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最強の現人神は病んだ転生聖女に付きまとわれているようです  作者: 誠くん2F29


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第18話 女子更衣室

 教室に戻ると一人の女子生徒が走ってやってきた。その子は華奢で少し下がり気味の眉が特徴で気弱そうなイメージを受けた。けれど、声はハツラツとしている。だから謎の違和感がある。


「さっきはごめんなさい。私、魔法の制御があまり得意じゃなくて。貴族や名家の出身じゃないんで、ここでしか練習が出来ないんです」


 貴族でも名家でもないということは、いわゆる平民の子なのだろう。僕もこの前までは平民だったけどね。

 確かにお城みたいに広いお庭があれば好きに魔法を行使できるけど、普通の家では魔法なんて使えないから制御の練習ができていないわけか。それはしょうがないな。


「そんな理由があったんだね。じゃあ一緒に魔法の制御を出来るようになろう。実は僕も前まで制御に少し問題があったんだ」


「それは私たちお揃いだね」


 それにしても平民でSクラスなんてすごいな。素質は親から子へと受け継がれるものらしい。だから、貴族や名家は強い者同士で結婚する。 結果として魔法の素質がずばぬけている者は限られるようになった。そんな中でも彼女は平民でもこのクラスに在籍している。 

 こうやって稀に表れるらしい、突然変異と呼ぶに値する存在が………まぁ、そう本に書いてあっただけだけど。


「失礼だけど、ゼノン君には親近感を覚えちゃうの。こう、貴族の方々よりも私に近い波動を感じるんです。おかしいよね、神様に対してそんな風に感じるなんて」


 なんかすごいバレかけている。やっぱり所作とかが違うのだろう。元は町にある普通の夫婦に産まれたから、僕に気品などほぼない。

 それよりも本当に僕が神だって信じてくれていたんだ。信じてくれているのはセシルとミリアとサヤカ先生だけだと思っていた。この子は詐欺とかに遭ったりしないだろうか?


「僕はそう思ってくれて嬉しいよ。敬遠されるのも悲しいし、よければ仲良くしてね」


 僕が手を差し出すと快く握ってくれた。


「もちろんです。私の名前はセラ、よろしくお願いします」


 この学校で始めてまともな友達ができた。仲良い人ならミリアがいるが、姉を自称しているので友達とは言えない。セシルは……例外だな。そう思えば今日は妙におとなしいな。手を差し出した瞬間に思い出したが、セシルに何か言われると思っていたが、肩すかしのようで安心した。

 いつもセシルに見張られている気がしていたからホッとする。


 新しい友達が出来たことによって、どんどんクラスでの過ごしやすさが上がっていく。最初はアウェイすぎて緊張しまくっていたけど、ほぼ皆と会話はできている。唯一話せていない生徒もいるが、いつかチャンスがくるだろうから、それまで楽しみにしておこう。


 学校生活が充実してきたことによってゼノンは満足感を得ていた。それに当初の目的であった刺激もいっぱい加わってくる。やはり彼にはこの学校が合っているのだろう。だって、この学校の設立目標はーーーーーー。






 昼休みとなりご飯を食べている生徒、元気に遊んでいる生徒がたくさんいる。授業から一時的に解放された生徒たちにとっては天国だった。しかし、地獄のような空間も同時に生まれていた。


 それは人が誰も寄りつかないSクラス専用の女子更衣室。ここは非常に重たい空気に包まれていた。その原因はとある生徒がセシルに呼び出されているからであった。セシルは個人を呼び出すことなど滅多にないので、なにをされるか分からないという恐怖があった。

 この学校のルールとして貴族や平民などといった枠組みは撤廃される、とある。だから平民の私が貴族の方々と普通に話しても許される。けれど、聖女様は別格だ。 他国でいえば皇帝と同じだけの権力がある。この学校のルールで縛れない唯一の人だ。


 もしかすると断罪されるかもしれない。 怯えのあまり椅子の上で縮こまっていると、ドアノブが握られた音がした。あっ……私、終わったんだ。せっかく平民だけどSクラスに入れたから将来安産だと思っていたのに。


 セラの残りの寿命を刻むようにリズムよくドアが開かれる。すると、セシルが姿を現した。


「本日は忠告のために……


 セシルの言葉に被せるようにセラが勢いよく土下座をした。


「すみませんでした。命だけはどうかお助けください」


 そう言われたセシルは目を点にさせる。たしかに脅すつもりで呼び出したが、命を奪おうとは1mmも思っていなかった。私ってそんな事をするように見られていたの?そんな事するわけ……ゼノン様が絡むと分からないか。


 謎に自己分析が深まるセシルであった。


「とりあえず私の話を聞いてください」


 セラを宥めるためにできるだけ声色を優しくして言う。こんな状態ではまともに会話ができない。それが目的なのだから落ち着いてもらわないと。


 「分かりました、話を聞きます。もう私は覚悟を決めました」


 もう…まだ誤解されたままだし…。早く本題に入ってしまおう。そうでないと私の体力もどんどん削られてしまうもの。


「今日はゼノン様と仲良くしてらっしゃいましたよね。それ自体には何も言いません。うるさい女は嫌われてしまいますから。ですけど、ミリアさんのようになってほしくないんです」


 ミリアさんのように?ああ、ゼノンさんに対してお姉ちゃんとか言っていたあれか。ミリアさんが変な癖に目覚めただけだと思って無視していた。けれど、私に兄弟はいないんですけど。



 先程までは落ち着かせるために声色を優しくしていたセシルだったが、ミリアの話がでてきてからは熱が入ってきている。


「簡単に言うと節度を弁えてほしい、ということです。無駄にベタベタくっついたりしないでください。ゼノン様はお優しいので何もおっしゃりませんが、内心では嫌がっていると思いますので」


 自分の中で熱がピークになっているのか早口になっている。けれど、正直断罪される可能性がなくなったので肩の力どころか全身の力が抜けていた。もう話に耳を傾ける余力すらない。

 不敬かもしれないが早く終わってくれないかな。そう思って入ってくる情報を右から左へと流していた。すると、セシル様は言いたいことが終わったのか、明らか締めに入りだした。


「長々と話しましたが、結論はゼノン様に不埒な感情を抱いてはいけません。ということです。理解いただけましたか?」


 いつから不埒な感情云々の話になったんだろう。脈絡がまったく分からない。それでもとりあえず了解しておこう。


「はい、ばっちりです。それでは失礼いたします」


 そう言ってセラは更衣室から出ていった。一人残されたセシルも少し時間を置いて出ていった。なので、この場は再び寂しくなってしまった。








 昼休みに一悶着あったが、その後の授業は平和に過ぎ去った。しかし、帰りのホームルームにサヤカ先生からとあるイベントの話をされた。僕以外の面々はこのことを知っていたようだった。


「来週から聖競大会が始まります。ゼノン君は知らないと思うので、軽く説明しますね。聖競大会とはこの暑くなる前の涼しい季節に行われる学校行事です」


 まだこの学校に来てから日が経っていないのに、そんな行事があるとは。なんか得した気分がする。楽しいかは分からないけど。

 それでも楽しめるように頑張ろう。


「色々な種目を他学年の同じクラスと競うのです。それによって絆が育まれたり、実力の向上を目指します。ゼノン君もそうですけど、他の皆さんも覚えておいてください。これはあくまでも学校行事だということを」 


 毎年この行事では行き過ぎた生徒がたまに現れる。そういう生徒はプライドが高い故に過激な行動をしたりする。それが教師間で問題視されているので、警告しないといけない。

 このクラスの子たちはなんだかんだ大丈夫だと思いますけど、2年のSクラスにはあの生徒がいるから心配です。魔法で治るレベルの怪我で済めばいいのですが………。

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