第19話 波乱の選抜メンバー発表
サヤカ先生から聖競大会の話を聞いた。それでも時間の都合で概要や軽い忠告しか聞けなかった。なので、放課後に隣のセシルから詳細を聞いた
どうやら3種目を別の学年のSクラスと競うそうだ。1年である僕たちは2年のSクラスとの対戦らしい。上の学年にはどんな人たちがいるんだろう。そもそもクラスがどこにあるのかすら知らないので確かめる手段があまりない。
少し逸れてしまったが、1種目めは障害物競走らしい。その名の通り、障害物が設置されたコースを踏破したタイムで競うそうだ。
2種目めは魔法的当て。180°ランダムに出現する的に魔法を当てられた回数を競う。
3種目めはクラス対抗選抜戦。クラスで3人選出して勝ち抜き戦を行う。ルールは円形状のフィールドから出てしまった方の負け。魔法の制限は基本的になしというやばいものになっているそうだ。
絶対参加したくないね!
「これってどれかに参加しないといけないの?」
正直僕が出来る種目などない気がする。だから、どうにかしてスルーできないかな。
辛うじて魔法的当てなら……いや、出力が不安すぎるな。他の生徒も巻き込みそう。そんなことはあってはないないから、無理だな。諦めよう。
セシルも気にしていると思っていたが、全然そんなことはないように話す。
「そういうわけではありませんので、安心してください。選抜戦を除いてクラスで最低1人は出場しなくてはいけませんが、他の得意な生徒に任せればいいだけですから」
全員が参加しなくてもいいんだ、助かった。これで先輩やクラスメイトの戦いっぷりを観戦するだけだ。腕を組んで偉そうにふんぞり返っておこう。
その気持ちが透けていたのか、セシルは苦笑いする。
「一緒に聖競大会を楽しみましょう。恐らく見応えのある内容になると思われますので。あまり言いたくありませんが、ミリアさんが選抜戦でド派手に暴れてくれますから」
ミリアはあんだけ強いんだから、それは選ばれるよね。じゃあ、他は誰が出るんだろう?
「それは楽しみだ。聖競大会が待ち遠しく感じちゃうね」
なんて呑気なことを言っていた僕を殴ってやりたいたいよ。なぜなら、僕はクラス選抜戦に出場することになってしまった。その知らせが僕に届いたのはセシルから詳細を聞いた2日後のことだった。
選抜戦のメンバーは立候補と学校側の承認を経て決定される。しかし、立候補の人数が足りなかったり、承認を受けれなかった生徒がいた場合は学校側が独自の判断でメンバーを決める。
この前と同じようにサヤカ先生が教壇の上に立って話していた。その話の中でクラス対抗選抜戦に出場する生徒が発表された。
「今回のクラス対抗選抜戦に参加する生徒を発表させて頂きます。異論は認められませんのでごめんなさい。先鋒はブレイズ君、次鋒はゼノン君、大将はミリアさんです」
ふんふん、先鋒はブレイズ。彼は戦うのが好きそうだし分かる。大将はミリア。彼女は実力が高いから選ばれるのも仕方ない。次鋒はゼノンーーーこれはどういうことだ?
変な汗が背中を伝う。油断していた時に背後から刺された気分だ。
周りの反応が気になって見てみると、誰も反対している様子はない。セシルだけは僕と同じで驚いてくれていたけど。
「後悔のないよう準備に励んでくださいね。先生は皆さんを応援してますから」
ということがあったから、過去の僕を殴りたくなっていた。休憩時間になってもそれを引きずっていて、僕は机に突っ伏していた。セシルは優しく背中をさすってくれたが、状況は変わらない。
そんな僕の元に大将を任されるようになったミリアがやって来た。
「ゼノンも選抜戦出るんだ、嬉しい。でも意外、ゼノンはこういうの苦手だと思ってた」
ミリアの言っていることを訂正したくて、重い上半身を上げる。
「僕は出たかったわけじゃないよ。そもそも立候補すらしてないんだ」
「そうなんだ。でも、決定は覆せないから一緒に訓練しよう。私がずっと付き合ってあげるから。それに、疲れたらセシルさんが回復してくれますから」
何でこんな前向きなんだろう。僕も戦いを好んでいる疑惑があったけど、ミリアは生粋の戦闘狂なのかもしれない。それに、セシルまできっちり巻き込んでいるし。
「ゼノン様が訓練なさるのなら、私はもちろんお付き添いします!」
なんかセシルまで乗り気になってる。これはもうグダグダしてる暇はないか。よし、切り替えて魔法と権能の訓練をしよう。こうやって共に歩んでくれる者もいるんだから。
「じゃあ、皆で頑張ろうか」
この時の"皆"にブレイズは含まれていなかった。実に悲しいことである。それでもこの会話を聞いていなかった彼に届くことはないだろう。
今日もなんとか授業が終わった。基本的に習ってない内容しか出てこないので、予習は欠かせない。そのせいで授業は疲労が溜まるが、これからは選抜戦のために訓練しないと。
少しブルーな気持ちでミリアと一緒に運動場へ向けて歩いていた。ちなみにセシルは校長先生に用があったみたいでこの場にはいない。
2人で歩いていると、後ろから誰かが走って来ているような音がした。振り返って見ると、そこには息を切らしたエルフィナが立っている。
何でこんなに急いでいるんだろう?ミリアも首をかしげている。
「エルフィナ、どうしたの?」
そう問い掛けると、彼女は息を整えて話す。
「…もう一回きちんとお礼を伝えしたかったのと、報告がありまして走って来ました!」
なんて律儀な子なんだろう。それに僕に報告することってなんだろう?お母さんの近況報告とかだろうか?元気に過ごしてくれていたら嬉しいのだけど。
「…以前は本当にありがとうございました。おかげさまでお母さんは元気になりました…」
エルフィナが勢いよく頭を下げる。僕としてはエルフィナのお母さんが元気になってくれただけで十分だ。だから、お礼などしなくていいのに。
「…それと報告ですが…」
えっ…さっきのお母さんの件が報告内容じゃないの?なんか嫌な予感がする。今すぐに耳を塞ぎたい気分だが、ニコニコしているエルフィナを前にそんなことは出来ない。
「…実は私、ゼノン様のファンクラブに入会させて頂きました!」
うわ〜終わった。嫌な予感が的中してしまった。こういう感だけ一丁前なのがいらつく。あ〜、変なクラブにエルフィナが入ってしまった。
ミリアは僕のファンクラブについて知らなかったのか、意外そうな表情をしている。
「ゼノンにもファンクラブがあったんだ。それにしても出来るの早すぎ。お姉ちゃんとしてはそういうのを勝手にされると困る」
ゼノンにも?他にもファンクラブって出来てるんだ。予想はしていたけど、なぜそんな組織を作ろうとするんだろう?理解できない。
けれど、ミリアにもファンクラブがあるのかは気になる。もしあったのなら僕の特別感が薄れるから嬉しい。
「…それはすみません。けれど、私はゼノン様の活躍をこの目で見てから憧れてしまいまして、少しでも応援できたらという気持ちで入会しました」
憧れてくれたのは嬉しい。こんな小さな僕だけど、 人の気持ちを僕の行動で変えれたのだから。それでも終着点が良くなかった。あんなにファンクラブに怯えていたエルフィナが入会するに至ったとは。
密かに僕の中でショックを受けている時、セシルは校長先生を詰めていた。それに関しては想定済みだったので、先生は気楽に受け流していた。
その反応のせいで、さらにセシルはヒートアップしていく。
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