──っ!?」
彼がこちらに顔を向けた瞬間、私は唇を重ねて口を塞いだ。……彼はというと硬直しております。
私は久々のキスの嬉しさに頬がにまにまと緩んでいくのを自覚しながら、ゆっくりと離れてコウを見やった。
未だ硬直している目の前の御仁は、ややおいて何されたか理解したらしく、みるみる真っ赤になっていく。
その相変わらずのうぶな反応に私は思わず笑い声を上げてその胸をばしばしと叩いた。
口付けは、目の前の恥ずかしがり屋さんに対してはとても効果覿面な仕返し方法なのです。
私にとっても久々だと思うくらいなのだから、ひょっとして今なら彼にとって逃げ出すほど恥ずかしいのではないだろうか。
最初の時は本当に直後に逃げ出され、近づくと距離をとられ、まるで女子みたいな反応をされたもんです。
けれど今は、どうやら見たかぎり顔を反らされるだけで終わったのでちょっとは慣れてくれただろうか。慣れてくれたらいっぱい出来るんだけれどなあ。抱きつくだけじゃ物足りなくて。
でもそういえば亡き国王様姿のままだし、部屋を出るわけにはいかないとか理性が働いてるだけだったりする?
まあ、世界広しといえども目の前のこのひとをこんな風に困らせられるのはきっと私だけよね、と思うとにやついた顔をなかなか抑えることは出来なかった。
秘密を抱えることになって心労も覚えることになったけど、これは心置きなくこのひとと共に過ごすための最後の一仕事だ。
我慢くらい、してみせますとも。
あと十年くらい、耐えきってやるんだから──っ!!
「そういえばコウ、共に生きるための術探しは順調?」
「順調っていうかまあ、今考えてる最中だね」
「……考え? 探してるんじゃ??」
「探しててふと思いついたんだよね、死神の野郎共(※とある事情により彼は死神族が嫌い)に聞いた方が早いなって。で、寿命を伸ばす魔法とか薬とかで歪んだ生を送った例は確認できてないって言ってたからたぶん無いと思うんだよ。そんなわけで今はそういうの編み出そうと考え中」
「なるほどね~」
「ってわけで魔法書漁りやら情報集めでイメージ固めたいから長めに空けていい?」
「む、むうぅ……わかった、20日あげるからそれ以内に帰ってきて」
「20日……まあ半月以内よりは融通利くか。ここにいるとあちこち引っ張られて考える時間が持てないからなあ……うん。じゃあまたね。周辺の国にまたなんかいちゃもんつけられたら知らせて、色々対応考えておくし」
「うん。魔物の皆さんにもよろしくね。また遊びに来てって言っておいて」
「あー、連れてきても良いけど夜更かしは無しだよ?」
「夜しか会えないのに言うよねえ~」